技術士二次試験-過去問題の解説

技術士試験過去問題解説

建設部門A評価解答を解説~~今回は令和元年Ⅰ-1、Ⅰ-2~~

技術士試験では過去問題を分析することも重要

A評価の解答を詳細に見ながら何が良かったのか? しっかり確認して下さい。
まずは、令和元年(2019年)建設部門の必須問題Ⅰ-1です。
解答用紙の画像も載せますが、詳細は下のテキストを見て下さい。再現率はほぼ100%と言うことです。
選択科目は施工計画です。

令和元年(2019年)建設部門必須Ⅰ-1

以下の画像は、全体の文章量を見るためだけのものです。
解答内容の詳細は、下のテキストを確認して下さい。

次の2問題(I-1,I-2)のうち1問題を選び解答せよ。(解答問題番号を明記し,答案用紙3枚以内にまとめよ。)

令和元年(2019)建設部門必須Ⅰ-1問題文

我が国の人口は2010年頃をピークに減少に転じており,今後もその傾向の継続により働き手の減少が続くことが予想される中で,その減少を上回る生産性の向上等により,我が国の成長力を高めるとともに,新たな需要を掘り起こし,経済成長を続けていくことが求められている。
こうした状況下で,社会資本整備における一連のプロセスを担う建設分野においても生産性の向上が必要不可欠となっていることを踏まえて,以下の問いに答えよ。
(1)建設分野における生産性の向上に関して,技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。
(2)(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)(2)で提示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。
(4)(1)~(3)を業務として遂行するに当たり必要となる要件を,技術者としての倫理,社会の持続可能性の観点から述べよ。

以下、解答は設問毎に解説します。(解答文章は黒文字、私の解説は赤文字です)

  1. 建設分野における生産性向上
    (1)人的資源の確保
    技能労働者の高齢化により、退職者が増加している。また、建設投資の減少により建設企業の倒産や廃業も増加している。就業者は、1997年の685万人がピークで、2019年は503万人。企業数は、1999年の60万社をピークに、2019年で47万社まで減少した。2013年以降、建設投資は増加傾向だが、供給側が追いつかず、残業や休日出勤で業務を消化することが増えている。働き方改革の導入も進めなければならず、人的資源の確保が課題となっている。
    (2)生産効率の向上
    1990年代までは、比較的十分な労働力を確保出来たため、建設分野では設備投資が進まなかった。また、工場の自動化と異なり、建設現場の自動化は技術的難易度も高かった。しかし、生産年齢人口の減少もあり、今後、常に十分な労働力を確保出来る保証はない。そのため、限られた人材を最大限に活かす、建設現場の生産性向上イノベーションが課題である。
    (3)PFI による民間 技術の積極的な活用
    地方自治体での技術者不足により、発注者側の事情により生産性向上が妨げられるケースが発生している。今後は、これまで以上にPFIを推進し、民間の経営能力や技術力を活用することが課題である。

3つの課題です。問題文に数の指定はありませんが、まあ、3つの課題が無難でしょう。
問題文の前文に、「我が国の人口は2010年頃をピークに減少に転じており,今後もその傾向の継続により働き手の減少が続くことが予想される中で,その減少を上回る生産性の向上等により」とあります。また、「こうした状況下で」と設問に繋げています。ですから、生産者(労働者)の人数が減る中でどうする? と言うことです。


解答では、人的資源の確保、生産効率の向上(題意そのまま)、PFIの積極的な活用を課題と解答しています。
課題は、目的を達成するために、「なすべきこと」あるいは、「達成を妨害する障害物」と考えれば良いのですが、これはどちらで表現しても問題ありません。ただし、混在はさせないで下さい。読み手が混乱するからです。(平たく言えば、読みにくくなる)。
今回の解答は、「なすべきこと」と表現されています。
要するに、「人的資源の確保、生産効率の向上(題意そのまま)、PFIの積極的な活用」を行うことで、題意が達成されるということです。
ここで、題意は「建設分野における生産性の向上」です。また、その前提は前文です。
つまり、「我が国の人口は2010年頃をピークに減少に転じており,今後もその傾向の継続により働き手の減少が続くことが予想される中で,その減少を上回る生産性の向上等により,我が国の成長力を高めるとともに,新たな需要を掘り起こし,経済成長を続けていくことが求められている。」
ということです。

