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不合格通知を受け取ったあなたへ
技術士二次試験の不合格通知を手にしたとき、多くの方が「なぜ落ちたのか」「どこが悪かったのか」と自問自答します。数ヶ月、場合によっては1年以上かけて準備してきた努力が報われなかった悔しさ。仕事や家庭との両立で削った時間。そして「また来年も同じことを繰り返すのか」という不安。そもそも2回、3回と二次試験を受けている人も多く、「もう諦めたほうがいいのでは」と心が折れかけている人も少なくないでしょう。Lock-On二次試験講座にも、毎年多くの再受験者が訪れます。
あなたの不合格の原因はなにか?まずは特定することで、次に取るべき具体的な行動が明確になります。
まず知っておくべき不合格率のリアル
技術士二次試験は、合格率約10~12%の難関試験です。10人受験して、合格できるのはわずか1人という狭き門です。
公式データ(日本技術士会)
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
| 令和5年度(2023)全部門 | 22,877人 | 2,690人 | 11.8% |
| 令和5年度 建設部門 | 13,328人 | 1,303人 | 9.8% |
| 令和6年度(2024)全部門 | 23,043人 | 2,395人 | 10.4% |
出典:公益社団法人 日本技術士会「技術士第二次試験 統計情報」、文部科学省 科学技術・学術審議会技術士分科会 試験部会
建設部門は特に厳しい
建設部門は技術士試験の中でも最も受験者数が多い部門ですが、合格率は全部門平均を下回る傾向にあります。
令和5年度の建設部門では、合格率わずか9.8%。
令和6年度はさらに厳しく、建設部門の合格率は9.1%まで低下しています。
あなたが不合格になったのは、決してあなただけの問題ではありません。
多くの優秀なエンジニアが、同じ壁にぶつかっているのです。
技術士試験は「コンピテンシー(技術者の実務能力)を問う試験」
多くの受験生が陥る最大の誤解は、技術士試験を「専門知識を問う試験」だと思い込むことです。
文部科学省が明確に示している通り、技術士試験は「応用力重視」に転換しています。暗記による解答を排除し、暗記では答えられない問題が主体である、というのが現状です。
つまり技術的知識はあっても、「それを論理的に説明できない」、「持っている知識に偏ってしまい、応用力がない」、「課題解決のプロセスを第三者に正しく伝えられない」状態であると、技術士二次試験の合格には近づくことができません。 逆にいえば、このポイントを抑えることが合格へのヒントになります。
【筆記試験】不合格の3大原因
技術士試験の指導現場でよく見られる筆記試験不合格には、 3つの典型的なパターンがあります。
原因1:題意から逸脱する(最も多い失敗)
「しっかり書いたのに不合格」という方の多くがこれに該当します。
「題意から逸脱する」とは、問題が求めていることと違う解答を書いてしまうことです。例えば、
- 「課題を3つ挙げよ」と言われているのに、課題(目標達成のためになすべきこと)ではなく問題点(現状における具体的な不具合や障害)を書く
- 「技術的な解決策」を求められているのに、制度面の提案をする
- 「多角的な観点から」と指示があるのに、1つの視点でしか論じない
しっかり答えたはずなのに・・・と思っていても、よく見ると「問われたこととは違うことを書いている」ケースが多々あります。
なぜ題意の逸脱が起こるのか?
