副題:喜ぶ時間は短くてよい。口頭試験はすぐ始まる
プロローグ:筆記合格は、事件解決ではない
~坂戸市ベイカー街221B
十一月の坂戸市は、冷たい風が吹いていた。
暖炉の前には、技術士二次試験の受験申込書、業務経歴票、過去問題集が並んでいる。
ワトソン博士は、一通の手紙を読みながら、うれしそうに声を上げた~
ワトソン博士
「ホームズ、朗報だ! 技術士二次試験を受験した技術者から、筆記試験に合格したという知らせが届いた。仕事の合間に何か月も勉強を続け、ようやく結果が出たそうだ」
シャーロック・ホームズ
「それは素晴らしい。努力が一つの成果につながったのだから、十分に喜ぶ価値がある」
ワトソン
「珍しく素直に祝福するのだな。本人は、今夜は家族と祝杯を挙げ、しばらく勉強を休むつもりらしい」
ホームズ
「祝杯は結構だ。しかし、しばらく休むというのは感心しない」
ワトソン
「なぜだ? 厳しい筆記試験を突破したのだぞ。少しくらい休ませてもよいではないか」
ホームズ
「もちろん、休息は必要だ。しかし、ワトソン君。筆記合格は、技術士試験の最終合格ではない。次には口頭試験が待っている」
ワトソン
「口頭試験なら、自分の仕事について説明すればよいのではないか? 筆記に合格したほどの技術者なら、それほど難しくないだろう」
ホームズ
「そこが危険なのだよ。専門知識があり、仕事ができることと、自分の技術的判断を試験委員に説明できることは同じではない」
ワトソン
「筆記試験とは違う難しさがあるのか?」
ホームズ
「その通りだ。筆記試験は、答案用紙を通じて技術者としての能力を示す。口頭試験は、質問に答える形で、自らの経験と判断を説明する」
ワトソン
「では、最初に何をすべきなのだ?」
ホームズ
「受験申込書、業務経歴、業務内容の詳細、筆記答案、そしてコンピテンシーを確認することだ」
ワトソン
「ずいぶん多いな」
ホームズ
「だからこそ、合格を喜んだ後は、すぐ準備を始める必要がある。今日のテーマはそこだ。筆記合格はゴールではない。口頭試験の入口なのだよ」
第1章:まず口頭試験の日程と評価項目を確認せよ
ワトソン
「口頭試験の準備といっても、何から始めればよいのだ?」
ホームズ
「最初は、試験制度と日程の確認だ。技術者なら、作業を始める前に要求事項と納期を把握するだろう」
ワトソン
「それは当然だな」
ホームズ
「令和8年度の技術士第二次試験では、筆記試験の合格発表は11月上旬、口頭試験は12月上旬から翌年1月中旬に実施される予定だ。試験日は受験者ごとに指定される」
ワトソン
「早い人なら、準備できる期間はそれほど長くない」
ホームズ
「そうだ。しかも、日本技術士会の案内では、指定された口頭試験日時の変更はできない。通知を受けたら、試験日時、会場、移動手段、宿泊の必要性まで確認するべきだ」
日本技術士会(リンク)
ワトソン
「仕事の予定調整も必要だな。現場の第一線にいる技術者ほど大変だろう」
ホームズ
「その通りだ。出張や重要会議と重なってから慌てても遅い。必要な調整は早く始めるべきだ」
ワトソン
「日程の次は何を確認する?」
ホームズ
「評価項目だ。総合技術監理部門以外の技術部門では、令和8年度の口頭試験で、実務能力として『マネジメント、評価』『コミュニケーション、リーダーシップ』、取組姿勢として『技術者倫理』『継続研さん』が評価される」
ワトソン
「つまり、専門知識だけを勉強しても足りないわけだな」
ホームズ
「そうだ。自分の実務経験を通して、それらの能力をどのように発揮したかを説明する必要がある。なお、総合技術監理部門には別の試問事項もあるため、受験部門に対応する評価基準を確認しなければならない」
文部科学省ホームページ技術士分科会(リンク)
第2章:受験申込書は、提出して終わりではない
ワトソン
「次は受験申込書か。しかし、申込書は春に提出したものだろう。もう役割は終わっているのではないか?」
ホームズ
「とんでもない。口頭試験の準備では、提出した書類が重要な手掛かりになる」
ワトソン
「手掛かり?」
ホームズ
「試験委員は、受験生がどのような業務に従事し、どのような経験を積んできたのかを踏まえて質問する。だから、本人が提出した業務経歴を正確に把握していなければならない」
