技術士試験必須問題キーワード:防災関連

技術士試験必須問題キーワード

防災関連キーワード解説

技術士試験では、部門に関わらず防災関係の問題が頻出します。
建設部門などは、令和元年から3年までの3年間で、6問の必須問題に2回出題されています。また、一口に防災といっても、豪雨、台風から地震、火山噴火、果ては2年経っても収束しない新型コロナウィルスパンデミックまで、多種多様です。
言い換えると、キーワードの範囲も広く、覚えるべき事項も多いです。
そこで、今回から主に、必須問題対策として理解すべきキーワードに関して、少しづつ、説明をしたいと思います。
試験対策としてキーワードを纏めるときは、文字数を300文字程度にします。
あまり長く詳細な説明は、書くときも、覚えるときも大変です。
むしろ、300~400文字程度でコンパクトに要点を書くように工夫をしてください。
(厳密に守る必要はありません。)
今回は防災関連のキーワードから、いくつかを選んでご説明します。
より、詳細に説明が欲しいと思う方は、ご自身で深掘りしてください。
基本的に、キーワードは自分で作るモノですが、初めて受験する方は、どう作れば良いのか? それが分りません。
以下のようなキーワード解説を真似して作ることをお勧めします。
それと、後で修正することもありますから、出典を書いておくと便利です。

(1)流域治水プロジェクト

流域治水の基本的な考え方は、気候変動等による災害の激化にあります。
令和元年の水害被害額が統計開始以来最大になったこともあり、あらゆる関係者が協働して流域全体で行う総合的かつ多層的な水災害対策として、流域治水が生まれました。
令和元年の水害被害額(暫定値)は、全国で約2兆1,500億円となり、平成16年の被害額(約2兆200億円)を上っています。
河川・下水道管理者等による治水対策に加え、流域のあらゆる関係者(国・都道府県・市町村・企業・住民等)により流域で行う対策も含めた全体像を示したものが「流域治水プロジェクト」です。
・様々な対策とその実施主体を見える化する
・対策のロードマップを示して連携を推進する
・あらゆる関係者と協働する体制の構築を行う
(336文字)
参考ページ:国土交通省
https://www.mlit.go.jp/river/kasen/ryuiki_pro/index.html

(2)100 mm/h安心プラン

従来の計画降雨を超える、いわゆる「ゲリラ豪雨」に対し、住民が安心して暮らせるよう、関係分野の行政機関が役割分担しプランを実施します。
住民(団体)や民間企業等の参画のもと、住宅地や市街地の浸水被害の軽減を図るために実施する取組を定めた計画を「100mm/h安心プラン」としました。
策定主体は市町村および河川管理者、下水道管理者等とし、水管理・国土保全局長において登録を行います。
登録した地域について、流域貯留浸透事業の交付要件を緩和することにより、計画的な流域治水対策の推進を図る訳です。
メリットは
・協議会等の設置により、関係機関が連携した強力な推進体制が確立される
・河川や下水道等の連携により一層の効果的な整備が可能
・住民等の参加により、地域の防災への意識が高まる
等があります。
(339文字)
参考ページ:国土交通省
https://www.mlit.go.jp/river/kasen/main/100mm/pdf/anshinplan.pdf

(3)脆弱な日本国土

日本列島の地質は 単調で安定しているヨーロッパ・北アメリカに比べ 複雑に分布し多くの断層を抱えています。
日本列島の地質は、赤色系統の花崗岩をはじめ、火山岩類および堆積岩類がモザイク模様をなして複雑に分布し、多くの断層や活火山が存在します。
これに対して欧米の地質は、各地質の層や活火山が存在する。これに対して欧米の地質は、各地質の1ユニットが広く分布し、断層が少なく地質構造が単調で、花崗岩類の分布が少ないため安定した大陸地塊を形成しています。
同じ高密度な経済活動の中心地域でありながら、西ヨーロッパ・北アメリカ東部の地形・地質は安定しているが、日本はとても不安定であるという大きな相違点が存在します。
火山一つとっても、地球のわずか0.3%の面積の日本に、世界の活火山の1割以上にあたる、108もの活火山が集中しています。
(360文字)
参考ページ:国土交通省
https://www.mlit.go.jp/river/sabo/kongo_dosyasaigai/01/110412_shiryo2.pdf

(4)国土強靭化基本計画

国土強靱化基本計画とは、以下の考え方に基づきます。
・国土強靱化に係る国の計画等の指針となるべきもの
・施策の重点化
・ハード・ソフト両面で効果的に推進
・「自助・共助・公助」の適切な組み合わせ
・民間資金の活用・地域の特性に応じた施策の推進
・非常時だけではなく平時にも有効活用の工夫
・PDCAサイクルの実践
2021年には、見直しが行われ、「2021年度の国土強靱化の取組のポイント」として発表されました。
その中には以下の取組みがあります。
・5か年加速化対策の推進
・地域の強靱化の推進
・広報・普及啓発活動の推進
・)戦略的政策課題、防災・減災、国土強靱化新時代の実現のためのWG提言、令和2年度災害教訓を踏まえた取組
(302文字)

参考ページ:内閣官房
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kokudo_kyoujinka/kihon.html

(5)気候変動と豪雨

最初に、地球温暖化という言葉は、あまり使わない方が良いと思います。
気候変動が正しい言い方です。
IPCC( Intergovernmental Panel on Climate Change)も正式名称は、「気候変動に関する政府間パネル」です。
気象庁のデータによれば、全国の1時間降水量(毎正時における前1時間降水量)50mm以上の年間発生回数は増加しています(統計期間1976~2021年で10年あたり27.5回の増加、信頼水準99%で統計的に有意)。
最近10年間(2012~2021年)の平均年間発生回数(約327回)は、統計期間の最初の10年間(1976~1985 年)の平均年間発生回数(約226回)と比べて約1.4倍に増加しています。
ここまでは、事実なのですが、もう一つの事実にも注意してください。
2021年の日本の降水量の基準値(1991〜2020年の30年平均値)からの偏差は+213.4mmでした。日本の年降水量には長期変化傾向は見られませんが、1898年の統計開始から1920年代半ばまでと1950年代、2010年代以降に多雨期が見られます。また、1970年代から2000年代までは年ごとの変動が比較的大きくなっていました。
(356文字、括弧内の文字は除く)
参考ページ:気象庁
https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/extreme/extreme_p.html
https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/an_jpn_r.html
https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/qa_temp.html

(6)津波・高潮防災ステーション

実例として、北海道浜中町津波防災ステーション・津波防災ステーションのシステムが稼働しています。
日本は周囲を海に囲まれて山地も多いことから、多くの都市や集落が沿岸域の低地部に位置し、過去に幾度も地震や津波による甚大な被害を受けてきました。
北海道東部に位置する浜中町では、過去に十勝沖地震津波(昭和27年)、チリ地震津波(昭和35年)等により甚大な津波被害を受けました。
特にチリ地震津波では、死者11名、被害者2,760名、被害戸数534戸、霧多布大橋流失などの被害を受けました。
また、平成5年の北海道南西沖地震では、奥尻島への津波来襲が地震発生から約5分であったこともあり、操作員の安全確保をしつつ迅速な施設操作を行うことが課題となりました。そのため津波から生命財産を守るため、水門・陸閘を一元的かつ迅速に遠隔操作ができる「津波防災ステーション」を整備しました。
(380文字)
参考ページ:国土交通省
https://www.mlit.go.jp/river/pamphlet_jirei/kaigan/gaiyou/panf/station/seibijirei.html

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