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【技術士二次試験】ホームズの推理:口頭試験へ進むあなたへ―筆記試験合格は、技術士への最後の扉を開いただけ

第一章:坂戸市ベイカー街221Bに届いた「合格」

11月08日の朝。
坂戸市ベイカー街221Bの窓から、少し冷たい風が入っていた。
机の上には一通の通知が置かれている。

令和8年度技術士第二次試験。
筆記試験合格。

その文字を見て、私は思わず笑った。

ワトソン博士
「ホームズ。これは素直に喜んでいいだろう?」

彼は新聞から目を上げた。

シャーロック・ホームズ
「もちろんだよ」

ワトソン
「珍しく素直だな」

ホームズ
「努力した結果が一つ形になった。それを喜ばない理由があるかい?」

筆記試験を通過した。
まずは、その事実を受け止めてよい。
七月の筆記試験から三か月以上。
結果が出るまでの時間は長かった。

手応えがあった人もいるだろう。
自信がなかった人もいる。
復元答案を何度も読み返した人もいるかもしれない。
それでも、結果は一つである。

筆記試験に合格した。
ここまでは、しっかり喜んでよい。

ただし。
ホームズは通知を机に戻した。

ホームズ
「事件はまだ解決していない」

そう。

技術士第二次試験は、筆記試験に合格した者について口頭試験が行われる。令和8年度の口頭試験は、12月上旬から令和9年1月中旬までの間で、あらかじめ通知された日に東京都で実施される。

あと一つである。

だが、この「あと一つ」を軽く見てはいけない。

第二章:筆記試験と口頭試験は、同じ試験ではない

私はホームズに尋ねた。

ワトソン
「筆記試験に受かったのだから、専門知識は十分ということだろう?」

ホームズ
「少なくとも、筆記試験で必要な水準には達したということだね」

ワトソン
「では口頭試験は、その確認か?」

ホームズ
「それだけなら面接にする必要はない」

口頭試験では、知識だけを問われるわけではない。
自分がどのような業務をしてきたのか。
その中で何を考えたのか。
どんな判断をしたのか。
利害が対立したとき、どう調整したのか。

安全、公益、品質、コスト。
それらが衝突したとき、何を優先したのか。

技術士としてふさわしい判断ができるか。
それを、自分の言葉で説明する必要がある。

筆記試験では答案が話してくれた。
口頭試験では、自分自身が話さなければならない。
ここが大きく違う。

第三章:最初にやるべきことは「受験申込書を読み直すこと」

口頭試験対策というと、想定質問を大量に集める人がいる。
もちろん、それも必要である。

しかし、その前にやるべきことがある。
受験申込書を読み直すことだ。

ワトソン
「自分で書いたものだろう? 今さら読む必要があるのか?」

ホームズ
「むしろ自分で書いたから危ない」

数か月前に書いた文章を、人間は意外と覚えていない。

特に、
業務経歴。
業務内容。
自分の立場。
課題。
工夫。
成果。
これらは、口頭試験で質問されても不思議ではない。

だからまず、
「なぜこの仕事を選んだのか」
「自分の役割は何だったのか」
「何が難しかったのか」
「どんな判断をしたのか」
「他の選択肢はなかったのか」
「結果をどう評価したのか」
まで、自分の中で整理する。

