技術士試験に役立つ本をガッツリ紹介:第3弾-『吉岡のなるほど小論文講義10』

吉岡のなるほど小論文講義10

『吉岡のなるほど小論文講義10』 これ1冊で小論文が書けるようになるだけじゃない

『吉岡のなるほど小論文講義10』は、論文作法に関する著作が多い、吉岡友治先生の本です。
また、先生の著作の中でも初期の頃の本です。

アマゾンの著者紹介を見ると

宮城県仙台市生まれ。東京大学文学部社会学科卒、シカゴ大学人文学科修士課程修了。
比較文学・演劇理論専攻。竹内演劇研究所演出スタッフ、駿台予備学校現代文科講師、代々木ゼミナール小論文科講師などを経て、現在、インターネット講座「VOCABOW 小論術」校長。
ロースクール・MBA・公務員志望者などを対象に文章、論理の指導を行うほか、企業でもライティング指導を行っている。
インドネシア・バリ島にも拠点を持ち、プチ・ノマド的に仕事をしている。

実は、私が技術士試験を受けるとき、一番お世話になったのは、この吉岡先生です。
作文も指導を受けましたが、最も指導されたのは、ロジカルシンキングでした。
平成22年当時です。
およそ、7ヶ月間、神保町の事務所に通いました。
2週間に1回です。

世の中に論文の書き方に関する本は、何百もある

小論文の書き方、という本は以外に多いものです。
それこそ、書店の受験関連コーナーに行けば、もしくはアマゾンで検索をかけてみればわかるように、
たくさんの小論文関連の本を見つけることができます。
しかし、そのどれも、物足りない本であることは否めません。
もちろん、他の小論文関連書籍が間違っていたり価値のないものであるとは言えません。
ただ、それはどこか初心者入門に偏ったものであったり、より簡単に小論文を書く方法、
もしくは小論文をそれらしく見せる方法に終止しているものが大半なのです。
しかし本著は違います。
本著は、小論文とはなんぞやから始まり、その書き方を習熟に合わせて段階ごとに懇切丁寧にレクチャーしてくれる一冊となっています。
そう、つまり、これさえあれば小論文が書ける、そんな一冊なのです。
そして、その先に、さらなる恩恵としてロジカルシンキングというものまで与えてくれる一冊でもあります。

小論文の書き方というより、小論文の参考書兼問題集

本著を読めばすぐに分かることですが、本著はまさに参考書と言った趣の本。
対話形式で綴られていくその内容は、いわゆる予備校講師の授業録のような趣で進んでいき、
かつて大学受験二声を出した人であればどこか懐かしく感じる書き方になっています。
それだけに、その目的意識はしっかりとしています。
要は、途中に面白さや趣を加えることなく、しっかりと小論文を書ききるだけの能力を身に着けさせることに集中してあるのです。
そういう意味で、本著は非常にわかりやすい。
特に受験生として小論文の記述をしなければならない人には、おすすめの一冊です。
おそらく、読者対象は、社会科学系の勉強をしている、学生、大学院生でしょう。
とはいえ、技術士試験に役立つことは責任を持って、請け負います。
特に、必須問題では大いに役立つはずです。

手抜きのない構成

小論文を書く。
この一つの動作において、小論文をしっかりと書ける人間が一体どれくらいのタスクを脳内およびメモや下書きと言った形でこなしているのか、
小論文が不得意な人にはなかなか分かり得ないものです。
そして、それがかける人間にとって、これを一つ一つ懇切丁寧に教えるのはかなりの重労働でもあります。
冒頭に書いたように、小論文のハウトゥー本により簡単に書ける方法的な「裏ワザ」本が多いのもまた、
この全部教えていたのではきりがないという現実が大きく関わっているのです。
しかし、本書では、その面倒な作業をしっかりとしてくれています。
小論文を書くための基本的なルール、構成の仕方、論の組み立て方、説得力の出し方はもちろんのこと、
小論文問題の設問の形式ごとのとっかかり方から開放までがしっかりと網羅された一冊。
もちろん、そのせいで分量的にはかなり長いものとなっています。
しかし、それでもこれを一冊読み終例題をとき、開放を確認していけば、間違いなく小論文を書くことに苦はなくなるでしょう。
そういった観点からも、やはりこれ一冊で足りる本と言えます。

受験生だけじゃない、ロジカルシンキングという考え方

本著は得の受験生には間違いなく役に立つ本です。
しかし、では受験生以外には役に立たないかというと、そんなことは、絶対にありません。
そもそも、問題文の題意を読み取り、作問者が何を求めているのかを読み取る部分を丁寧に説明しています。
ですから、技術士試験、さらに絞り込めば必須問題の解答には、大きな参考になるのです。

というのも、やはりこの本がこれ一冊で小論文が書ける本であることに関係しています。
繰り返しますが、この本、小論文を書くという文章力の話だけではなく、
小論文をより良いものにするために必要なロジカルシンキングの方法に通ずる論旨の組み立て方を教えてくれる本だからです。
ロジカルシンキングとは、いわゆる論理立ったものの考え方というもので、論理的思考法と言われます。
このロジカルシンキングは、今の社会において非常に必要とされるビジネスパーソンにとって不可欠なスキルであることは皆さん御存知の通り。
複雑化する社会の中で、しっかりと論理立った行動こそが求められる現代においてはもはや常識的な思考法なのです。

ロジカルシンキングが身につきロジカルシンキングに騙されなくなる

小論文というのは、いわゆる設問のロジックに対して「自分がどう考えるか」という文章を書くものです。
その論に対して賛成なのか反対なのか、与えられた設問に対してどう捉えどのように発展して活かせるのか、それを記述するのが小論文です。
つまり言い換えれば、ひとつのロジックに対してそれを更にロジカルに発展させる能力を試されているということ。
もしくは、ロジックに対抗してロジックを組立てるという練習にもなるということです。
これは、ロジカルシンキングを行う上で、かなり重要な要素。
例えば、人を騙すことを生業とする詐欺師は、一般の人が聞くととてものこと怪しいとは思えないような説得力をもってありえないような怪しいものを売りつけることができます。
また、マスコミや報道では、至極普通の顔をしておかしなグラフや表を用いて印象を操作することもあります。
しかし、本著において、設問をしっかりと理解し、相手の論理を砕いて理解し、
資料を正確に読み取る目を養っておけば、その危険性はグッと減るでしょう。
そして、それに反論し、昇華させるロジックを導き出すこともできるはずです。

討論や会議に強くなる

そもそもの「小論文が書けるようになる」という趣旨からは大きくずれますが、
この本を読めば討論や会議においてもかなり力をつけることができることでしょう。
というのも、やはりそこにはロジックをしっかりさせるロジカルシンキングは不可欠だからです。
自分がロジカルに論を組み立てるその行程を知っていれば、相手の論旨に揺れがある部分、
脆弱な部分を見つけることは容易でしょうし、そこをロジカルにつくこともまた容易いはずです。
また、とっさの指摘や、急に意見を求められたときでも、論を組み立てるという作業に慣れていれば、その場で即座に論を展開することも可能になるはずです。
本著の中でも言及されていますが、論を組み立てる方法論を手に入れれば、自分の意見とは関係なく説得力のある論を展開できます。
言い換えれば、自己の考えによらずとも、どの立場からでも、しっかりと説得力を持てるのです。
技術士二次試験の受験において、この能力はかなり有益な能力と言っていいでしょう。