技術士受験の勧め ~頼りになるパートナーとともに目的に向かおう~

皆さん、明けましておめでとうございます

きらびやかなイメージの強い弁護士や医師、公認会計士などと並ぶ難関国家資格でありながら、一般的な知名度が低い「技術士」という資格。

さらに、試験を受験するまでの道のりの長さとハードルの高さを知り、受験を躊躇しているエンジニアの方も多いかと思います。

しかし、「技術士が難しい」と言われる原因を知って的確な対策を行うことで、合格に限りなく近づくことができます。

この記事では、「技術士が難しい」と言われる原因と対策について解説していきます。また、技術士の資格を取得するメリットや合格するための方法についてもご紹介していくので、この記事を参考にして技術士試験を受験してみましょう。

なぜ、技術士を取得した方が良いのか?

独占業務がないことや知名度の低さから、「役に立たない」と言われることもある技術士の資格。しかし、取得することにはたくさんのメリットがあります。

弁護士、弁理士、医師、公認会計士と並び、国を代表する「五大国家資格」の一員である技術士の資格は、世界でも一流のエンジニアであると認められる価値あるライセンスです。

さらに、「APECエンジニア」「日豪協定」「IPEA国際エンジニア(旧EMF国際エンジニア)」などによって、技術士は国際的な通用性も有することになります。

企業は、技術士を雇うことで企業の信頼をアップすることができます。さらに、公共事業の入札では、技術士を何人雇っているかが評価になる場合があります。

官公庁の巨大なプロジェクトにも関わるチャンスが生まれるなど、雇用する企業にも大きなメリットがあり、技術士は企業側から重宝されることになります。

技術士は、転職や独立に有利で将来性があることもメリットです。従来の年功序列が崩壊し、永年勤続などの長期雇用が一般的ではない時代になっています。

そのような時代、「即戦力になれるかを証明できる資格」が、自分自身の強い味方になってくれるでしょう。

技術士のコミュニティに入れる

日本には、「日本技術士会」などの技術士会がいくつも存在しています。技術士になることで技術士会に入会でき、人脈を広げることができます。

技術士同士のネットワークでつながりを深められれば、技術面や仕事面の相談が可能です。さらに、新しいプロジェクトなどの情報も得られ、仕事の幅が広がっていくでしょう。

他の国家資格取得での優遇処置

技術士の資格を持っているということは、科学技術に精通しているという証になります。そのため、技術士は他の国家資格を取る際に、優遇処置が適用されます。

弁理士や気象予報士、中小企業診断士などの人気資格の試験でも、関連している内容に関しては一部もしくは全部の試験が免除されます。そのため、取得する資格の合格率を高められます。

年収アップも魅力のひとつ

仕事にやりがいを感じるには、自身の成長の実感や社会貢献が必要です。しかし、収入もたいせつな要素になります。

政府統計などのデータからみると、事業規模10人以上の企業で働く技術士の収入は次のようなものになります。

月収:405,800円/月

年間賞与その他特別給与額:1,396,500円/年

このデータから、技術士の平均年収は約627万円となります。
全一般労働者における平均年収は436万円なので、技術士の年収はかなり高いといえます。
また、技術士の資格を持っていると、コンサルタントというキャリアを歩むこともできます。
企業に属しながら建設コンサルタントとして働く場合の年収は、約624万円となっています。
しかし、この金額は企業の規模によっても大きく変わり、1,000万円近い収入を得られる企業も少なくありません。
さらに、高度な専門知識と技術を持っていると証明される技術士の資格を持っていると、独立や起業も可能になります。
独立や起業をすれば利益はそのまま自分の収入になるので、頑張った分だけ収入を増やすことができます。

技術士試験は簡単になったのか!?

最近は、ネットで「技術士試験」と検索すると、「簡単」「簡単になった」といったキーワードを目にするようになりました。

技術士試験が簡単になったといわれる理由

「技術士の試験が簡単になった」と言われるようになったのは、日本技術士会サイト内の「技術士制度の改善方策について」という資料が原因です。

令和3年に出された文部科学省の意向を反映させて作成された資料の中で、「技術士の人数を増やしたい」と言及されていることから、「試験内容を簡単にするのでは?」と推測されたのです。

技術士試験は簡単になったのか!?