- 問題文の読み込みが浅い:試験時間に追われ、キーワードだけ拾って書き始める
- 課題整理ができていない:何を問われているか構造的に理解していない
- 自分の書きたいことを優先:準備した内容に寄せようとする
原因2:応用力不足(暗記学習の限界)
「キーワードは覚えたのに不合格」という方はこのパターンです。
前述のとおり、近年の技術士試験は文部科学省が明確に「応用力重視」にシフトしています。
つまり、
- ❌ キーワードを暗記して並べる
- ❌ 模範解答を丸暗記してアレンジ
- ✅ 問題に応じて知識を応用する
- ✅ 自分の経験と技術を統合して提案する
という部分を抑えておく必要があります。
応用力が問われる具体例
たとえば「脱炭素社会実現に向けた電力系統の課題と解決策」といった問いが出たとします。
「工場の省エネ化のため、老朽化したモーターを高効率モーターに更新し、インバータ制御を導入する。また、生産ラインの動力設備を最新型に更新することでエネルギー消費を30%削減する。さらに、IoTセンサーで稼働状況を監視し、ムダな稼働を減らす。これにより製造業の脱炭素化を推進する。」
と答えたとしましょう。
しかし、
- 「30%削減」という数字を出しているが、根拠となる計算やエネルギー診断結果がない
- 部分負荷運転時の効率特性や、生産変動への対応について考慮されていない
- 圧縮空気、冷却水、排熱回収など、ユーティリティ全体での最適化の視点がない
- 投資回収年数や経済性評価が全くない(実務では最重要)
- 「IoTで監視」だけでは何も解決しない。具体的にどういうロジックで制御するのかが不明
といった部分が目立ちます。
応用力に関しては、
- 定量的な検討:「○○する」ではなく「○○によりΔΔをXX%改善する(根拠:△△)」
- 専門分野特有の技術的制約:教科書に載っていない実務の壁を示す
- トレードオフの明示:メリットだけでなく、コストや技術的限界も示す
- 複数の視点:技術面・経済面・運用面など多角的に検討
- 実現可能性:具体的な数値目標と、それを達成する技術的裏付け
という点も重要になってきます。
原因3:時間配分ミス(実戦不足)
「最後まで書けなかった」「見直す時間がなかった」という方へ。
技術士筆記試験は時間との戦いです。
- 必須Ⅰ:2時間で3枚(約600字/枚)
- 選択ⅡとⅢ合計:3時間30分で6枚(Ⅱが3枚、Ⅲが3枚)
時間配分を誤る原因
- 構想に時間をかけすぎる:何を書くか迷って30分以上使う
- 書きながら考える:手が止まり、時間をロスする
- 実戦練習不足:書くことで精いっぱいになってしまう
原因4:業務経歴の説明不足
口頭試験官が確認したいのは、
- この人の業務は、技術士レベルの課題を解決したものか?
- 本人が主体的に技術的判断をしたのか?
- その成果は明確か?
という点です。
つまり、「技術士としてふさわしいか?」という部分を見ているのです。
しかし以下のような回答、
- 単なる業務報告になっている
- 自分の役割や立場が不明確
- 問題をどう解決したのか伝わらない
- 技術的な判断や工夫が見えない(主体性が見えない)
であると、試験官からの評価は得られにくいといえるでしょう。
原因5:コンピテンシー理解不足
「採点基準を知らない」まま受験して不合格になる人は非常に多いです。
技術士に求められるコンピテンシー(資質能力)は7つです。
- 専門的学識
- 問題解決
- マネジメント
- 評価
- コミュニケーション
- リーダーシップ
- 技術者倫理
口頭試験では、これらを確認するために質問されます。
- 「技術者倫理を意識して取り組んだ業務について紹介してください」
- 「社員のモチベーションが下がったときはどのような状況で、どういう対応をしたか教えてください」
- 「業務内でコミュニケーションで工夫した具体的な例について・あるいは普段何かコミュニケーションを取るうえで工夫していることを教えてください」
といった質問に対して、原則20分で答える必要があります。
また想定問答集を作っても、丸暗記しただけでは本番で対応できません。試験官は受験者ごとに質問を変えてきます。「業務詳細を5分で説明してください」と急に言われたときに、焦らず・・・あるいは少し緊張しても、しっかり答えることができるでしょうか?「この質問ならこう答える」という固定的な準備では、少し角度を変えられただけで答えられなくなります。
「分からない」ということに焦りすぎてもよくありません。分からないことははっきり「自分が今持っている知識では正確な回答が出せないので、持ち帰って勉強する旨」を伝えるのがベストです。答えられなかったことを引きずったり、無理やり「今の自分では出せない答え」を引き出そうとしたりごまかそうとすると貴重な時間がどんどん減っていきます。
必要なのは表面的な回答ではなく「なぜその答えになるのか」という本質的な部分を含めた回答です。この理解があり、鍛錬すれば多少切り口が変わっても、緊張しながらでも自分の考えを回答できる可能性は高くなるはずです。
