生涯エンジニアを目指して技術士を取得しよう

コミュニケーション

1.はじめに

Lockon講座の匠です。
新型コロナウィルス感染症の終息する兆しが見えない中、皆様いかがお過ごしでしょうか。
以前まで出来ていたことが悉く抑制され、様々な面で不自由な生活を余儀なくされているかと思います。

経済的には、観光、小売、飲食といった業種が大打撃を受けており、それらの仕事に従事する方々の収入も、大きく減少しています。
物流やITといった、収益が増加している業界もありますが、全体感として、景気は減速していると言えるでしょう。

しかしながら、人間はパンだけで生きているわけではありません。
リモートという環境が増えたとは言え、仕事をしなければ食べていけません。
また、人々の命を守るため、医療従事者の方は、毎日のように奮闘されています。

このような人間的活動を継続的に支えるための、各種インフラの必要性は増すばかりであり、またそれを支える、プロフェッショナル人材の重要性も高まっています。
したがいエンジニアという職種への需要は、今後増加することはあっても、減ることは無いと推察されます。

本稿は、生涯に渡ってエンジニアとして、社会の一員となって貢献していきたいと願う方々向けに、「技術士」について解説してまいります。
資格の一つではありますが、取得への道筋を付けるため、また生涯エンジニアとして活動していくための参考になれば幸いです。

2.技術士とは

それでは、まずは「技術士」について説明してまいります。
たった三文字のこの表現だけでは、どのような資格なのかよくわかりません。
技術士について、この資格の定義を知るところから始めましょう。

2-1.管轄

「技術士」は、文部科学省が管轄する、れっきとした国家資格です。
国として定めた資格認定制度があり、受験資格の規定、試験の構成や仕組、その目的とするところを組成しています。

2-2.準拠

国家が管轄する資格であるため、準拠する法整備も「技術士法」として為されています。
「技術士等の資格を定め、その業務の適正を図り、科学技術の向上と経済の発展に資することを目的とする。」ことが、同法冒頭でうたわれています。

2-3.目的

技術士制度そのものの目的は、
「科学技術に関する技術的専門知識と、高等な専門的応用能力、及び豊富な実務経験を有し、公益を確保するため、高い技術者倫理を備えた、優れた技術者の育成を図るため」
とされています。

2-4.特徴

前述以外の技術士の特徴としては、法律で罰則まで定められた、責任感を伴う資格であることが挙げられます。
逆に言えば、その責務を全うする当該資格取得保持者は、社会的にも安心感、信頼感の得られる立場であるとも言えます。

2-5.種類

技術士のわかりにくいところとして、枕詞がないことがあります。
一口に技術士といっても、その種類は「機械」や「農業」等、21の部門と、多岐に渡ります。
それぞれの専門家としての技量が求められます。

例えば車の免許であれば「普通自動車第X種運転免許」という正式名称があるので、字を読めば内容を理解できます。
しかしながら技術士は、この言葉だけでは理解が容易ではありません。
そもそもの位置付けを、明確に認識しておくことが大切です。

3.技術士試験制度とは

技術士そのものがどういった存在なのか?
管轄する官公庁や、準拠となる法律、目的とするところや特徴、どのような種類があるのか、といった形でご紹介しました。
それでは次のお話として、どうすれば技術士になれるのか、という観点で説明してまいります。

3-1.資格

運転免許と同じで、資格制度となっていますので、一程度の素質や能力、知識が問われる試験を受験して、合格しなければなりません。
こちらも先に述べた技術士法にて、法令として定められています。

3-2.試験

技術士になるための試験は、二つに分かれています。各々の試験で合格すると、第一次では「技術士補」、第二次では「技術士」という資格を有することができます。本稿で言うところの技術士とは、第二次試験合格者が保有する資格を意味します。

3-3.第一次試験

最初の試験では、技術士となるための適正、基礎知識、一程度の専門的学識を持っていることが試されます。
この適性の中には、社会的常識や素養も含まれており、法で規定されている事項を遵守できるかどうかも問われます。

3-4.第一次試験の免除

大学やそれに類する教育機関において、文部科学省が、当該一次試験の合格基準と同等のものと認めた場合、その課程を履修した人は、この試験が免除されます。法令上は特例措置という位置付けです。

3-5.第二次試験

次の試験では、専門的学識に加え、各部門での応用力が求められます。
当該領域における幅広い知識と、高度な専門技術を踏まえた豊富な経験、更にそれらを基盤とした総合的な判断能力が求められる、難易度が高い試験となっています。

3-6.第二次試験の受験資格

二次試験は、一次試験突破者が即二次試験を受けられる、というものではありません。
一定期間の実務経験が必要となり、誰の管理下で実務の経験を積むのかによって、必要年数が異なってきます。いずれにせよ機関として数年を要します。