ワトソン
「自分の経歴なのだから、覚えているのではないか?」
ホームズ
「意外にそうでもない。数年前の業務について、期間、立場、技術的課題、成果を即座に説明できるとは限らない」
ワトソン
「確かに、複数のプロジェクトを担当していれば、細部は曖昧になりそうだ」
ホームズ
「特に注意したいのは、自分の役割だ。所属組織が何を行ったかと、自分が何を担当したかを混同してはいけない」
ワトソン
「組織の成果を、そのまま自分の成果として説明してしまうのか」
ホームズ
「そうだ。例えば、『当社は新しい生産設備を導入し、不良率を低減した』と述べたとしよう」
ワトソン
「立派な成果ではないか」
ホームズ
「しかし、それだけでは受験生本人の技術的判断が分からない。設備仕様を検討したのか。工程能力を評価したのか。導入リスクを分析したのか。関係部門との調整を担当したのか」
ワトソン
「そこを説明しなければならないのだな」
ホームズ
「その通りだ。なお、日本技術士会は、提出した実務経験証明書自体を採点するわけではないが、口頭試験の試問で参考にすると説明している」
日本技術士会(リンク)
ワトソン
「申込書は、面接で確認される自分の経験の記録なのだな」
ホームズ
「そうだ。提出した書類を読み直し、記載した事実と自分の説明が一致するように準備することだ」
第3章:「業務内容の詳細」は技術的判断の証拠である
ワトソン
「受験申込書の中でも、『業務内容の詳細』は特に重要なのだろう?」
ホームズ
「重要だ。そこには、技術者としてどのような問題に取り組み、何を判断したかを説明する材料がある」
ワトソン
「実績を立派に説明すればよいのか?」
ホームズ
「実績の自慢では不十分だ。試験委員が知りたいのは、成果だけでなく、そこに至る技術的判断だ」
ワトソン
「例えば?」
ホームズ
「ある工場で、不良率を低減した業務を考えよう。次の説明では弱い」
製造工程を改善し、不良率を低減した。関係部門と協力して品質向上に貢献した。
ワトソン
「成果は分かるが、何を実施したのかは曖昧だな」
ホームズ
「そうだ。口頭試験では、さらに質問される可能性がある。何が問題だったのか。どのような原因分析をしたのか。なぜその対策を選んだのか。実施後に何を評価したのか」
ワトソン
「では、どのように説明すればよい?」
ホームズ
「例えば、次のように整理できる」
私は製造工程の不良率低減を担当した。工程別の不良発生状況を分析し、主要因を特定した。複数の改善案について、品質への効果、設備費用、生産停止時間を比較した。その結果、工程条件の変更と検査方法の見直しを選択した。導入後は不良率と工程能力を継続的に確認した。
ワトソン
「自分が何を考え、何を判断したかが明確になった」
ホームズ
「その通りだ。ただし、今の文章は説明例である。実際の口頭試験では、本人が行っていない判断を付け加えてはいけない」
ワトソン
「当然だ。事実と異なる説明は、技術者倫理にも反する」
ホームズ
「まさにそうだ。業務内容の詳細を準備するとは、都合のよい物語を作ることではない。実際に行った判断を、説明できるようにすることなのだ」
第4章:筆記答案の再現を後回しにしてはいけない
ワトソン
「業務経歴は理解できた。しかし、筆記試験に合格したのだから、筆記答案はもう忘れてもよいのではないか?」
ホームズ
「それは危険だ。口頭試験では、筆記答案も踏まえて試問が行われる」
ワトソン
「筆記試験の内容について質問される可能性があるのか?」
ホームズ
「そうだ。日本技術士会の説明でも、口頭試験は筆記試験の記述式答案と業務経歴を踏まえて実施されるとされている」
日本技術士会(リンク)
ワトソン
「それでは、自分が何を書いたかを確認しておかなければならないな」
ホームズ
「その通りだ。特に注意すべきは、答案に書いた課題、解決策、リスクの関係だ」
ワトソン
「例えば?」
ホームズ
「筆記答案で『維持管理人材の不足』を最重要課題とし、解決策としてAIを活用した点検の省人化を提案したとしよう」
ワトソン
「それなら、なぜAIを選んだのか質問されるかもしれないな」
ホームズ
