令和の時代に技術士を目指す
人生100年時代、長い老後に必要なものと言えば「お金」ですが、
それと同じくらい必要になってくるものが、「やりがい」なのではないでしょうか。
定年退職後にも「お金」や「やりがい」のために、できる限り長く働き続けたいと考えている人も多いことでしょう。
そして、そんな方々におすすめしたいものが、「資格」になります。
しかし、資格なら何でも良いというわけでなく、老後に備えた資格を取得しようと思ったときには注意が必要になるのです。
この記事では、老後に役立つ資格についてと、生涯エンジニアで働くために技術士という資格を取得した方が良い理由について、
詳しくご説明させていただきたいと思います。
資格の種類とは
ひとくちに「資格」といっても、日本で取得できる国家資格は約1,200種類、
民間資格を合わせると約3,000種類もあります。
そんな資格の中には、趣味レベルや自己満足としかいえないものや、
せっかく時間とお金をかけて資格を取得しても、収入やキャリアに結び付かないようなものも少なくありません。
取得してしまってから後悔しないためには、資格の種類や難易度について理解しておくことが必要になるのです。
資格の種類について
資格の種類は、次の3つに大きく分けられます。
国家資格
一般に国の法律に基づいて国や国から委託を受けた機関が実施する試験のことで、
資格を取得することによって、個人の能力や知識が一定基準に達していると証明される資格です。
さらに、業務遂行のための必須条件となっている「業務独占資格」、
有資格者だけが名乗ることを認められている「名称独占資格」、
特定の事業に設置することを法律で義務づけられている「必置資格」の3種類に区分されます。
公的資格
民間団体や公益法人が実施し文部科学省や経済産業省などの官庁や大臣が認定する資格であり、
国家資格と民間資格の中間に位置付けられる資格のことです。
商工会議所が主催する日商簿記検定やカラーコーディネーター、
省庁からの通達により後援を受けている英検や漢検などが、代表的な資格となります。
民間資格
法律に基づいて実施されているのではなく、民間の団体や協会などが、
それぞれに独自の審査基準を設けて任意に認定している資格のことです。
社会的な評価がほとんどないものや、一般的には通用しないものまで、
さまざまな資格も存在しますが、TOEICやパソコン検定、臨床心理士など直接職業に結びつく資格もあります。
資格の難易度について
資格を取得しようと思ったときに気になってくるポイントが、その資格の難易度ですよね。
一般的に「医師」「弁護士」「公認会計士」は、
三大国家資格と言われていて難易度が高そうなイメージがありますが、
実は国家資格の難易度は合格率だけでは判断できないのです。
例えば医師国家試験の場合は、試験を受験するにも受験資格が必要となっていますが、
受験資格をクリアした人が受験しているため、合格率は何と9割前後もあるのです。
また、受験者のレベルなども考慮する必要があり、
しっかりと勉強や準備をして受験した人の合格する確率と、
そうではない人が合格する確率には、大きな差があることは想像に難くないと思います。
さらに、出題範囲の広さや試験科目の多さに加え、
実力がはっきりと出てしまう記述式問題の有無などの要因も、合格率に大きく関わってきます。
ですから、国家資格の難易度や合格率は一つの指標にはなりますが、
それを鵜呑みにして受験を諦めたりしないことが大切になるのです。
今後に備えて取得するべき資格とは
では、どのような資格を取得しておけば、今後の自分の人生にとって役立つのでしょうか。
それらの資格にはいくつかの特徴があります。
専門性が高い
専門性が低くて誰もが簡単に取得できるような資格は、
資格を持っている若い年代の人数も多いので、年齢を重ねてからの求人は不利になる場合が多いです。
その点、専門性が高い資格を持って就く職業は、
経験や実績が評価される場合が多いので、資格保有者は年齢に関係なく重宝される傾向にあります。
需要がある
ビジネスとしての需要がない資格を取得しても、
生き甲斐にはなるかもしれませんが、収入には繋がらない場合がほとんどです。
企業から必要とされる仕事の場合、定年後の再就職がしやすかったり、
賃金の面でも待遇がよかったりする傾向にあります。
将来性がある
資格の中には、IT化などの時代の流れに取り残されてしまい、
以前は重宝されたのに今では役に立たないような、「ワープロ技能検定資格」のようなものもあります。
資格を取得する際には、今現在の流行で判断するのではなく、
長い目で見て将来性があるのかどうかを見極めるようにしましょう。
社会的信頼度が高い
資格の数が多すぎることや基準のあいまいな資格などもあることから、
資格の信用度を見極める際には、資格の「認定機関」が重要になります。
そして、民間資格や公的資格よりも国家資格のほうが、
一般的に社会的信用度や知名度が高いとされています。
技術士という資格について
一級建築士や測量士などの資格と比べると、一般的な認知度は高くはありませんが、