この解答者さんは、人口減少が問題文に書いてあるから、最初に「人的資源の確保」を課題にしたと思います。
ただし、生産性向上と人の確保は必ずしも関係しません。解答の中には、詳細な数値データがあり、これは記憶していたのだと思います。そこは、とても素晴らしいです。

「就業者は、1997年の685万人がピークで、2019年は503万人。企業数は、1999年の60万社をピークに、2019年で47万社まで減少した。」
こんなことを覚えている方は滅多にいないと思います、国土交通省のデータで確認しましたが間違いありません。正確に覚えていたようです。まず、評価としてここまで正確に数値データを解答に記載されると、読み手は驚きます。試験委員も驚いたでしょう。私も驚きました。その後、確認して正確だったことに、もう一度驚きました。
なので、「人的資源の確保」は、生産性向上のためになすべきこととは、言いにくいのですが、ここまでデータを入れ込んだ解答は減点されない可能性が高いです。
生産性向上とは、一人あたりの作業量が増えると言うことです。極端な言い方ですが、人が確保出来るなら、生産性向上は必要ないのです。この解答者さんは、おそらく、問題の前文に「我が国の人口は2010年頃をピークに減少に転じており」とあったから、「人的資源の確保」と解答したのでしょう。詳細なデータが無ければ減点だったかもしれません。
次の課題は「生産効率の向上」です、これは題意を言い換えただけで、抽出したとは言えません。しかし、逆に題意を外していません。添削のとき私は、「題意そのままは、あまりお勧めしません」とアドバイスしますが、合格者さんの解答でもよく見ます。ですから、必ずしもミスとは言えないのでしょう。
この解答の中で、ご本人が書いているように、

「1990年代までは、比較的十分な労働力を確保出来たため、建設分野では設備投資が進まなかった。」
人の確保ができると、生産性向上のための投資が進まないのです。ですから、この説明は自ら挙げた、課題1を否定していることになります。つまり、論理的な整合性が取れていません。ここはおそらく減点されているはずです。
最後のPFIは、特に問題ありません。と言うより、これは多分思いつかなくて、無理矢理付け足したのでしょう。

2.最も重要な課題と解決策
比較分析の結果、最も重要な課題は、生産効率の向上である。
(1)ICT技術の推進
土工分野における測量、設計から施工、検査、管理に至る前プロセスで3次元データを活用し、効率を上げる。そのための基準や環境を構築する。これにより、2次元データの使用で発生していた、人的なミスを防止し、手戻りも減らすことができる。技術の人的依存も減らすことが可能であり、生産効率が向上する。
(2)現場作業の省人化と効率化
例として、ボックスカルバートでは、小型のものは95%、中型では49%がプレキャスト化しているが、大型のものでは13%しかプレキャスト化できていない。コンクリート構造物における規格の標準化を進め、プレキャストの導入を増やす。国交省が公開した「プレキャスト化に関連するガイドライン」の認知度を上げることも同時に進めることで、プレキャストの導入率は向上できる。これにより、建設現場での生産性向上は向上する。
(3)AIの導入
AIを活用し、技術的な情報の整理を迅速化し技術的課題の解決時間を短縮する。また、熟練技術者のノウハウを形式知化し、若手技術者に継承することもAIによって可能となる。
一方、公共インフラの保守点検などは、AIを使った賀状診断やセンサーを活用した遠隔診断が可能となり、膨大なインフラを効率よく点検することが可能となる、これにより、保守点検分野での生産性向上が図れる。

ここも3つの解決策ですが、個人的には2つに絞って、もっと詳細に解答した方が良かったのでは? と思います。
ただここでも

「ボックスカルバートでは、小型のものは95%、中型では49%がプレキャスト化しているが、大型のものでは13%しかプレキャスト化できていない。」
上記のように、しっかりデータを入れて解答しています。これは評価されると思います。
もう一つ、現場作業の効率化ですが、この方は「施工計画」が専門で、「普段は現場仕事ばかり」と言うことでした、本人に、確認していませんが、ボックスカルバートの工事が多いのかもしれません。現場作業の効率化の中には、今ならレーザ測量や、UAVの活用もあります。あるいは、ICT土工もあるでしょう。しかし、3つの課題を書いたため、色々なことを書くことができませんでした。プレキャスト化だけでも悪くはないのですが、であれば、タイトルは「プレキャスト化」とか「プレキャストの活用」とした方が良かったと思います。
3つ目の「AIの導入」ですが、これはよく見る解決策です。ただし、あまりにもよく見るので、解決策が思いつかないときは「AI」と書けば良いと思っている方もいるようです。
要するに困ったときは「AI」と言う訳です。ただ、読み手は、「またAIか」と思います。内容的な間違いはありませんが、注意して使った方が良いと思います。