「そうだ。さらに、AI判定の信頼性をどう確保するか。現場技術者の判断能力が低下するリスクにどう対応するか、といった質問も想定できる」
ワトソン
「答案を書いたときの考え方を、もう一度整理する必要があるのだな」
ホームズ
「そうだ。ただし、筆記答案の一字一句を完全に再現できるとは限らない。再現できない部分を、実際に書いたかのように思い込んではいけない」
ワトソン
「確実に覚えている内容と、推測して補った内容を区別するわけだな」
ホームズ
「その通りだ。そのうえで、自分の提案について、なぜその判断をしたのか、どのような限界があるのかを説明できるようにする」
第5章:コンピテンシーは暗記するものではない
ワトソン
「次はコンピテンシーだな。技術士に求められる資質能力ということだろう?」
ホームズ
「そうだ。口頭試験では、定義を覚えるだけでは足りない。自分の業務の中で、その能力をどのように発揮したかが重要になる」
ワトソン
「例えば、マネジメントなら何を説明する?」
ホームズ
「人員、設備、費用、工程などの資源や制約条件を踏まえ、何を優先し、どう配分したかを説明する」
ワトソン
「評価は?」
ホームズ
「実施した対策の成果を、どのような指標で確認したかだ。目標を達成できたか。想定外の影響はなかったか。改善の必要性をどう判断したかが重要になる」
ワトソン
「コミュニケーションやリーダーシップはどうだ?」
ホームズ
「関係者へ情報を正確に伝えたこと、意見の違いを把握して合意形成を図ったこと、必要な調整を主導したことなどを、自分の役割に即して説明する」
ワトソン
「説明会を開いたという事実だけでは弱いな」
ホームズ
「そうだ。誰と何について意見が対立し、どのような根拠で調整したかまで説明できれば、判断の内容が伝わる」
ワトソン
「倫理については?」
ホームズ
「公衆の安全や健康、環境への影響、法令遵守、情報の誠実な取扱いなどを踏まえ、自分がどのような判断をしたかを整理する」
ワトソン
「継続研さんは、資格取得後も学び続ける姿勢か」
ホームズ
「そうだ。研修を受けた回数だけでなく、学んだ知識をどう実務に生かし、今後どのような能力を高めるかを説明できるようにする」
ワトソン
「コンピテンシーごとに、自分の実務経験を整理する必要があるのだな」
ホームズ
「その通りだ。特に令和8年度は、改訂されたコンピテンシーを踏まえた準備が重要になる。ただし、制度上の試問事項と実際の業務経験の関係を理解することが先だ」
第6章:口頭試験は、想定質問の丸暗記では突破できない
ワトソン
「口頭試験対策といえば、想定質問集を作り、回答を暗記する方法が一般的ではないか?」
ホームズ
「想定質問を用意すること自体は有効だ。しかし、回答を丸暗記することには危険がある」
ワトソン
「なぜだ?」
ホームズ
「試験委員が、準備した質問と全く同じ言葉で尋ねるとは限らないからだ」
ワトソン
「少し表現が変わっただけで、答えられなくなるのか?」
ホームズ
「その可能性はある。さらに、答えた内容について追加質問されることも考えられる」
ワトソン
「例えば?」
ホームズ
「『あなたが最も苦労した技術的判断は何ですか』と問われ、『設備の安全性と生産性の両立です』と答えたとしよう」
ワトソン
「それなら立派な回答ではないか」
ホームズ
「しかし、次に『どのようなトレードオフがあったのですか』と問われたらどうする?」
ワトソン
「具体的に説明しなければならない」
ホームズ
「さらに、『なぜその対策を選びましたか』『他の方法は検討しましたか』『結果をどう評価しましたか』と質問される可能性もある」
ワトソン
「丸暗記だけでは難しいな」
ホームズ
「そうだ。準備すべきなのは、質問ごとの定型文だけではない。自分の判断の根拠、代替案、制約条件、実施結果を説明できる状態だ」
ワトソン
「では、回答はどう練習する?」
ホームズ
「まず結論を述べる。その後に理由と具体例を示す。そして、質問に対して必要な範囲で答える」
ワトソン
「筆記答案と同じく、正確で分かりやすい文章が基本なのだな」
ホームズ
「その通りだ。口頭試験では、それを相手の質問に合わせて、その場で説明する必要があるのだよ」
第7章:自分の成果だけでなく、失敗も説明できるか?
