技術士試験合格は論文の書き方が合格のカギ

筆記試験の勉強

論文作成方法をマスターする

論文の書き方をマスターするためには、理想を言えば、指導者が添削を繰り返して、トレーニングを積むことが必要です。ただし、この方法には費用が掛かります。
最近の技術士講座はネットを活用した添削が主体で、対面授業は減りました。特に、新型コロナウイルス感染症が流行った、この2年間は、Lock-On:二次試験講座の対面授業は全くできなくなりました。そのため、昔に比べると受講料はずいぶん安くなったと思います。とは言え、それでも10万円前後程度の費用は掛かります。
もし、対面授業が主体で、移動があれば、交通費も含め、20万円近い費用が必要になると思います。
日本は1997年の橋本政権から始まったデフレの影響で、技術士講座もずいぶん安くなりました。私は、2011・2012年の2年間で100万円近い費用を掛けて、技術士講座を受講しました。(書籍費用も含みます)
費用の悩み

対面授業は論文作成力をアップさせない

対面授業がモチベーションアップに役立つのは、事実です。
しかし、対面授業で、講師の話を聞いたからと言って、論文の書き方がマスターできるわけではありません。
やはり、何度も添削を受け、書き方の練習を積んでいくしか、道はないと思います。
私は、特にスポーツ熱心だった訳ではないのですが、論文の書き方をマスターするのは、スポーツの練習と同じだと思っています。
元、大リーガーのイチロー選手は、安打数の世界記録を達成した後も、素振りとランニング、キャッチボールを繰り返していました。
しかし、逆に言うと、ひたすら添削を受ければ良いかと言うと、そうでもありません。標準的かつ基本的な論文の構造をあらかじめ身につけておかないと、練習としてどれだけ文章を書いても、あまり意味はないのです。
やはり、解答の書き方のポイントや理論を聞いて、理解した上で、練習を重ねるべきなのです。
では、解答作成のポイントとは何か?

まず、論文の構成を理解する

論文の構造は二つに分けて考えることができます。
一つは「序論」「本論」「結論」と、論文全体を形作る大構造です。
もう一つは文(センテンス「sentence」)、「段落」(パラグラフ「paragraph」)といつた小構造です。
この両者がきちんとしていない限り、よい論文。レポートは書けません。
小論文でも大論文でも基本はこれだけです。
わかりやすく、筋が見える、したがつて説得力がある論文は、大構造も小構造もきちんと構築されています。
論文とは、要するに解答者(書き手)の意見と根拠を纏めた文章です。
その文章を前述した、構成で纏める必要があります。
一つの小構造であるパラグラフ(日本語の「段落」に近い概念)には一つの主題(トピックと呼ばれる)があり、そして論文全体、つまり大構造としても一つの主題があります。大構造であるか小構造であるかによつて、主題のレベルは異なりますが、一つの構造に一つの主題が存在することは変わりません。
1つの、パラグラフに2つのトピックがあっては、いけないのです。

読みやすい論文に仕上げるために

読みやすい論文に仕上げるためには、二つの重要な要素があります。構造の中であらかじめ何を言いたいかを示し、読み手が迷わないようにすることと、各構造の繋がりが明確になるようにして、読み手が流れを追いやすくすることです。
論文全体としても、論文の小構造の中でも、何を書いていくのか、どのような主張に導くのかをあらかじめ明らかにすることが重要です。論文全体の構造の中では序論部分がこれにあたり、序論においてあらかじめ主張。結末を明らかにしておくことは、英語ではthesis statementと呼ばれます。一方、パラグラフの中では後述するトピック・センテンスがこれにあたります。
そのため、技術士試験の解答では、付番して、タイトルを付けます。
その小項目のタイトルが、パラグラフのトピックを表すように書くと、それだけで読みやすい解答になります。
中間にあたる章や節においても同じで、その章や節の中で主張したいことを、各章や節の冒頭で明らかにします。あらかじめ次に書かれる内容の方向性がわかつていれば、読み手は迷うことがありません。
これは、とても重要です。
タイトルの付け方には、十分注意してください。
下に書いてある、パラグラフと表していない、タイトルをよく見ます。

論文・レポートに起承転結はダメ

日本には起承転結という文章作法があります。元々は中国漢詩の絶句のスタイルであつたもののようです。
広辞苑で起承転結を調べてみると、「第一の起句で詩思を提起し、第二の承句で起句を承け、第二の転句で詩意を一転し、第四の結句で全詩意を総合する」のだそうです。
この影響だと思いますが、日本では文章を書くときに「起承転結に注意せよ」、という
ようなことがよく言われます。
大手の、技術士試験対策講座では、これをテキストで説明しています。

起:京の五条の糸屋の娘=関心を引く
承:姉は16、妹14 =本題に入る
転:諸国大名は弓矢で殺す=意表をついて
結:糸屋の娘は日で殺す=スッキリとまとめる

こんな構成の論文はあり得ません。
ミステリー小説ではありません。
どんでん返しは不要です。

解答論文で、起承転結は絶対に止めましょう。

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