丸暗記する必要はない。
むしろ丸暗記は危険である。
少し聞き方を変えられると、答えられなくなる。

必要なのは、
文章を覚えることではなく、自分の仕事を説明できること。
である。

第四章:「正しい答え」を探し過ぎない

口頭試験対策を始めると、不安になる。
この質問には何と答えれば正解なのか。
この表現で減点されないか。
この言葉を言うべきではないか。

私はホームズに聞いた。

ワトソン
「模範解答を作って暗記した方が安心じゃないか?」

彼は首を振った。

ホームズ
「君の仕事に、私の模範解答があるのかい?」

口頭試験で問われるのは、その人の経験である。
同じ質問でも、答えは一つではない。

大切なのは、
自分が何を考え、
なぜそう判断し、
結果としてどうなったのか。
そこに筋が通っていることである。

例えば、
「コストと安全性が衝突した場合、どうしたか」
と聞かれたとする。

「安全を最優先しました」
だけでは弱い。

なぜ安全を優先したのか。
コストにはどう配慮したのか。
関係者にどう説明したのか。
代替案は検討したのか。
そのあたりまで説明できると、判断の実態が見える。

口頭試験では、
答えの形より、判断の根拠が見られる。
そう考えた方がよい。

第五章:自分では「普通」だと思っている仕事ほど注意する

技術者は、自分が日常的にやっていることを過小評価しやすい。
関係者との調整。
安全確認。
設計変更。
品質管理。
工程調整。
リスク対応。
部下への指導。

それらを、
「普通にやりました」
と答えてしまう。

しかし、そこに技術士としての能力が表れていることがある。

ホームズ
「本人には日常でも、試験官には判断材料だ」

例えば、
「関係者と調整しました」
では足りない。

誰と誰の利害が対立していたのか。
何を優先したのか。
何を譲ったのか。
どの条件で合意したのか。
そこまで説明する。

「品質を確保しました」
も同じである。

何を管理したのか。
どの基準で判断したのか。
異常が出たときどう対応したのか。
具体的に答えれば、仕事の中身が見えてくる。

第六章:答えられない質問があっても、慌てない

口頭試験で一番怖いのは、
知らない質問。
予想外の質問。
答えに詰まる質問。
だろう。

だが、すべての質問に即答できる人はいない。

問題は、
分からないときにどう対応するか
である。

曖昧な知識を断定する。
質問の意味を理解しないまま話し始める。
長く話してごまかす。
これは避けたい。

分からない場合は、
質問を確認する。
自分の理解を整理する。
分かる範囲と分からない範囲を分ける。

必要なら「その点は十分に確認できていません」と答える。
それも技術者としての態度である。

ホームズ
「知らないことより、知らないことを知っているふりをする方が危険だ」

技術者の仕事では、その方がはるかに危険である。

第七章:口頭試験は「会話」である

模擬口頭試験をすると、
一つの質問に長く答え過ぎる人がいる。
事前に準備した内容を全部話そうとするからである。

しかし、口頭試験は論文発表ではない。
質問されたことに答える。
試験官がさらに聞く。
それに答える。
この繰り返しである。

だから、
最初は短く答える。
必要なら補足する。
これを意識した方がよい。

私はホームズに言った。

ワトソン
「短過ぎると説明不足にならないか?」

ホームズ
「不足していれば、相手は次を聞くだろう」

大切なのは、
質問に正面から答えること。
聞かれていないことまで全部話さないこと。
そして、試験官の質問を最後まで聞くことである。
これだけでも、口頭試験はかなり変わる。

第八章:筆記試験合格は、ゴールではない。しかし大きな一歩である

夕方になった。
机の上には、筆記試験の合格通知がまだ置かれていた。

ワトソン
「昨日は、筆記試験で結果が出なかった人に向けて話した」

ホームズ
「ああ」

ワトソン
「今日は合格した人だ。ずいぶん違うな」

ホームズは少し考えてから言った。

ホームズ
「そうでもない」

ワトソン
「どういう意味だ?」

ホームズ
「どちらも次に進むだけだよ」

昨日の記事では、
もう一度筆記試験を受ける人に、
今年の結果を分析し、次の七月へ進もうと書いた。

今日の記事では、
筆記試験に合格した人に、
自分の業務と判断を整理し、口頭試験へ進もうと書いている。

方向は違う。
しかし、立ち止まらないという点では同じだ。

筆記試験に合格したことは、間違いなく大きな成果である。
そこまで積み上げてきたものは、自信にしてよい。

ただし、まだ「技術士」になったわけではない。
あと一つ。

今度は答案用紙ではなく、
自分の言葉で、自分がどのような技術者なのかを示す。
その準備を始める時期である。

ホームズは合格通知を封筒へ戻した。
そして私に言った。

ホームズ
「筆記試験では、彼らは答案を提出した」

ワトソン
「うん」

ホームズ
「次は、自分自身を提出する番だ」

坂戸市ベイカー街221Bの外は、もう暗くなっていた。
技術士への最後の扉は開いている。
あとは、その前に立ち、自分の言葉で答えるだけである。

私(匠)は『日本シャーロック・ホームズ・クラブ』の正式会員です。
「日本シャーロック・ホームズ・クラブ(JSHC)」は、1977年に設立された日本最大級のシャーロック・ホームズ愛好家(シャーロキアン)の親睦団体です。全国に約700名の会員を擁し、専門的な研究からファンの交流まで幅広い活動を行っています。

【主な活動と特徴】
・イベントの開催: 毎年春と秋の「全国大会」のほか、東京や軽井沢でのセミナー、月例会などを開催しています。
・出版物の発行: 機関誌『ホームズの世界』や研究書の出版、関連事典の制作協力などを行っています。
・入会のしやすさ: 論文の提出義務などはなく、ホームズを愛する気持ちがあれば誰でも気軽に参加できるウェルカムな雰囲気のクラブです。

この記事を書いた人

匠 習作

代表:匠 習作(たくみ しゅうさく・本名は菊地孝仁)
開講10年の歴史/総受講者数650名以上/web授業の先駆者

皆さん、こんにちは!「ロックオン講座」主宰の匠習作です。
HPをご覧いただきありがとうございます。
技術士二次試験は“論理的な思考能力”を鍛えて挑む必要がありますので
無事一次試験を突破された方でも、難しいなと感じる方が多くいらっしゃると思います。

とはいえ、働きながら十分な勉強時間を確保することは非常に大変なことです。
私自身、新卒から23年間医療機器メーカー勤務の会社員をしながら、懸命に勉強をしていた一人です。
この実体験を活かして、技術士試験の合格を目指す方々をサポートし、合格へと導きたい。少しでも役立つヒントや情報を提供したい。そう考えたことが本講座の始まりです。

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論述の上達には添削が不可欠です。ここをしっかりこなせるかが合格への肝になります。
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https://www.youtube.com/channel/UCrbmFXXZvrb1a-nbQm-MOig

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