ワトソン
「口頭試験では、成功した業務を選んで説明した方がよいのではないか?」
ホームズ
「成功した業務を正確に説明することは重要だ。しかし、成功談だけを用意するのは危険だ」
ワトソン
「なぜだ?」
ホームズ
「実務には、想定外の事態や判断の誤りがある。それにどう対応したか、何を学んだかも技術者としての能力を示す材料になる」
ワトソン
「例えば、設備導入が予定どおり進まなかった場合か?」
ホームズ
「そうだ。工程遅延が発生したなら、原因をどう分析したか。関係者とどう調整したか。品質や安全性を犠牲にせず、どのように計画を修正したかを説明する」
ワトソン
「失敗したという事実だけではなく、その後の対応が重要なのだな」
ホームズ
「その通りだ。もちろん、失敗を美談に仕立てる必要はない。事実を正確に説明すればよい」
ワトソン
「自分の判断が適切ではなかった場合も認めるのか?」
ホームズ
「当然だ。技術者倫理の基本は、都合の悪い事実を隠さないことだ。誤りがあれば認め、原因を分析し、再発防止に取り組む」
ワトソン
「口頭試験でも、取り繕った説明は危険なのだな」
ホームズ
「そうだ。自分を完璧な技術者に見せる必要はない。求められるのは、実際の経験に基づいて判断を説明できることなのだ」
第8章:模擬口頭試験で、自分の説明力を確かめよ
ワトソン
「ここまで準備できれば、口頭試験は大丈夫だろうか?」
ホームズ
「まだ確認すべきことがある。実際に声に出して説明できるかどうかだ」
ワトソン
「頭の中で答えを考えるだけでは足りないのか?」
ホームズ
「足りない。考えていることと、相手に正確に伝えられることは違う」
ワトソン
「筆記試験で、分かっていることと書けることが違ったのと同じだな」
ホームズ
「その通りだ。だから、模擬口頭試験が有効になる」
ワトソン
「どのような点を確認すべきなのだ?」
ホームズ
「質問に正面から答えているか。結論が明確か。説明が長すぎないか。主語が自分なのか組織なのか。技術的判断とその根拠が伝わっているか。こうした点だ」
ワトソン
「第三者に質問してもらえば、自分の弱点が分かりそうだ」
ホームズ
「そうだ。例えば、自分では簡潔に説明したつもりでも、実際には背景説明ばかりで質問に答えていない場合がある」
ワトソン
「口頭試験にも『つもり回答』があるわけだな」
ホームズ
「よい表現だ。筆記試験の『つもり答案』と同じだよ」
ワトソン
「答えられなかった質問は、どうすればよい?」
ホームズ
「なぜ答えられなかったのかを分析する。知識が不足していたのか。経験を整理できていなかったのか。質問の意図を理解できなかったのか。その原因によって対策は違う」
ワトソン
「模擬試験を受けるだけでは足りないのだな」
ホームズ
「その通りだ。模擬試験も、実施後の振り返りと改善が重要なのだ」
第9章:筆記合格後の準備は、優先順位を間違えるな
ワトソン
「ホームズ、やるべきことが多い。忙しい社会人技術者が、すべてを同時に進めるのは難しいだろう」
ホームズ
「だから優先順位が必要なのだ」
ワトソン
「どのような順番がよい?」
ホームズ
「まず、試験日程と提出書類を確認する。次に、業務経歴と業務内容の詳細を読み直す。そして、筆記答案を可能な範囲で再現する」
ワトソン
「その後はコンピテンシーか」
ホームズ
「そうだ。業務経験をコンピテンシーごとに整理し、質問されたときに説明できるようにする。そして、想定質問を作り、模擬口頭試験で確認する」
ワトソン
「毎日、少しずつでも進める必要があるな」
ホームズ
「その通りだ。筆記試験から時間が経過しているため、自分の答案や判断の経緯を思い出す作業には時間がかかる場合がある」
ワトソン
「試験直前になって始めるのでは遅いということか」
ホームズ
「遅れる危険がある。特に、業務経歴とコンピテンシーの関係を整理する作業は、一夜漬けでは難しい」
ワトソン
「仕事が忙しくても、準備を始めなければならないのだな」
ホームズ
「そうだ。ただし、睡眠を削り続けるような無理な計画は勧めない。限られた時間で、何を優先するかを判断することが大切だ」
ワトソン
「技術士を目指す者らしく、制約条件の中で計画を立てるわけだな」
ホームズ
「その通りだ。まず、今日できることから始める。それが最も確実な準備なのだよ」
エピローグ:筆記合格は、技術士としての説明責任を問われる入口である