不合格後の正しい行動
さて、原因がわかったところで、次に何をすべきか?という部分をみていきましょう。
STEP1:成績開示請求で原因を特定する
技術士二次試験の試験成績は点数で発表されず、具体的に筆記試験は「A評価・B評価・C評価」の3段階で通知され、口頭試験は合格ラインを超えたかどうかだけが分かります。
合否通知書では、A・B・Cの3段階で評価されます。A評価:60%以上、B評価:40~59%、C評価:39%以下となっています。まずは客観的データで、どこが弱かったかを把握しましょう。
STEP2:筆記試験の論文を復元・分析する
不合格直後にやるべきことは、論文の復元です。
記憶が新しいうちに、
- 何を書いたか詳細に再現
- 問題文と照らし合わせて題意の逸脱を起こしていないかチェック
- 時間配分をメモ
これをしないと、同じ失敗を繰り返します。
STEP3:弱点に応じた対策を選択
成績と復元論文から、あなたの弱点が見えてきます。
題意の逸脱が原因なら
- 課題整理表の訓練
- 問題文の読解力強化
- 添削で第三者チェック(プロの助けを借りる)
応用力不足が原因なら
- 思考プロセスを正確に表現する訓練
- 20テーマでの課題抽出演習
- 専門技術の深掘り
時間配分ミスが原因なら
- ポモドーロテクニックの導入
- 実戦形式の練習(本番と同じ時間で)
- 構想の型を身につける
STEP4:独学継続 or 講座活用の判断
ここで重要な判断があります。独学を続けるか、講座を活用するかです。
こんな人は講座を検討するのもよいでしょう
- ✅ 2回以上不合格になっている
- ✅ 独学で何が悪いかわからない
- ✅ 添削を受けたことがない、または形式的な添削のみ
- ✅ 題意の逸脱(問題に対しての回答・趣旨がズレている)の自覚がない
- ✅ 忙しくて効率的に学習したい
当講座「技術士Lock-On」の特徴:業界随一の論文スピード添削
熟練講師だからこそ、要点を即座に見抜けます。「技術士Lock-On二次試験講座」の論文添削の速さは、経験値の高さの証明です。論文を添削し原則24時間以内に返却することで、解答者が「なぜそのように書いたのか」を忘れないうちに修正することが再修正することが可能になります。迅速なフィードバックこそが、受験者の心の支えになりレベルアップに繋がります。
論文添削を何日も、何週間も待っているとどうなるか?当然ながら、論文の内容の記憶が薄れてしまいます。論文を書いた時の思考プロセスや、どんな意図で書いたのかを忘れてしまうのです。添削が返ってきても「あれ、これ何を考えて書いたんだっけ?」となり、指摘の意味を理解するのに余計な時間がかかります。それではフィードバックの効果が半減してしまうのです。
次に、学習サイクルが停滞します。添削待ちの間、次の論文に進むべきか、待つべきか迷います。待っていれば貴重な時間を無駄にし、進んでしまえば前回の改善点を活かせないまま同じミスを繰り返す可能性があります。どちらを選んでも非効率です。
添削の速さは、単なるサービスの利便性ではありません。合格率を左右する重要な要素なのです。記憶が鮮明なうちに復習し、何度も改善を重ねることで確実に実力が上がります。
スピードと質。この両方を実現できる講座を選ぶことが、合格への最短ルートだと確信しています。
独学の限界は「自分の弱点が見えないこと」です。自分としてはロジカルに伝わる文章を書いていたとしても、それが本当に「相手に知識と技術に基づいた思考プロセスが伝わる表現」かは分かりません。またアドバイスを受けられる環境にないため自分を孤独に追い込みやすく、モチベーションも保ちにくいです。勉強の進め方が分からず、悩んでいる間に時間が過ぎていく・・・ということもあるでしょう。技術士試験の合格には第三者の視点、特に技術士試験を知り尽くした講師の視点が不可欠ということを覚えておきましょう。
STEP5:メンタルケアも忘れずに
不合格は辛い経験ですが、そもそも技術士二次試験は4~5回挑戦してやっと合格できた、という方も珍しくありません。
挑戦したこと自体が価値ある行動です。正しい勉強方法で、正しい方向性で諦めなければ、必ず道は開けます。
そして、不合格は「失敗」ではありません。「次に合格するためのデータ」です。
成績開示を見れば、どの科目が弱かったか分かります。復元答案を見返せば、どんな書き方がダメだったか分かります。このデータは、次の試験で同じミスをしないための貴重な財産です。
まとめ:不合格は終わりではなく、始まり
技術士Lock-Onの二次試験対策講座では
- ✅ 24時間以内のスピード添削
- ✅ 無制限の質疑応答で納得いくまでサポート
- ✅ 失敗経験を持つ講師陣の実践的指導
- ✅ Zoomライブ講座+アーカイブで何度でも学習
- ✅ 課題整理表など独自メソッド
あなたの不合格の原因を、一緒に分析しませんか?
諦めるのはまだ早い。次こそ、技術士の称号を手に入れましょう。







