技術士二次試験受験に必要な文章力・作文力について説明します

技術士二次試験は、半分国語の試験です!

長い問題文を読み解き、600字詰めの解答用紙1枚、2枚、3枚で解答する、技術士二次試験。
最も重要な能力は、読解力+論理的な構成力+作文力です。

一文一意(一文一義)とは!? ~劇的に変わる分かりやすさ・書き方と例文について~

でしょうか?
それは、「文が長い」ことが原因なのかもしれません。
たくさんの内容を一気に詰め込もうとするあまり、回りくどい表現になってしまい、文が長くなってしまうのはよくあることです。
ここでは、劇的にわかりやすい文章に変化する文章の書き方「一文一意(一文一義)」について、ご説明していきます。

一文一意(一文一義)とは

「一文一意」とは、「ひとつの文にはひとつの内容だけしか表さない」という文の書き方です。
「一文一義」という場合もあります。
そもそも「文」とは何か?
「文」と「文章」を、混同している人がいるかもしれません。しかし、「文」と「文章」はまったく違うものです。

「文」
一語以上の単語からなるもので、最後に句点(。)がつけられています。

【例】
論文は単なる結果の報告書とは異なり、論じることが必要である。

「文章」
一つのコンテンツとして成り立っている、2つ以上の文の集まりのことです。

【例】
論文は単なる結果の報告書とは異なり、論じることが必要である。そのため、結果と考察を明確に区別し、妥当性の証明を行うことが必要である。

「一文一意」によって分かりやすい文をつくることで、文章全体も分かりやすくなっていきます。

一文一意のメリット

一文一意で文を書くと、一文が短くなります。そのため、全体的にすっきりした印象になります。
また、主語と述語の関係性が分かりやすく、ねじれ文になってしまうというリスクが軽減できます。
さらに、修飾語と被修飾語、副詞と用言など、係り受けの関係が分かりやすくなります。
一文一意を徹底することで、書きやすいだけでなく、読みやすい文章を完成させられます。

一文一意は文章作成が苦手な人におすすめ

論文作成の経験が少なかったり文章を書くことが苦手だったりする人ほど、一文に多くのことを詰め込みやすい傾向があります。
すると、文にまとまりがなく、結果として読みにくい文章になってしまうのです。
特に試験会場では、時間が無く焦りのため、一気にたくさんのことを書こうとします。
それが、「一文多意」(こんな言葉はありません)の原因です。

文章作成が苦手な人は、一文一意を徹底した文章を書けるようになることを第一目標にしましょう。
慣れてきたら少しずつ文を長くしていくことが、おすすめになります。

一文一意(一文一義)の文を書く方法

具体的に一文一意の文を書くためには、次のような方法があります。
主語と述語の関係に注目して下さい。
そのため、先ず、「主語」と「述語」は、文の枠組みをつくります。
主語と述語は1つずつにする。これは絶対です。
一文に、2つの主語や、2つの述語があると、非常に分かり難い文章になります。

例えば
「私が一緒に仕事をした整体師は、8か月以上定期検査を予約していない患者に対しアシスタントが電話をかけ、何かあったのですかと尋ねるようにしました。」

皆さんは、上記の文章をどう読みますか?
「尋ねるようにした」のは「整体師」でしょうか?それとも「アシスタント」でしょうか?

主語と述語は1つずつにする(1組にする)

1文に2つ以上の主語や述語があると、長くて読みにくい文になりがちです。

【悪い例】

書き手が読み手が理解しているという前提で詳しい説明を省略してしまうと、読み手は書き手が意図している主題に関して理解しにくくなる。

この場合は、文を2つに分けることで、一文一意で分かりやすい文にすることができます。

【修正後】

書き手が、読み手が理解しているという前提で詳しい説明を省略してしまう。
すると、読み手は、書き手が意図している主題に関して理解しにくくなる。

「1文には1組の主語と述語」を意識することで、一文一意の文を簡単に完成させられます。

主語と述語をねじれさせない

また、文が長くなると書いている本人も訳が分からなくなり、主語と述語が対応していない(ねじれている)文になってしまいます。

【悪い例】

この原因は、読み手が論文の書き手が意図している主題を理解していないので、書き手が読み手が理解しているという前提で詳しい説明を省略してしまうと読み手は主題を理解しにくくなる。

このようなねじれを避けるためには、「1組の主語と述語」を意識します。さらに、「主語と述語の位置を近づける」ことを行います。

【修正後】

この原因は、論文の書き手が意図している主題を、読み手が理解していないことにある。読み手が理解しているという前提で書き手が詳しい説明を省略してしまうと、読み手は主題を理解しにくくなる。

1文を短くして、「主語と述語の位置を近づける」ことで、文がねじれることを防げます。

「~が」を使わない

一文一意の文を書けていない人は、「~が」を多用していることが多くなります。

【悪い例】

この企業ではリモートワーク制度を導入しました、地方在住の優秀な人材を大量に採用することができました。

この文では、「~が」の前後は反対の意味になっていません。

話し言葉では、「~が」を順接の意味で使う人が多くなってきています。しかし、本来は逆接の働きを持つ「~が」を書き言葉として使ってしまうと、読む人に違和感と誤解を与えてしまいます。

この文を一文一意の文にすると、次のような文になります。

【修正後】

この企業では、リモートワーク制度を導入しました。すると、地方在住の優秀な人材を大量に採用することができました。

そのほかにも、「~が」を使った悪い文には、次のようなものがあります。

【悪い例】

資格試験のために毎日新聞を読もうと思っていました、そのようなことが1週間以上続いたことがないので、その理由をいろいろ考えてみたのです、思い当たることがありました。

