【分かり易く解説】令和5年度の技術士二次試験とは? 受験方法や合格のコツとは

試験勉強

三月になったら、技術士試験対策を本気モードにすること!

1.はじめに

世界的に見ると、独自性が高いといわれる日本の雇用形態、終身雇用ですが、以前は長所がたくさんありました。解雇される心配がなく、同じ企業に長く勤めていればいるほど、給料も右肩上がりに増えていき、将来に対する不安は払拭されていました。

経済的な懸念がなければ、心にも余裕が生まれ、子を成すことも一般的でした。夫が外で働き妻が家庭を守り、二人か三人ぐらい子どもがいるような家庭がモデルケースとしてあげられ、日本の高度経済成長期を支える基盤であったともいえます。

しかし、残念ながら現代は、長らく続く景気低迷により、雇用の形も変わらざるを得なくなりつつあります。欧米で通例とされているジョブ型が、日本の企業にも徐々に採用されてきており、年功序列の考え方にも変化が見られます。

したがい今後は、自分自身で腕に力を付ける必要があり、またそれを自ら証明していかなければならない世界が待っています。例えば士業では、弁護士や税理士、司法書士といった資格が該当し、当該領域で能力を持ちあわせていることが、第三者的にもわかります。

他方、エンジニアにとってのそれは、「技術士」という資格をもって証されます。本稿では、技術士の資格を取得するための試験、特に二次試験について、最近の制度改革も踏まえながら解説してまいります。ぜひご参考にしてください。

2.技術士とは

それでは最初に、技術士、及び技術士試験についてご説明します。すでにご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、何事も基本を押さえることが大切です。初めての人もそうでない方も、二次試験の詳細を知る上で、しっかり押さえておきましょう。

「技術士」は、国家機関である文部科学省が管轄する資格です。国として認定制度を定めており、受験資格の規定や試験の構成、内容や仕組、さらにはその目標とするところを組成しています。日本国に在住している限り、どこででも通用する資格です。

技術士は、技術士法という法律に準拠します。「科学技術に関する技術的専門知識と、高等な専門的応用能力、及び豊富な実務経験を有し、公益を確保するため、高い技術者倫理を備えた、優れた技術者の育成を図るため」という法の目的が設定されています。

他の資格と比較し、特徴的な個所としては、罰則まで定められた、責任感を伴う資格であることがあげられます。厳しい条件が付されている反面、その責務を全うする当該資格取得保持者には、社会的にも安心感、信頼感が持てるともいえます。

技術士という言葉から、単一資格と見られがちですが、実はその種類は「機械」や「農業」等、21の部門と多岐に渡っています。各々のプロフェッショナルとしての技量が求められ、生半可な士業ではありませんが、取得しておいて決して損はしない資格です。

試験制度も明確に定められており、合格しなければ資格は取得できません。一次試験はやや難しい程度の難易度であり、合格率は三割から五割です。学校で必要な過程を履修することによって、当該試験が免除されるような特例措置も設けられています。

一方で、二次試験は非常に難関であるといわれており、合格率はおおよそ一割です。後述する事由により、かなりの努力をしなければ突破できないものとなっています。気軽に受験しても、実際に合格に至ることは稀であるといえるでしょう。

以上のように、技術士は、たった三文字の中にも「厳しい試験を乗り越えた能力」、「法的根拠に基づき罰則もある身分」、「日本国家の発展に寄与する高い技術力をもつ人間」、といった要素が含まれており、試験合格には相応に険しい道が待っています。

技術士の業務

3.技術士二次試験の難しさ

資格と試験の概要について触れたところで、次に、二次試験の難しさについて解説します。上記の合格率からもわかるとおり、一次に比べると難易度が跳ね上がります。もちろんこれには、ある理由が存在します。

二次試験は、一部を除いて全て記述形式の試験です。マークシートではないので運任せというわけにもいかず、設問に対する自分なりの解答を論理的に思考、表現できる力を持ちあわせていないと、問題自体に取り組めません。