~窓の外では、ロンドンの霧が少しずつ晴れ始めていた。
ワトソン博士は、机の上の業務経歴票と筆記答案を整理しながら、静かにうなずいた~
ワトソン
「ホームズ、今日の話でよく分かった。筆記試験の合格は確かに喜ばしい。しかし、それで技術士になれたわけではないのだな」
ホームズ
「その通りだ。筆記試験は重要な関門だ。しかし、口頭試験では、さらに自分の経験と判断を直接説明する必要がある」
ワトソン
「受験申込書、業務経歴、業務内容の詳細、筆記答案、コンピテンシー。そのすべてが準備の対象になる」
ホームズ
「そうだ。ただし、それらを丸暗記すればよいというわけではない」
ワトソン
「自分が何を判断し、何を実行し、どのような結果を得たかを説明するのだな」
ホームズ
「その通りだ。さらに、どのような制約条件があり、誰と調整し、何を評価したか。技術者としてどのような倫理的判断を行ったか。こうした点も重要だ」
ワトソン
「それは、技術士法が掲げる目的にもつながるな」
ホームズ
「そうだ。技術士法第1条は、技術士制度の目的を、科学技術の向上と国民経済の発展に資することとしている。技術士には、専門知識を社会の問題解決に活用する責任がある」
ワトソン
「だから、技術的判断を他者に説明できなければならない」
ホームズ
「そうだ。実務では、自分だけが正しいと考えていても仕事は進まない。顧客、上司、部下、行政、住民など、関係者に判断の根拠を説明する必要がある」
ワトソン
「口頭試験は、その能力を確認する場でもあるわけだな」
ホームズ
「その通りだ。だから、試験委員を説得するための美しい物語を作ってはいけない。実際の業務経験に基づいて、事実と判断を正確に説明すべきだ」
ワトソン
「筆記に合格した人へ、最後に何を伝える?」
ホームズ
「まずは、合格を喜びたまえ。家族や協力してくれた人への感謝も忘れてはいけない。しかし、翌日からは口頭試験に向けた準備を始めることだ」
ワトソン
「喜ぶ時間は短くてよい、ということだな」
ホームズ
「そうだ。筆記合格は、技術士になるための重要な一歩である。しかし、最後の一歩ではない。
申込書を読み直し、自分の実務経験を整理し、技術的判断を説明できるようにしたまえ。
口頭試験で問われるのは、暗記した言葉の数ではない。君が技術者として、何を考え、何を判断し、何を成し遂げたのか。その事実なのだよ」
まとめ
技術士二次試験の筆記合格は、最終合格ではない。口頭試験に向けた準備を、速やかに始める必要がある。
令和8年度の口頭試験は、12月上旬から翌年1月中旬に実施される予定であり、受験者ごとに試験日時が指定される。
筆記合格後に最初に確認すべきことは、受験申込書、業務経歴、業務内容の詳細、筆記答案、コンピテンシーである。
特に重要なのは、業務内容の詳細を読み直し、自分がどのような技術的課題に取り組み、何を判断し、どのような成果を得たのかを説明できるようにすることだ。
また、令和8年度の口頭試験では、総合技術監理部門以外の技術部門について、マネジメント、評価、コミュニケーション、リーダーシップ、技術者倫理、継続研さんが評価項目となる。
想定質問の準備は有効だが、回答の丸暗記だけでは十分ではない。質問の意図を理解し、自分の経験に基づいて、結論と根拠を明確に説明する必要がある。
さらに、模擬口頭試験を活用し、説明の分かりやすさ、回答の具体性、質問への適合性を確認することが重要である。
筆記合格はゴールではない。技術士として、自分の判断と行動を説明する最後の関門への入口である。
合格を喜んだ後は、速やかに準備を始めるべきだ。

私(匠)は『日本シャーロック・ホームズ・クラブ』の正式会員です。
「日本シャーロック・ホームズ・クラブ(JSHC)」は、1977年に設立された日本最大級のシャーロック・ホームズ愛好家(シャーロキアン)の親睦団体です。全国に約700名の会員を擁し、専門的な研究からファンの交流まで幅広い活動を行っています。
【主な活動と特徴】
・イベントの開催: 毎年春と秋の「全国大会」のほか、東京や軽井沢でのセミナー、月例会などを開催しています。
・出版物の発行: 機関誌『ホームズの世界』や研究書の出版、関連事典の制作協力などを行っています。
・入会のしやすさ: 論文の提出義務などはなく、ホームズを愛する気持ちがあれば誰でも気軽に参加できるウェルカムな雰囲気のクラブです。