3.解決策に共通して生じうるリスクとそれへの対策
(1)新技術への過剰な信頼による事故の発生リスク
ICTやAI技術は、新技術であるがゆえ、技術的成熟度は低い。技術が成熟するには100年以上かかると言われており、ICTやAI技術が成熟するには22世紀を待たなければならない。ICTやAIへの過剰な信頼により、人間によるチェックがおろそかになると、これまでと異なる事故や不具合が発生することが懸念される。新技術への過度な信頼はリスクとなる。
(2)新技術に対応した新たな検査体制の構築
ICTやAI技術の有効性を評価し、専門の検査機関を設置する。また、ICTやAI技術を活用した事例をデータベース化し、情報の共有化を可能とすることで、全体知を活用することができる。

「技術が成熟するには100年以上かかると言われており」
失敗学会の畑村先生が同じようなことをおっしゃっています。
確かにその通りかもしれません。

「ICTやAI技術の有効性を評価し、専門の検査機関を設置する。」
上記が可能かどうかは分からないですが、リスクの対応としてはこれで良いと思います。
正直、このリスクは、新技術を使った解決策ではよく見るので、目新しいことは何もありません。あり意味、定番のリスクです。
本来、リスクは、読み手が「なるほど、こんなリスクがあったのか!」と驚くようなリスクを解答すると高く評価されます。
この解答の場合は、そう思われないはずです。
ただ、前述したように所どころ、なるほどと思わせることが書いてあったり、加えて、文章が簡潔で読みやすいです。
そんなところが、評価されたと思います。

4.業務として遂行するに当たり必要となる要件
(1)倫理の観点:新技術の活用にあたっては、これまでに積み重ねてきた先達の失敗事例を謙虚に精査し技術的な傲慢に陥ることが無い心構えが必要である。
(2)持続可能性の観点:建設技術者には、国土構築を担う責任がある。限られたリソースを無駄にせず、物資もエネルギーも効率的に活用することが必要である。

文章量は少なめです。ですから、ほぼお決まりのことしか書いてありません。
逆に言うと、減点される要素はありません。
ただ個人的には

「失敗事例を謙虚に精査し技術的な傲慢に陥ることが無い心構えが必要」
と言うのは、とても納得しています。
この解答の点数は、26点でA評価でした。

令和元年(2019年)建設部門必須Ⅰ-2

選択科目は、鋼構造コンクリート

以下の画像は、全体の文章量を見るためだけのものです。
解答内容の詳細は、下のテキストを確認して下さい。

次の2問題(I-1,I-2)のうち1問題を選び解答せよ。(解答問題番号を明記し,答案用紙3枚以内にまとめよ。)

令和元年(2019)建設部門必須Ⅰ-2問題文

我が国は,暴風,豪雨,豪雪,洪水,高潮地震津波噴火その他の異常な自然現象に起因する自然災害に繰り返しさいなまれてきたc自然災害への対策については,南海トラフ地震,首都直下地震等が遠くない将来に発生する可能性が高まっていることや,気候変動の影響等により水災害,土砂災害が多発していることから,その重要性がますます高まっているむこうした状況下で,「強さ」と「しなやかさ」を持った安全・安心な国土・地域・経済社会の構築に向けた「国土強靭化」(ナショナル・レジリエンス)を推進していく必要があることを踏まえて,以下の問いに答えよ。
(1)ハード整備の想定を超える大規模な自然災害に対して安全・安心な国土・地域・経済社会を構築するために,技術者として立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。
(2)(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)(2)で提示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述ベよ。
(4)(1)~(3)を業務として遂行するに当たり必要となる要件を,技術者としての倫理,社会の持続可能性の観点から述べよ。

以下、解答は設問毎に解説します。(解答文章は黒文字、私の解説は赤文字です)