また、出題者の意図を正確に読み取り、理解する能力も当然必要になってきます。相手が何を問いているのか、的確に把握できないと、答えを記述したとしても、あらぬ方向からのものになってしまいかねません。

当該試験は、さまざまな技術に関する知識の有無を計るのではなく、課題解決力、応用力を、文章によって解答することが主目的になっています。論文作法も習得しておくことが要求され、単純な暗記や安易なテクニックだけでは対応し切れない難しさです。

前述のように、技術士には責任のある資質が求められます。資格を有する人には、それなりの人間性が備わっていると見なされるため、合格の成否を決める二次試験は、必然的に求められるレベルが高い、というわけです。

課題整理表-1

4.令和5年度技術士試験要綱

技術士試験の公式情報は、公益社団法人日本技術士会にて公開されています。ウェブサイト上に詳細が記載されていますが、国家的な資格試験であるが故に、使用されている言葉が固く、わかりにくい印象です。以下、ご参考までに、平易な言葉でご紹介します。

①受験資格

技術士補の資格を有し、ある一定の条件を満たした人に、受験する権利が与えられます。技術士を補助する業務を7年以上経験していることを基本とし、その他特例として、期間が短くなる措置が取られています。

②試験の方法

技術士第二次試験は、筆記試験及び口頭試験により行い、口頭試験は、筆記試験に合格した者について行う、とされています。口頭での試験に挑むためには、まずは筆記をクリアしなければなりません。

③試験科目

試験は、21の技術部門について行われ、科目は必須もあれば選択もあります。選択科目が免除される場合もあり、部門間での条件も設けられています。一度ある部門の二次試験に合格している人は、詳細をチェックしておきましょう。

④試験の日時、試験地及び試験会場

筆記試験は、総合技術監理部門の必須科目が令和5年7月16日(日)、その他が翌日7月17日(月・祝)となっています。試験地は次の都道府県にて設定されており、試験会場は6月中旬頃の官報にて公告されます。

北海道、宮城県、東京都、神奈川県、新潟県、石川県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県及び沖縄県。

試験会場については、受験者があらかじめ選択する試験地における会場が、本人宛に別途通知されます。ご自身の移住地から離れた場所が会場となる場合、早めに行程を調べておきましょう。

口頭試験は、令和5年12月から翌年1月までの間となっており、試験時間含め、受験者に別途通知されます。試験地及び試験会場は東京都のみですので、関東近辺以外にお住まいの方は、調整に少し苦労するかもしれません。

⑤受験申込書等配布期間

令和5年3月27日(月)から4月17日(月)までです。

⑥受験申込受付期間

令和5年4月3日(月)から4月17日(月)までです。

⑦受験申込書類

写真付き受験申込書や実務経験証明書が必須、その他、要件によって監督内容証明書や、以前の試験の合格証の写しが必要です。書類は日本技術士会宛てに書留郵便で提出するよう指定されています。

⑧受験手数料

14,000円です。

⑨試験の実施に関する事務を行う機関及び申込書類提出先

以下となります。当たり前ではありますが、誤字など無いよう留意しましょう。
指定試験機関 公益社団法人 日本技術士会
〒105-0011 東京都港区芝公園3丁目5番8号 機械振興会館4階
電話番号 03-6432-4585

⑩合格発表

筆記試験については、令和5年10月に、口頭試験については、翌年3月に合否が通知されます。試験に合格した人には、本人宛てに合格証が送られます。実際の成績は合格発表後に知ることができます。

⑪正答の公表

筆記試験終了後、速やかに択一問題(総合技術監理部門必須科目)の正答が公表されます。

*上記をご一読後は、正確な情報を得るために、「技術士第二次試験実施大綱」にお目通しください。

5.技術士制度改革

試験そのものから少し話が横道にそれますが、令和5年1月、科学技術・学術審議会技術士分科会にて、技術士制度改革の検討報告が行われました。今回で第11期を迎える同会は、当該制度の定期的な見直しを実施しています。