しかし、技術士試験の内容が簡単になっていないことは、合格実績からも明らかになります。

下記の表は、第一次試験の全部門総合の合格率の推移です。

【第一次試験の全部門総合の合格率の推移】

年度受験者数合格者数合格率
令和4(2022)年度17,2257,26442.2%
令和3(2021)年度16,9775,31331.3%
令和2(2020)年度14,5946,38043.7%
令和元(2019)年度9,3374,53748.6%
平成30(2018)年度16,6766,30237.8%

令和4年の合格率は令和3年度よりは高くなっています。しかし、令和2年や令和元年の合格率と比べると低くなっていて、決して第一次試験の問題が簡単になっているわけではないことが分かります。

さらに、第二次試験の全部門総合の合格率の推移は次のようなものになります。

【第二次試験の全部門総合の合格率の推移】

年度受験者数合格者数合格率
令和4(2022)年度22,4892,63211.7%
令和3(2021)年度22,9032,65911.6%
令和2(2020)年度20,3652,42311.9%
令和元(2019)年度24,3262,81911.6%
平成30(2018)年度25,9142,3559.1%

第二次試験でも、令和4年の合格率は令和3年度よりは高くなっています。しかし、令和2年と比べると合格率は低くなっています。第一次試験と同様、問題が簡単になっているわけではないことが分かります。

適切な対策で合格を勝ち取ろう

技術士になるための技術士試験は、技術系資格の中でも最難関と言われています。しかし、適切な対策を行うことで合格を勝ち取れます。

第一次試験に向けて

技術士第一次試験に向けての勉強方法には、スクールや通信講座を受講する方法などがあります。また、市販の参考書・問題集を使って学習を進める方法でも対応が可能です。

ただし、その際には自分のレベルに合った参考書選びが必要になります。また、一般的に独学の挫折率は9割と言われています。

第一次試験に合格するためには、予算や自分のタイプに合わせて勉強方法を選択することが重要になってきます。

第二次試験に向けて

合格率の数値からも分かりますが、技術士の資格が最難関と言われる理由は二次試験にあります。

マークシートによる択一方式の第一次試験とは異なり、第二次試験は筆記試験(必須科目と選択科目)と口頭試験です。

第二次試験に合格するためには、出題問題の趣旨と設問要求事項を正確に読み取る力が必要になります。さらに、的確かつ正確に記述応答する論文作成力も必要となります。

合格できる論文を作成するためには

知識のインプットだけでは、合格できる論文を作成することができません。合格できるような論理的でわかりやすい文章を書けるようになるには、添削を繰り返すことが欠かせません。

合格できる論文作成技術を身に着けるためには、技術士有資格者から論文の添削を受けることが最も有効になります。

今すぐ本格的な対策スタートを

技術士資格について少しでも興味を持ったのならば、一刻も早く技術士試験のための対策をスタートさせましょう。

生涯年収に大きな差が出る

技術士資格のないエンジニアと技術士資格を持つエンジニアの場合、年収で200万円の差がつくことも珍しくありません。
単純に計算しても、技術士の資格を取る時期が10年違うと、生涯年収においては2,000万円の差が発生します。
仕事に慣れてから資格取得の学習や対策を行おうと考えている方も多いかと思いますが、取得する時期が遅ければ遅いほど、生涯年収の差が開いていくのです。
現代の日本では、団塊世代以下のベテラン技術者の退職が進んでいます。そのため、技術とノウハウを持っているエンジニアが不足しているのです。
このような時代に対応するためにも、新人や若手エンジニアの技術力の底上げが期待されているのです。
この波に乗り遅れず、長く活躍できる技術士になるためにも、若い世代での技術士資格の取得をめざしましょう。

令和6年度の試験日程について

日本技術士会より、令和6年度の試験日程が公開されました。

【技術士第一次試験】

試験日令和6年11月24日(日)
受験申込書等配布期間令和6年6月7日(金)~6月26日(水)
受験申込受付期間令和6年6月12日(水)~6月26日(水)
合格発表令和7年2月

※受験の申し込みに関しては、必ず「日本技術士会HP」をご確認ください。

【技術士第二次試験】

試験日筆記試験令和6年7月14日(日)または令和6年7月15日(月)
口頭試験令和6年11月から令和7年1月までの間で受験者に別途通知する日
受験申込書等配布期間令和6年3月25日(月)から4月15日(月)
受験申込受付期間令和6年4月1日(月)から4月15日(月)
合格発表筆記試験令和6年10月
口頭試験令和7年3月

※受験の申し込みに関しては、必ず「日本技術士会HP」をご確認ください。

令和6年度の試験はもう始まっています

令和6年度の技術士第二次試験の申込期間は令和6年4月1日からですが、試験はすでに始まっていると思ってください。

一次試験であっても二次試験であっても、早めの対策開始が合格のポイントになります。

まとめ

技術士は五大国家資格であり、取得すれば確かな知識を持っていることの証明になります。また、素晴らしい倫理観を持っている技術者であるとも認められます。

さらに、就職や転職する際には非常に有利であり、大幅な収入アップも目指せます。

ただし、技術士になるためには、長くて険しい道のりが待ち構えているでしょう。

何年にもわたる長い対策期間を自分一人で進んでいくことは孤独であり、大きな困難が伴います。それでも、頼りになるパートナーとともに目的に向かって歩んでいくことで、合格を勝ち取れるのです。
ロックオン講座では、技術士になりたいという皆さんを応援します。

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