3-7.申請及び登録

各試験の合格者は、公益社団法人日本技術士会に、技術士補、または技術士として申請、登録を行って初めて、それぞれの名称を名乗ることができます。
このあたりは他の資格と異なるところで、登録前に当該名称を使うと、罰則が科されることがあります。

技術士になるためには、資格を取る必要があり、また資格を取るためには、試験に合格するのみならず、登録が必要であることを解説致しました。
実務的な経験を要することを含めると、長期的なプランで考えていかなければならないことを、ご理解いただけたかと思います。

4.技術士資格のメリット

技術士とは何か、というご説明に続き、試験の概要について触れてまいりました。
それなりに労力を要する当該資格取得ですが、それでは具体的に、どのようなメリットがあるのでしょうか。
具体歴な例をご紹介してまいります。

4-1.自分に箔が付き選択肢が増える

どの資格にも共通して言えることですが、取得までの間に積み重ねてきた努力は、周囲の人に認められるところであり、能力が備わっていると見なされます。
具体的な仕事の選択肢も増え、充実した職場環境が望めます。

4-2.同じ資格を持つ人との人脈が広がる

前述のように、技術士になるためには公益社団法人への申請と登録が必要です。
この手続きを通じて、同一または他の部門の技術士と、人的交流が図れます。
専門性が高いエンジニアでも、資格を通じて人脈を広げることが可能です。

4-3.自己研鑽に繋がる

人間、何かしら目標が無いと、怠惰な生活を送ってしまいがちです。
技術士の資格を取得すること、また技術士として自分を律しながら仕事にあたることは、自己研鑽に繋がり、結果として人生の充実度を上げていきます。

上記の他にも、特定の分野では、特有のメリットが生じることもあります。
例えば建築関係では、技術士が所属する法人は、公共事業の入札において、有利な条件が付されます。間接的にではありますが、建設業界での就職には、技術士の資格が有効に働きます。

5.技術士資格のデメリット

何事にも正の面もあれば負の面もあります。技術士のメリットについて、代表的な項目を述べましたが、もちろんデメリットも存在します。全体的に見れば、もちろんポジティブな面が多いですが、ネガティブな側面も認識、理解しておくに越したことはありません。

5-1.当該資格の知名度が低い

エンジニアの方にはある程度の馴染みがあると思われる本資格ですが、残念ながら世間の認知度はそれほど高くはないようです。
「技術士」というネーミングが、わかりにくさに拍車をかけていると思われます。
また、当然のことですが、試験を受けても合格できるとは限りません。
5年目、10年目で断念する人もいます。

5-2.法的責任拘束力が強い

知名度が低い割には、いざというとき取らされる責任が重く、科せられる罰則が厳しい、という声もあります。
対労力効果がなかなか見え辛い、という証左でしょう。
責任ある資格だからこそ得られる安心感、信頼感と、裏表の関係です。

5-3.業務を独占できる資格ではない

医療業界を例に挙げると、医師免許を持つ人でなければできない治療、手術があります。
資格の保有が仕事を独占できることに直結しますが、技術士は、名称的な資格ですので、そこまでの影響力はありません。

上記デメリットは考え方一つで、メリットと表裏一体です。知名度が低いのであれば、逆に希少価値が得られるかもしれません。
本当に意味がない資格であれば、遥か昔に淘汰されているでしょう。認識しつつも逆転の発想で、視点を変えてみることが重要です。

6.おわりに

いかがでしたでしょうか。本稿では、技術士そのものの説明から、試験の制度設計がどのようになっているか、また資格における長所や短所について、解説を行ってまいりました。
様々な観点から、当該資格の概要をご理解いただけたのではないでしょうか。

一生涯エンジニアとして働いていくためには、日々の勉強、自己啓発が必要ですが、何か指針が無いと、どの方向に向かって進んでいけばいいか、わからなくなってしまいます。
技術士の資格取得は、その道標となって、方向性を示唆してくれるでしょう。

また、国家資格であること、厳然たる法的根拠に基づいた制度であることも、社会的価値を高めてくれます。
保有者は、表層的な知識だけでなく、ある意味人としての素養が、継続的に求められることになります。
厳しく険しい道筋でも、目標として掲げるに値する資格です。

試験については、一次が40から50&の合格率と、それ程ハードルは高くないものの、二次は7〜12%と、難易度は跳ね上がります。
だからこそ、取得する価値がある資格であり、生涯を通じて有効なものとなります。
人間として成長を遂げるため、生涯エンジニアとして活躍するために、技術士を目指して励んでみていただくことを推奨します。

むろん、Lockon技術士試験対策講座が、あなたの助けになることはお約束できます。

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