前期では、国際的な実質的同等性の確保や、技術士資格の活用を図るため、初期専門能力開発から、資格取得、その後の継続研さん及び資格活用に至るまで、生涯に亘り一貫した整合性のあるシステムの構築、改善が検討されました。

難解な単語が並んでいますが、エンジニアの世界でも、グローバル社会への対応が必要となったことを意味し、また更なる改善が必要となっていることを意味します。試験への影響も少なからずありますので、以下、6つのテーマの概要をご紹介します。

①技術士資格の国際的な実質的同等性の確保

小難しい言葉を使っていますが、日本の技術士の資格を、他の国でも同等に扱ってもらえるよう工夫しましょう、ということです。国際エンジニアリング連合という組織が定めている基準に合わせ、技術士に求められる資質や能力も改定されました。

②技術士試験の適性化

外国籍のエンジニアでも受験しやすいよう、国際機関が認めたプログラムを履行した人は、一次試験が免除されることになりました。特例として認められると、受験生も多国籍となり、結果としてグローバル化が進む、というわけです。

③技術士補制度の見直し・IPD制度の整備・充実

IPDとは、初期専門能力開発のことです。IPDを望む声は大きく、技術士育成取得を目標とするキャリア育成のプロトタイプ構築を目指すこととなりました。将来的には技術士補の新しいあり方や、一次試験の代替が提示されるかもしれません。

④更新制・継続研さんの導入

時折、教員免許についても同様に議論されているのを耳にしますが、技術士の資格も、更新制度にしてはどうか、という意見が出ています。技術士は資格取得後も、継続的な自己研さんが必須と考えられるからです。

⑤総合技術監理部門の位置付けの明確化

総合、と名前がついていますが、他の部門が専門的で、かつ名称がそのままの意味を示す一方、総合部門は位置付けが明確ではない、という論調があります。現状把握と課題の分析が継続実施されています。

⑥活用促進・普及拡大

技術士は、一般の方にあまり知られておらず、何となくマイナーな資格です。さらなる活用の促進、普及を拡大することを目標に、文部科学省と技術士会が連携して、他省庁や産業界等に対して宣伝していこう、と動き始めています。

技術士

6.資格試験合格のコツ

ここまで、主に技術士の二次試験について、説明を重ねてまいりました。合格するのは至難の業であることがおわかりいただけたかと思います。当該資格試験に合格するには、どのようなコツがあるのでしょうか。

前述のように、二次試験では、専門的な学識に加え、各部門における応用力、各領域での幅広い知識が要求されます。さらには高度な専門技術を踏まえた豊富な経験と、それらを基盤とした総合的な判断能力が求められます。

合同会社ワークシフトは、特に二次試験対策に重点を置き、試験対策講座を開催しています。主催者の匠習作は、総合技術監理・機械部門における技術士資格を有しており、資格取得を目指す皆様に、充実した環境を提供します。

上記のような制度改革については、試験内容に影響する可能性が高い一方、個人で把握することはなかなかにして困難です。技術士の世界に従事している弊社にお任せいただければ、難しい制度の仕組も理解がたやすく、高難易度の二次試験もきっと突破できるでしょう。

7.まとめ

いかがでしたでしょうか。本記事では、技術士の資格、二次試験、制度改革などについて、多方面からご説明してまいりました。受験に躊躇してしまうぐらい困難な技術士試験ですが、仕事の選択肢を広げ、充実した人生を送るために、取得に値する資格です。

不安や懸念は、弊社講座を受講し払拭してしまってください。万全の態勢で試験に挑みましょう。生涯エンジニアとしての地位を確立し、悔いのない生き方ができるよう、弊社として精一杯サポートいたします。

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