【技術士試験】ホームズの推理:合格率11%台を突破する試験対策とは?(後編)

―知識を増やす前に身につけるべき5つの力

プロローグ:勉強を始める前に、試験を調べたか?

~前編から数日後。坂戸市ベイカー街221B。ワトソンは机いっぱいに参考書を積み上げていた~

ワトソン博士

「ホームズ、準備はできたぞ」

シャーロック・ホームズ

「何の準備だい?」

ワトソン

「技術士の試験対策だよ。建設白書、環境白書、国土交通白書、専門書、用語集、それから過去問10年分。これだけ勉強すれば、合格率11%台の試験でも何とかなるだろう」

ホームズは積み上げられた本をしばらく眺めた。

そして言った。

ホームズ

「ワトソン君。君は事件の内容も知らないのに、世界中の犯罪学の本を読み始めるつもりかね?」

ワトソン

「また駄目なのか?」

ホームズ

「知識を増やすこと自体は間違っていない。問題は順番だ。技術士の試験対策で最初にやるべきことは、勉強ではない。試験を知ることだよ」

第1章 技術士試験対策の第一歩は「敵を知る」こと

ホームズ

「まず、令和8年度の技術士第二次試験の合否基準を見てみよう」

総合技術監理部門を除く技術部門では、必須科目について「技術部門」全般にわたる専門知識、応用能力、問題解決能力及び課題遂行能力が問われる。

選択科目でも、専門知識と応用能力だけでなく、問題解決能力や課題遂行能力が問われる。

合否決定基準は、それぞれ所定の区分で60%以上である。

また、令和8年度からは改訂されたコンピテンシーに対応した試験が実施される。

ホームズ

「つまり、出題者自身が『知識だけを見る試験ではない』と示している。それなのに受験者が知識の暗記だけを続けたら、どうなる?」

ワトソン

「試験対策と試験内容がずれる」

ホームズ

「その通り。技術士試験対策で最も危険なのは、努力不足ではない。努力する方向を間違えることだ」

まず確認するべきものは、次である。

  • どの問題で何が問われるのか
  • 設問ごとの要求事項は何か
  • どのコンピテンシーが評価されるのか
  • 何点必要なのか
  • 何文字程度で答えるのか
  • どの程度の時間を使えるのか

これを理解してから学習を始める。

ホームズ

「私は事件を依頼されたら、まず現場を見る。犯人一覧を暗記することから始めたりはしないよ」

第2章 過去問は「解くもの」ではなく「分析するもの」

ワトソン

「では過去問はいつ解けばいい?」

ホームズ

「質問が少し違う。

最初は『解く』のではない。

『観察する』のだ」

過去問を見るとき、多くの受験者はすぐ答案を書こうとする。

しかし初期段階では、それより先に設問を分解した方がよい。

例えば必須問題なら、

  • 何を背景としているのか。
  • 何を課題として挙げるのか。
  • 最重要課題を選ばせているのか。
  • 解決策はいくつ必要か。
  • 新たなリスクを求めているのか。
  • 倫理を求めているのか。