  1. 安全・安心な国土を構築するための課題
    (1)多発する自然災害への対応
    平成30年の7月豪雨は、死者224名、行方不明者8名、負傷者459名と豪雨災害としては近年希に見る大災害となった。また、同年9月には北海道胆振東部地震が発生し、北海道では初めて震度7の揺れが観測された。この地震により43名の命が失われている。一方、1997年以降、政府による緊縮財政のため、インフラ整備の予算は不足し、十分な対策を進めることができない。限られた予算での、効率的な自然災害対策を進めることが課題である。
    (2)内水対策の推進
    都市部では、地表面がコンクリート構造物やアスファルトで覆われており、雨水が地下に浸透しにくい。また、気象庁のデータによれば、全国の1時間降水量50mm以上の年間発生回数は10年で1.4倍に増加している。そのため、排水能力以上の降雨が発生すると都市圏内部で浸水被害が発生する。排水能力の向上が課題である。
    (3)災害時要支援者の増加
    高齢化あるいは、高齢独居者の増加進行により、災害時に支援が必要な人が増えている。行政側で、全ての要支援者を把握することはできておらず、災害時に逃げ遅れが発生することが懸念される。要支援者の把握が課題である。

この解答も3つの課題です。
この問題では
「ハード整備の想定を超える大規模な自然災害に対して安全・安心な国土・地域・経済社会を構築するため」
に何が課題か? 何をなすべきか?
まずは、その課題を抽出です。
解答は、

多発する自然災害への対応内水対策の推進、災害時要支援者の増加
これが課題になっています。
ただし、3つ目の
「災害時要支援者の増加」は、「なすべき事」ではなく、「障害物」になっています。
課題の書き方は上記のどちらでも良いのですが、混在は不可です。
読み手にとって、負担になります。これは減点だと思います。
ただ、課題の内容はとても分かり易くて、良いと思います。
例えば北海道胆振東部地震のことは、被災状況をデータで示しています。これも覚えていたから書けるので、覚えている人は希でしょう。
ただ、
「1997年以降、政府による緊縮財政のため、インフラ整備の予算は不足し」とあります。
これは、事実ですが行政批判とも受け止められかねません。
この程度なら問題ないかもしれませんが、注意した方が良いと思います。

それと、タイトルと課題が微妙にズレています。これは止めた方が良いと思います。
順番に確認しましょう。
(1)多発する自然災害への対応」=「効率的な自然災害対策を進めることが課題」
(2)内水対策の推進」=「排水能力の向上が課題である。」
(3)災害時要支援者の増加」=「要支援者の把握が課題」
微妙に異なる書き方になっているのが分かりますよね?
確かに、論理的には繋がっています。しかし、この書き方は、読み手を惑わせます。
課題を明確に伝えることは、とても重要です。
課題が伝わらないと解決策も理解できないです。
何を解決するのか分からないで、解決策を説かれても読み手は何の話か分かりません。
ですから、誤読誤解されないように、タイトルで課題を表現して、説明のあと、最後に「~~課題である。」と書いた方が間違いなく読み手に課題が伝わります。
そもそも、「要支援者の把握が課題」であれば「障害物」ではなく、「なすべきこと」になっています。
必須とⅢは、課題をしっかり伝えることで、解答の質が上がります。


課題を書くときは、まず、課題が分るようなタイトルにして下さい。
よくある間違いに以下があります。
1.生産年齢人口の減少
~~
~~生産性の向上が課題である。
です。
タイトルが課題になっていません。
上記の場合なら、
1.生産性向上
~~
~~生産性の向上が課題である。
となります。
要するに課題を表すタイトルを考えて入れて下さい。
さらに、課題を説明した最後に~~が課題である。
と書くことで、間違いなく読み手に課題が伝わります。

2.最も重要な課題と解決策
最も重要な課題は、多発する自然災害への対応と分析する。
(1)リスクベース評価に基づく施設整備
限られた予算で最大限の効果を発揮するためには、災害による被害を想定し、リスクを評価する。そのリスクに基づき、高リスクを中リスクへ、中リスクを低リスクへ低下させる施策を実施する。これには、施設のデータベース化も必要となるが、防災施設を新たに作るよりも費用を必要としない。また、時間も掛からない。これにより、人的被害を最小限に抑える対応が可能となる。(2)災害防止よりも被害低減
地震や津波の被害を完全に防止するには、膨大な費用や時間を要する。しかし、人的被害の低減を目標とすれば、比較的短時間。少ない費用で対策することができる。南海トラフ地震では、6M以上の津波が予測されているが、広大な該当エリアを防潮堤で防護することはできない。現在建設が進められている津波避難タワーは四国を中心に既に500棟が完成し、今後も建設が進められる。建設により、被害を低減させることができる。
(3)民間企業との連携
大都市圏では、災害時に交通機関が麻痺することも予測される。全ての帰宅避難者を収容できる施設を準備することは困難である。そのため、民間企業との連携を図り、自社の社員+αの避難場所を確保する。数日間分の水や簡単な食料を備蓄することで、帰宅避難者の安全を確保することができる。