建設業界などで重宝される資格として「技術士」があります。
「技術士」という資格は、技術士法に基づく国家資格で、
技術者にとって最も権威のある最高位資格となっています。
技術士の活動分野は非常に多岐に渡っていて、企業内における専門業務のほか、
コンサルティング業務、公的機関や行政への協力、さらに海外支援等などがあります。
技術士になるためには
技術士になるためには、まず、技術士一次試験に合格するかJABEEと呼ばれる指定された教育課程を修了することで、「技術士補」になる必要があります。
さらに、技術士補は次の3の方法で受験資格を得て、技術士二次試験を受験することになります。
① 技術士補として、技術士の指導の下で、4年を超える実務経験。
② 職務上の監督者の指導の下で、4年を超える実務経験。
③ 指導者や監督者の有無・要件を問わず、7年を超える期間の実務経験。
※①②の場合の総合技術監理部門は7年、③の場合の総合技術監理部門は10年となります。
そして、技術士二次試験の合格後に技術士登録をすれば、晴れて技術士になることができます。
技術士試験について
技術士試験には「技術士一次試験」と「技術士二次試験」がありますが、
それらの試験について軽くおさらいをしておきましょう。
技術士一次試験とは
技術士一次試験には受験資格の制限はなく、資格保有などの条件によって一部免除制度がありますが、
条件によって詳細が違ってくるので、受験前には確認をしましょう。
技術士一次試験の試験科目は、「基礎科目」「適性科目」「専門科目」の3科目であり、
すべての科目が5肢択一式のマークシート方式になっていて、1時間で実施されます。
合格基準はそれぞれの科目で50%以上の得点となっていますが、
合格率が50%を切ることも多く難易度が比較的高い試験と言えます。
技術士二次試験とは
技術士二次試験は誰でも受験できる試験ではなく、
部門ごとに定められている受験資格を満たしていることが必要になります。
マークシートで行われる技術士一次試験とは違って、
総合技術監理部門以外の技術士二次試験は「筆記試験の必須科目と選択科目」という内容での実施になっています。
必須科目が2時間、選択科目が3時間30分という試験時間となっていて、60%以上の得点で合格となります。
そして、合格者だけが数カ月後に東京会場で実施される「口頭試験」を受験することができ、
こちらも合格基準は60%以上となっています。
平均合格率は10〜20%となっていて、年度によっては10%を切る場合もある難関試験なのです。
記述式問題は白書を用いた論文形式になるので、添削と修正をしてもらえるような対策を行い、
評価されるような論文を書く力を身に付けておく必要があります。
さらに、口頭試験では知識の有無を確認するというよりは、
技術士の適性を判定することが真の目的になるので、こちらについても特別な対策が必要になってきます。
技術士の資格がもたらすメリット
国家資格である技術士の資格を持っていることは、現役で働いているときにも、
収入の面や昇進・昇格の面でたくさんのメリットをもたらします。
さらに、年齢を重ねていったときや定年退職をした後にも、たくさんのメリットがあります。
好きなことをずっと続けられる
会社には定年がありますが技術士という資格に終わりはなく、
技術士には「資質向上の責務」により、知識や技能、その他資質の向上に務めることが義務付けられています。
現状の知識や技能に満足することなく、新たな情報や次々に開発される新しい技能に対応できるように、自分自身を高めていく必要があるということです。
いつまでも刺激的な生涯学習の場に恵まれることにより、毎日をいきいきと生活することができます。
独立・起業できる
技術士の資格は国家資格なので社会的信用度が高く、
一定の需要もあるので、技術士として独立・起業することもできます。
さらに、技術コンサルタントは資格がないと行えないわけではありませんが、
技術士は国が認定した技術者なので、自信を持ってコンサルタント業務を行うことができます。
独立・起業というと収入の面で注目されがちですが、
自分のペースで仕事ができるので、体力に自信がなくなってくる高齢期でも、
無理せずに技術士として活躍することができます。
もちろん、私も生涯現役で活動を続けます。
まとめ
技術士の資格は難関資格である上に名称独占資格なので、
取得することを躊躇している方も多いことでしょう。
しかし、技術士の資格を取得していることは、
今現在の仕事に活かすこともできますし、生涯エンジニアとして活躍するための強力な武器にもなります。
技術士の資格は定年後でも取得できますが、
現役時代に取得しておけば人事評価や給与などでの待遇に好影響があります。
技術士の資格は独学でも取得可能ですが、
効率よく学ぶには資格試験専門の講師に指導してもらうことがおすすめです。
独学に限界を感じたら今の勉強方法に関して見直を行い、
来るべき定年後や老後に備えて、1日も早く資格を取得するようにしましょう。
Lock-On:二次試験講座は、いつでも、あなたを応援します。