これらを確認する。

ホームズ

「ホームズ流に言えば、証拠を分類する作業だ」

『シャーロック・ホームズの思考術』では、ホームズ型の思考として、観察した情報をそのまま受け入れるのではなく、注意を向け、仮説を立て、検証する過程が扱われている。

技術士試験でも同じである。

問題文を読む。

要求事項を分ける。

出題意図を考える。

必要な知識を当てはめる。

この順番で考える。

ワトソン

「つまり、過去問を10年分書くより、まず10年分の出題構造を調べる方がいい場合もあるわけだ」

ホームズ

「その方が、少なくとも学習初期には価値があるだろうね」

第3章 専門知識は「単語」ではなく「使い方」で覚える

ワトソンは一冊のノートを開いた。

そこには専門用語がびっしり並んでいる。

ワトソン

「これはどうだ? DX、AI、IoT、BIM/CIM、デジタルツイン、カーボンニュートラル、レジリエンス……。重要用語を全部覚えようと思っている」

ホームズ

「それだけでは、用語辞典にはなれても技術士答案にはならないよ」

技術士試験対策で必要なのは、専門用語の意味だけではない。

その技術が、

どの問題に使えるのか

何を改善できるのか

導入すると何が変わるのか

どんなリスクが生じるのか

まで考えておく必要がある。

例えばBIM/CIMなら、「BIM/CIMを活用する」

だけでは弱い。設計・施工・維持管理情報を三次元モデルに集約する。

点検結果や補修履歴を一元化する。それにより情報共有や更新判断を迅速化する。

ここまでつなげて初めて、答案で使える知識になる。

これまでの記事でも、専門用語を並べるだけではなく、「その技術がどの問題をどう解決するか」というメカニズムまで記述することを重視している。

ホームズ

「覚えるべきなのは単語ではない。因果関係だよ」

第4章 いきなり論文を書かない。「骨子」を作れ

ワトソン

「では、知識を整理したら論文を書けばいいんだな?」

ホームズ

「また急ぐ。その前に骨子だ」

技術士試験の答案で大きな失敗が起こるのは、書き始めた後である。

途中で論理が合わなくなる。

課題と解決策がつながらない。

同じ内容を繰り返す。

最後の設問を書く時間がなくなる。

これらの多くは、書く前の設計不足から生じる。

そこで、まず骨子を作る。

必須問題なら一例として、

背景

観点

課題

最重要課題

解決策

新たなリスク

対策

という関係を短い言葉で並べる。

ホームズ

「文章を書く前に、事件の因果関係を完成させるのだ。私は犯人が分からないまま逮捕状を書き始めたりはしない」

特に重要なのは、課題と解決策の接続である。

課題が、「更新優先順位を明確化する」

なら、解決策はその優先順位をどう決めるかを書く。

課題が、「少人数で維持管理できる体制を構築する」

なら、解決策は省人化、遠隔監視、点検方法の効率化など、その課題を直接解く内容にする。

課題と解決策が別方向を向けば、いくら専門知識があっても論理は崩れる。

第5章 「観点」と「課題」を混同しない

ワトソン

「この二つは、受験者がよく迷うところだな」

ホームズ

「だから整理しておこう」

観点は、物事を見る切り口である。

例えば、

人材面。安全面。経済性。環境面。維持管理面。

こうしたものは、それ自体では解決しにくい。

一方、課題は技術者が取り組める程度まで具体化する。

例えば人材面なら、「若手技術者を確保する」「技能を標準化して継承する」「少人数で業務を遂行できる体制を構築する」

などが考えられる。

ホームズ

「『人材の観点から、人材不足が課題である』

では、観察した事実を言い換えただけだ。

『人材不足の中でも点検を継続できる体制を構築することが課題である』

まで進めれば、次に解決策を置ける」

これは技術士試験対策で非常に重要である。

論文の前半で課題設定を誤ると、その後の解決策やリスクまで崩れるからだ。

第6章 解決策は三つ覚えるのではなく「一つの課題を三方向から解く」

ワトソン

「解決策は三つ用意しておけば安心だな」

ホームズ

「数だけそろえるのは危険だよ」

例えば、

課題が「老朽化施設の更新を最適化する」である場合、

解決策1 AIを活用する。

解決策2 DXを推進する。

解決策3 人材育成を行う。

これでは、三つあるように見えて役割が不明確である。

一方、

点検データから劣化度を評価する。

重要度と劣化度から更新順位を設定する。

ライフサイクルコストを比較して更新時期を決定する。

とすれば、一つの課題を異なる機能から解いている。

ホームズ

「解決策の数ではない。

なぜその解決策が必要なのかが説明できることが重要だ」

第7章 添削は「赤字をもらう作業」ではない

ワトソン

「論文を書いたら、添削してもらえばよいのだろう?」

ホームズ

「添削にも良い使い方と悪い使い方がある」

答案を書いた。

添削を受けた。

赤字を読んだ。

次の問題を書く。

これでは、同じ欠点を繰り返す可能性がある。

重要なのは、

作成 → 指摘 → 修正 → 再作成

である。

なぜ課題が曖昧だったのか。

なぜ解決策につながらなかったのか。

なぜ文章が長くなったのか。

なぜ設問を一つ落としたのか。

原因を特定する。

ホームズ

「間違えた事実より、なぜ間違えたかの方が重要だ。

同じ推理ミスを二度繰り返す探偵は、長くは生き残れない」

技術士の試験対策も同じである。

答案の点数だけを気にするより、失点原因を分類した方が改善しやすい。

知識不足なのか。

設問理解なのか。

課題設定なのか。

論理構成なのか。

文章表現なのか。

時間不足なのか。

原因が違えば、対策も違う。

第8章 本番で必要なのは「最高の答案」ではなく「再現できる答案」

ワトソン

「練習では、できるだけ立派な答案を書いた方がよいのでは?」

ホームズ

「立派すぎて本番で書けない答案なら、価値は限定的だ」

技術士試験は、時間制限のある筆記試験である。

本番では参考書を調べながら文章を整えることはできない。

そのため試験対策では、

本番で再現できる表現

を増やしていく必要がある。

例えば、