解決策も3つです。
簡潔な書き方ので、これは評価されるでしょう。
施設毎にリスクを評価して、人災リスクの高い施設から優先的にリスク低減対策を行うのは、現在の主流な考え方です。
優れた方法ですから、これは良い解決策です。
もう一つ、災害防止よりも被害の減災は、問題文にある「国土強靱化」の考え方です。題意に沿った解決策ですからこれも良いと思います。特に「津波避難タワー」は、私も良い施設だと思っています。
高齢者が上るには負担が大きいなどの批判のあるようですが、1棟2~3億円で建設可能。数百人が避難できます。
高齢の方は、誰かが介護・援助することで何とかなるでしょう。

長さ1~2キロ程度の防潮堤を作るには、数百億円~千億円の費用が必要です。
千億有れば、上の津波避難タワーなら300~500棟建設可能です。技術士試験の解答は別にしても、ほい防災施設だと思います。南海トラフ地震の被害を軽減するために、多くの津波避難タワーを作りましょう。
ただ、最後の「民間企業との連携」は、石原元東京都知事の提唱した案です。
悪くは無いですが、付け足し感あります。
無理に3つの解決策にしないで、2つの解決策でも良かったと思います。
津波避難タワーのことなら、もっと詳細に書くことができたのではないでしょうか?

3.解決策に共通して生じうるリスクとそれへの対策
(1)時間と費用のリスク
平成29年に土木学会が発表した「国難をもたらす巨大災害についての報告書」では、南海トラフ地震も首都直下型地震も30年以内に60%以上の確率で発生することが予測されている。しかし、30年以内ということは、30年後ではない、それは明日かもしれない。どんな対策もそれなりに費用も時間も必要である。行政側での実施決断の遅れや、建設企業の受注能力不足による、工事の遅れがリスクになる。
(2)国民の理解促進とソフト対策
時間の掛かるハード対策は、ソフト対策で補うことができる。また、政府や行政はそのことを明確に伝える努力を行い、国民の理解を促進させる。

ここで、おそらく点数を稼いでいると思います。
国難をもたらす巨大災害についての報告書は、土木学会が発表した有名な報告書です。
少なくとも、建設部門で技術士を目指す方なら誰でも知っているはずです。
しかし、それをしっかり解答に書いて(つまり読んでいますとアピール)、その内容からリスクを推定するのは良いと思います。
試験委員の中には、報告書の作成に携わった人がいるでしょう。自分たちが苦労して作った報告書をしっかり読んで、解答に書かれたら、気持ちが良いと思います。
地震の発生確率は南海トラフ地震と首都直下型地震で異なるのですが、この解答ではそれを丸めています。
それぞれを正確に覚えていなかったのかもしれませんが、そこは許される範囲です。
ただ、リスクの書き方が少し分かり難いと思います。
「整備率が100%に満たない状態での発災」とでも書いた方が良かったでしょう。

4.業務として遂行するに当たり必要となる要件
(1)倫理の観点:安全な国土を構築することは、土木エンジニアの使命である。公衆の安全を第一に考える必要がある。
(2)持続可能性の観点:防災施設を造るときも、環境への負荷や、物資のリサイクルを考慮する必要がある。新規で造るよりも今あるものを長く使うことを第一に考える。

この解答も設問4の文章量が少ないと思います。
少ない文章ですから、どうしても在り来たりの文言になります。
内容は間違っていませんが、紋切り型とも言えます。
ただ、どの解答も必須問題の設問4は、同じような内容です。
おそらくこれで良いのでしょう。

この解答の点数は、29.5点でA評価でした。
皆さんは、Ⅰ-2の方が良い解答だと思いましたか?

技術士二次試験・解答解説のまとめ

  • 簡潔で分かり易い文章を書くように心がける
  • 題意と課題に齟齬がないように注意する
  • 課題と課題、課題と解決策など、解答内での論理的な破綻に注意する
  • 数値データを入れた方が良い
  • 設問4の解答は紋切り型でもあまり気にしない

上記に注意して、解答することを心がけて下さい。
ちなみに、上記のお二人は、二人とも2年目で(ロックオン講座を2年受講)合格でした。
また、解答時間はお二人とも100分程度だったので、かなり書き写すことができたそうです。