世界に羽ばたけ日本の新幹線 ~機械工学&電気工学の結晶~

新幹線

技術士は歴史に学ぶ~~世界の中の高速鉄道~~

前回に続き、今回も日本の鉄道技術とそれに係わる優れた技術を紹介したい。

日本の鉄道技術がここまで発達するまでには、明治時代からの長い歴史の積み重ねがあったことは、前回も書いたとおりだ。

ここで、少し視点を変えてみたい。

私たちが利用する電車はトラブルがなければ時刻表通りに運行しており、これが日本の日常となっている。
しかし、これは世界的に見ると当然のことではない。日本では1分以上の遅れが遅延とされるが、イギリスやイタリア、フランスではもっと遅れても遅延とは認められない。EU諸国で5~15分以上の遅れが遅延である。
私が日常乗っている、東武東上線は私鉄だが、社内アナウンスで2分の遅れを謝ることが普通にある。
このことから日本鉄道の正確性は世界から称賛されている。

最初は時間遅れが普通だった、日本の鉄道

しかし、日本の鉄道も昔から正確だったわけではない。明治33年(1900年)頃まで定時運行できず、乗客から批判が多かった。
それを受け、日本鉄道会社は定時運行に向けて取り組んだのだ。機関士たちが協力し、正確運転マニュアルを作成し、システムを構築した。技術の発展により、運転がシステム化され、外部から支援するシステムが構築されていった。

現在の新幹線や最新鋭車両には新しい技術が取り入れられており、定速走行装置などが設置されている。
運転手の技量向上と最新技術の取り入れにより、日本鉄道の驚異的な定時性が実現されているのだ。

日本の鉄道技術は世界的に評価されており、新幹線技術は世界各国の高速鉄道計画で採用されている。車両や線路の安全性・安定性も高く評価されている。これらの技術は機械工学や電気工学,ネットワーク技術などの工学分野の発展によって実現されており、将来日本の鉄道技術開発に携わりたい人は、これらの分野で技術士を目指すとよいだろう。

日本を代表する技術=新幹線

1964年に東京駅と新大阪駅間で開業した東海道新幹線を皮切りに、国鉄時代に山陽新幹線が開業し、全国新幹線鉄道整備法に基づく東北・上越の新幹線が開業した。分割民営化後は、北陸、九州、北海道、西九州の新幹線が開業し、ミニ新幹線も山形・秋田で開業。2022年現在、北海道・北陸・中央の新幹線が建設中である。

2016年時点でフル規格7路線とミニ新幹線2路線が営業中で、2015年度の年間利用者数は3億6000万人。新幹線は高速度都市間輸送を前提とし、在来線と異なる規格を採用。空力や低騒音に配慮した流線形の車両が専用電車として使用され、定時性が高く、東海道新幹線の平均遅延時間は24秒(これは欧米基準では遅れにならない、たぶんカウントされない)。新幹線の約60年の歴史の中で乗客の死亡事故は一度もない。

新幹線建設計画は全国新幹線鉄道整備法に基づき国土交通大臣が決定。施行後、国土交通大臣が営業主体と建設主体を指名。国鉄時代の東北新幹線は国鉄が建設主体、上越新幹線は日本鉄道建設公団が建設主体。分割民営化後は、新幹線鉄道保有機構が建設主体。北陸新幹線や九州新幹線などは鉄道建設・運輸施設整備支援機構が建設主体。中央新幹線はJR東海が建設主体。

1964年の開業から1987年の国鉄分割民営化まで、新幹線の運営は国鉄が担当。その後、JR各社に移管され、東北・上越新幹線はJR東日本、東海道新幹線はJR東海、山陽新幹線はJR西日本が運営。新設された整備新幹線では、北陸新幹線をJR東日本とJR西日本、九州・西九州新幹線をJR九州、北海道新幹線をJR北海道が運営。ただし、JR四国は新幹線運営に関与していない。

全国新幹線鉄道整備法では、新幹線鉄道は「主たる区間で列車が200km/h以上の高速度で走行できる幹線鉄道」と定義。法的な運転規則や構造規則の違いから新幹線と在来線が区別される。新幹線特例法などでは、新幹線鉄道における列車運行の安全を妨げる行為に対して厳しい法的措置が定められている。

ミニ新幹線とされる山形・秋田新幹線は、一部新幹線列車が走行できるように在来線を改軌したものだが、新幹線鉄道構造規則に準じた構造ではなく、全国新幹線鉄道整備法上の新幹線鉄道には含まれず、在来線の扱いとなっている。

新幹線は先進技術により、開業以降大きな事故を起こさず営業を続けており、99年までの35年間で東海道・山陽、東北、上越、長野を合わせて約56億人を運んでいる。

新幹線

新幹線を可能にした技術は以下のようなものがある

流線形のボディ:空気抵抗を抑えるため、飛行機の形状を取り入れたデザインが採用されている。

振動を抑える台車:速度が上がると発生する揺れを、空気バネを使って吸収し、車体への影響を抑えている。

広軌と緩やかなカーブ、立体交差:新幹線は広軌を採用し、緩やかなカーブで速度低下を防ぎ、全線で立体交差を採用している。

ATCとCTCの採用:高速走行で信号機を読み取る困難さを解決するため、自動列車制御装置(ATC)が導入され、列車運行集中制御装置(CTC)によって運行状態が管理されている

これらの技術のおかげで、新幹線は開業以降大きな事故なく運行し、35年間で延べ約56億人を運ぶことができているのだ。

新幹線

まとめ

まとめ

私は特に鉄道ファンという訳ではない。ただ、自動車に乗らず、移動はそのほとんどを電車・地下鉄を使っている。
その正確な時間通りの運行には感謝している。
その私が、ひとつだけ苦言を言わせてもらう。
田中角栄がその著書「日本列島改造論」を表したのが1972年と51年前の話だ。日本列島改造論の中では、日本全国津々浦々まで、高速道路や整備新幹線の計画があった。
しかし、現実は全く出来ていない。50年経っても計画が実現していない。
やる気は無いのか?
今、首都直下型地震や南海トラフ地震の危険性が唱えられている。
日本の中核を成す機能は全て、東京あるいは、太平洋岸に集中しており、その太平洋岸に大きな災害が発生する可能性が高いのだ。可能であれば、今、21世紀の「日本列島改造論」を望む。