「〇〇の観点から、△△が課題である」

「その理由は□□である」

「解決策として○○を実施する」

「これにより△△を実現する」

「一方、□□のリスクが生じる」

というように、自分が使いやすい論理構造を身につける。

文章を丸暗記するのではない。

思考の型を身につけるのである。

ホームズの思考法も、単発のひらめきというより、観察、分析、仮説、検証を反復する手順として捉えられる。

ホームズ

「型は思考を縛るためにあるのではない。

限られた時間で思考を動かすためにある」

第9章 技術士試験対策で最も大切なこと

ワトソンは、机に積み上げていた参考書を見た。

ワトソン

「最初は、この本を全部読めば合格に近づくと思っていた。

だが、それだけではなかったんだな」

ホームズ

「知識は必要だ。

だが、知識だけを増やす勉強には限界がある」

技術士試験対策では、

試験を理解する。

過去問を分析する。

知識を答案用に整理する。

骨子を作る。

答案を書く。

添削する。

修正する。

時間を計って再現する。

この流れを繰り返す。

そして最終的には、

初めて見る問題に対して、自分で考えて答えられる状態

を目指す。

これが本当の試験対策である。

エピローグ:合格率は変えられない。しかし、自分の答案は変えられる

外ではロンドン特有の細い雨が降り始めていた。

ワトソンは、前編で見た数字を思い出した。

ワトソン

「技術士の合格率は11%台。

数字だけを見れば、やはり厳しい試験だ」

ホームズ

「そうだ。

簡単だと言う必要はない。

事実は事実として見ればいい」

ワトソン

「でも、自分が11.4%に入れるかどうかは、別の問題なんだな」

ホームズは微笑んだ。

ホームズ

「ようやく推理らしくなってきたね、ワトソン君。

全体の合格率を君が変えることはできない。

しかし、

問題文の読み方は変えられる。

課題の立て方は変えられる。

解決策の書き方は変えられる。

文章は改善できる。

時間配分も訓練できる。

つまり、自分の答案は変えられる」

ホームズは机の上の過去問を一冊取り上げた。

ホームズ

「さあ、始めよう。

ただし、いきなり答案を書いてはいけないよ」

ワトソン

「分かっているさ。

まず観察する。

設問を分解する。

何を求められているのかを考える」

ホームズ

「結構。

これでようやく、君の技術士試験対策が始まった」

私(匠)は『日本シャーロック・ホームズ・クラブ』の正式会員です。
「日本シャーロック・ホームズ・クラブ(JSHC)」は、1977年に設立された日本最大級のシャーロック・ホームズ愛好家(シャーロキアン)の親睦団体です。全国に約700名の会員を擁し、専門的な研究からファンの交流まで幅広い活動を行っています。

【主な活動と特徴】
・イベントの開催: 毎年春と秋の「全国大会」のほか、東京や軽井沢でのセミナー、月例会などを開催しています。
・出版物の発行: 機関誌『ホームズの世界』や研究書の出版、関連事典の制作協力などを行っています。
・入会のしやすさ: 論文の提出義務などはなく、ホームズを愛する気持ちがあれば誰でも気軽に参加できるウェルカムな雰囲気のクラブです。

この記事を書いた人

匠 習作

代表:匠 習作(たくみ しゅうさく・本名は菊地孝仁)
開講10年の歴史/総受講者数650名以上/web授業の先駆者

皆さん、こんにちは!「ロックオン講座」主宰の匠習作です。
HPをご覧いただきありがとうございます。
技術士二次試験は“論理的な思考能力”を鍛えて挑む必要がありますので
無事一次試験を突破された方でも、難しいなと感じる方が多くいらっしゃると思います。

とはいえ、働きながら十分な勉強時間を確保することは非常に大変なことです。
私自身、新卒から23年間医療機器メーカー勤務の会社員をしながら、懸命に勉強をしていた一人です。
この実体験を活かして、技術士試験の合格を目指す方々をサポートし、合格へと導きたい。少しでも役立つヒントや情報を提供したい。そう考えたことが本講座の始まりです。

■当講座のポイント
・質問回数無制限
zoomまたはchatwork(メールも可)にて、いつでも何度でも受け付けます。
・スピード添削
提出後概ね1日以内、ご本人が書いたことを忘れないうちにお返しすることができます。
論述の上達には添削が不可欠です。ここをしっかりこなせるかが合格への肝になります。
・開校当初からのweb授業とオリジナルテキスト
70を超える動画や200を超えるPDF資料、過去問12年分の解説集等々を提供します。
検索しやすいように整理され、自由にダウンロードして参照することができます。
・イチから教える“論作文”
私は自分が受験したとき大手講座で「技術士の解答ではない」と一言いわれ、どう改善すればよいか分からず困った経験があります。最初に書いた解答でした。
当講座では、主語と述語の関係から論理の展開まで、丁寧に細かく解説しますのでご安心ください。また、良いところは良いと褒めるようにしています。

■こんな方におすすめ
・仕事があるので対面授業には通えない、web授業でマイペースに勉強がしたい方
・とはいえ、続けられるかが不安、定期的にオンライン授業も受けたい方
・モチベーションを保つため、資格後のキャリアについても考えていきたい方
・論作文に苦手意識のある方
・他社の講座が合わずドロップアウトした方

Web授業×zoomライブ講座×24h質問対応にて、あなたをサポートします。

2013年に技術士講座を開講し、今年で10年目になりました。
総受講者数は600名を超え、多くの方が技術士試験に合格し、各分野で活躍されています。
各分野のテクノロジー産業のスペシャリストであり、産業分野において最高峰の資格といえる「技術士資格」は皆さんのキャリアにおいて大きな力となり、令和を生きるための強い武器となるでしょう。
長い歴史と実績のある、当社「ロックオン講座」を受講してみませんか?
初回zoom相談はいつでも無料です。是非お声掛けください。

匠習作のYouTubeチャンネルは、以下です。
https://www.youtube.com/channel/UCrbmFXXZvrb1a-nbQm-MOig

カテゴリー