この場合、1つ目の「~が」は逆接の働き、2つ目の「~が」は順接の働きを持っています。

これらの「~が」を、接続詞に置き換えてみます。

【修正後】

資格試験のために毎日新聞を読もうと思っていました。しかし、そのようなことが1週間以上続いたことがないので、その理由をいろいろ考えてみました。すると、思い当たることがありました。

「~が」を使いすぎないように意識すると一文一意になり、非常に分かりやすい文に変化しました。

読点(、)は原則1つ

一文を短くするためには、読点(、)の数は1つにしましょう。

【悪い例】

その結論はとうてい納得いくようなものではなかったので、地域住民たちの反感は大きく、行政担当者たちの困難は並々ならないものだった。

基本的に、読点が2つ以上となる場合には、1文を2文に分けることが可能です。

【修正後】

その結論は、とうてい納得いくようなものではなかった。そのため、地域住民たちの反感は大きく、行政担当者たちの困難は並々ならないものだった。

ただし、文を分けてしまうと不自然になってしまう場合は、最大2つまでの読点(、)は可能です。

【例】

最先端の技術が次々に開発され続ける時代にあっても、先人たちが築いてきた偉業を忘れずに、私たちは新たに起こりうる困難に挑み続けなければならない。

【分けた例】

最先端の技術が次々に開発され続ける時代にあっても、先人たちが築いてきた偉業を忘れてはいけない。だから、私たちは新たに起こりうる困難に挑み続けなければならない。

接続詞を活用する

ここまで度々話題に登場してきましたが、一文一意で短い文を重ねる際には、接続詞を活用しましょう。

【悪い例】

一般的に言って、土砂災害の恐れがある現場で作業員が建設機械を操作するのは危険であり、最近では土木系のエンジニアが不足していて現地立会が難しくなっている。

この1つの文には2つの内容が盛り込まれています。このような場合、接続詞を使って2つの文に分けることで、わかりやすい文になります。

【修正後】

一般的に言って、土砂災害の恐れがある現場で作業員が建設機械を操作するのは危険である。

また、最近では土木系のエンジニアが不足していて、現地立会が難しくなっている。

用途に合った正しい接続詞を活用することで、長い文を2つ以上に分けることができます。

論文におすすめな接続詞について

接続詞には、「文と文」をつなげる働きがあります。一文一意で短い文を書いたら、適切な接続語を使用して、文と文をつなげていきましょう。

【論文におすすめな接続詞】

種類働き使われる接続詞の例
順接うしろに当然の結果が続く。その結果、従って、以上のことから、以上のことを踏まえて、こうした背景から、結果として
逆接うしろに、予期されない・食い違いのある結果が続く。しかし、しかしながら、ですが、ものの、とはいえ、ところが、にもかかわらず、
並列・列挙2つ以上の事がらを、並列または列挙する。【並列】 また、および、ならびに、かつ、同様に 【列挙】 「第1に、第2に、第3に」「1点目は、2点目は、3点目は」「はじめに、次に、おわりに」
添加・累加前の事がらに、後の事がらを付け加える。さらに、さらには、加えて、それに加えて、そのうえ
対比・選択前後のどちらかを比較・対比する。【対比】 一方(いっぽう)、他方、反対に、その反面、
【選択】 または、もしくは、あるいは、それとも
説明・補足前の事がらの原因・理由等を後に続く部分が説明・補足する。【説明】 なぜならば、なぜなら、その理由は、こ(そ)の背景には、こ(そ)れらの背景には、背景には 【補足】 なお、ただし、一般的に、普通は、通常は、この際、こ(そ)のような中、こ(そ)うした中
言換・例示    前の事がらについて、別の言い方で繰り返したり、例を挙げたりする。【言換】 つまり、要するに、いわば、 【例示】 具体的には、例えば、実際には、事実として
強調    前の事がらに対し、強調したいことを述べる。だからこそ、それでこそ
情報前の情報源から、後の事がらを述べる。~によると、

論文で使ってはいけない接続詞

ただし、論文などで使ってはいけない接続詞もあります。「書き言葉」ではなく「話し言葉」に該当するような接続詞は、論文を稚拙にしてしまいます。

次のような接続詞を使うと、採点者からの評価を一気に下げてしまいます。絶対に使わないようにしましょう。

・だから

・なので

・ですから

・だって(絶対に不可)

・だけど

・けれども

・けれど

・でも(絶対に不可)

・そして(絶対に不可)

また、あまりにも接続詞を使いすぎると、文章がくどくなってしまいます。かえって読みにくくて分かりにくい文章になってしまうので、接続詞の使い過ぎにも注意が必要です。

一文一意で採点者の目線を意識する

自分の思ったことを自由に書いてよい日記や作文とは違って、試験での論文は採点者に書いた内容を正しく理解してもらう必要があります。

試験での採点者たちは、なるべく受験者を合格させたいと思っています。
しかし、理解できなかったり、理解しにくかったりする内容の場合、減点せざるを得なくなります。

このようなことを避けるためにも、採点者からの目線を意識した一文一意の文を書く必要があります。 一文一意の文は短くて簡潔なので、採点者に誤解されるリスクが低くなります。そのため、一文一意の文ならば、自分が意図する内容を採点者に正しく汲み取ってもらえるのです。

まとめ

分かりやすい文章を書けるようになるためには、たくさんの文章を書くことが有効です。しかし、書きっぱなしでは、文章作成能力は向上しません。とくに論文の場合、研究分野における高い専門性を持つ文章の専門家に、論文を添削してもらう必要があります。添削されて「真っ赤」になった自分の論文を見て、ショックを受ける人がいるかもしれません。しかし、添削を繰り返すことによって、自分の論文が分かりやすく劇的に変化していくのです。

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