技術士試験は「段取り八分」で決まる!【後編】 -技術士試験合格に向けた具体策と本番シミュレーション-

1. はじめに:準備を「実行」に移すためのフェーズ

前編では、技術士試験対策において「仕事は段取り八分」というエンジニアの鉄則を適用することの重要性、そして「モチベーションに頼らない学習の仕組みづくり」の大切さについて解説しました。 7月19日(日)・20日(月)の試験本番まで残り5ヶ月を切った今、精神論ではなく「構造」で勝負することが合格への唯一の道です。

後編では、前編で構築したマインドセットを基に、具体的な行動としてどのような「準備」を進めていくべきか、実践的なアクションプランを提示します。さらに、中盤以降の学習の質を高めるためのフィードバック手法や、合否を最終的に決定づける「試験当日のシミュレーション」についても詳しく解説していきます。

2. 敵を知る:徹底的な情報収集と過去問分析

「段取り」の第一歩は、自分がこれから挑む対象を正確に把握することです。孫子の兵法に「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」とあるように、試験の「敵(出題傾向や求められる能力)」を知らずして、適切な準備は不可能です。

①過去問の徹底的な分析 多くの試験において、過去問にはその試験の「クセ」や「出題者(作問委員)の意図」が色濃く表れます。技術士試験において過去問は、単なる実力試しのツールではなく、「進むべき方向を示す羅針盤」です。 目安としては、直近の過去問5年〜10年分には目を通し、分析を行うつもりで取り組みましょう。 ここで重要なのは「解く」ことよりも「分析する」ことです。

・どのようなテーマが頻出しているか(例えば、防災、環境負荷低減、DX化など社会的なトレンドとの連動性)。

・問題文でどのような形式の解答が求められているか(課題の抽出、解決策の提示、リスクの評価など)。

・どの分野の配点(ウェイト)が高いのか。

②「早めに結果を出す」ことの重要性 準備段階において必ずやっておくべきなのが、「早めにアウトプット(解答作成)を経験すること」です。完璧に知識をインプットしてから問題を解こうとする受験生が非常に多いですが、これは効率が悪いです。むしろ逆で、早い段階で過去問に体当たりし、論文の骨子だけでも作成してみることが重要です。 一度でも自分の手を動かして解答を作ってみることで、「自分には論理展開力が足りない」「専門知識のキーワードが不足している」といった具体的な課題が見えてきます。この「現状の現在地」を知ることこそが、その後の学習の優先順位を決める最強のデータとなります。

3. 学習環境とツールの「断捨離」と整備

段取りを向上させるための重要なポイントとして「環境とツールの整備」が挙げられます。製造業における5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)が生産性向上の基本であるように、試験対策においても学習環境の最適化は不可欠です。

①教材の絞り込み(徹底的な取捨選択) 不安に駆られると、次から次へと新しい参考書や問題集、予想問題に手を出したくなります。しかし、これは「段取り不足」の典型的な兆候です。技術士試験対策において、多くの教材に手を広げることは百害あって一利なしです。 信頼できる基本テキスト1冊、過去問題集、そして自身で作成するキーワード集。基本的にはこれだけに絞り込み、それを本番までに「極める(何度も反復する)」環境を作りましょう。迷いをなくすことが、最大の効率化に繋がります。

②集中できる「場所」と「時間」の固定化 人間は、行動を環境に紐づけることで習慣化しやすくなります。「平日の朝は近くのカフェで1時間」「休日の午前中は図書館で3時間」など、集中できる場所と時間を事前に固定(マニュアル化・標準化)してしまいましょう。毎回「今日はどこで、何時から勉強しようか」と悩むこと自体が、脳のエネルギー(ウィルパワー)の無駄遣いであり、段取りの悪さです。

4. 実行と改善:自己管理のシステム化(PDCA)

入念な準備をして計画を立てても、実行フェーズに入れば必ず想定外の事態(急な残業、体調不良)が発生します。ここで重要になるのが、実行後の振り返りと改善、すなわち「PDCAサイクルの構築」です。

準備段階で組み込んでおくべきなのが、「自分の状態を客観視できる仕組み」です。 具体的には、ごく簡単な「学習記録(ログ)」を残すことをお勧めします。記録するのは、学習時間や進捗内容だけではありません。「その日の仕事の忙しさ」「睡眠時間」「心身の疲労度」といった自身のコンディションも含めて記録します。

1週間ごとにこの記録を振り返る(Check)ことで、さまざまな傾向が見えてきます。 「水曜日は残業が多くて必ず計画が遅れるから、最初から水曜の目標は半分に設定しよう」 「睡眠が6時間を切ると、翌日の論文作成の質が著しく落ちる」 「週末にまとめてやろうとすると、集中力が持たない」 こうした自分の行動パターンや調子を崩す条件を客観的に把握し、翌週の計画(Action)にフィードバックしていくのです。これは根性論や精神論ではなく、エンジニアが日常的に行っている「品質管理・工程管理の技術」を、自分自身に応用しているに過ぎません。

生産管理システムが工場の段取りを向上させるように、自分の学習を俯瞰して管理するシステム(手帳でもExcelでもアプリでも可)を構築することが、無駄な作業を減らし、短時間で高い成果を出す「生産性の向上」に繋がります。

5. 合否を分ける「試験当日のシミュレーション」

試験は「準備した分だけ」合格に近づきます。そして、その準備の集大成となるのが「試験当日のシミュレーション」です。 どんなに素晴らしい知識を持ち、完璧な論文が書けるようになっても、本番当日の極度の緊張感の中で実力を発揮できなければ、すべては水泡に帰します。本番でパニックになり、実力が出せない人の多くは、この「当日の段取り」が圧倒的に不足しています。

資格試験・受験は、完全に「運」の要素を排除することはできません。しかし、徹底したシミュレーションを行うことで、運任せのリスクを最小限に抑え込むことができます。

①模試を活用した「本番の練習」 できれば本番の1ヶ月〜2ヶ月前には、模擬試験を受験するか、自宅で本番と全く同じ時間割で過去問を解く「セルフ模試」を実施してください。

・本番と同じ時間配分で、本当に手が疲労に耐えられるか。

・見直しの時間は何分残せるか。

・疲労がピークに達する午後の科目で、集中力をどう維持するか。

点数に一喜一憂するのではなく、こうした「肉体的・精神的な課題」をあぶり出し、本番までに解決策を用意しておくための道具として模試を活用します。

②試験当日の行動シナリオの作成 さらに細かな段取りとして、試験当日の朝起きてから試験会場を後にするまでの「行動シナリオ」を事前に作成しておきます。

・当日と同じ時間に起床し、脳が覚醒するリズムを確認する。

・試験会場までのルート、乗り換え、所要時間、遅延時の迂回ルートを調べておく。

・前日までに、受験票、時計、指定された筆記用具(予備を含む)、温度調節しやすい服装を準備してカバンに入れておく。

・昼食はどこで調達し、何を食べるか(消化が良く眠くならないもの)。

・休み時間はトイレの混雑をどう回避し、どの資料のどのページを見直すか。

ここまで徹底的に「段取り」を整えておくことで、当日の予期せぬトラブルを回避し、心に圧倒的な「心理的余裕」を生み出すことができます。周りの受験生が緊張で顔をこわばらせている中、あなただけは「すべて想定内だ」と落ち着いて問題用紙に向き合うことができるのです。

6. おわりに:技術士への道は「準備」で拓かれる

「仕事は段取り八分、仕事二分」。 この言葉が示す通り、業務の成否の8割は事前の準備で決まります。適切な準備は、効率化を生み、ミスを減らし、トラブルを回避し、成果を最大化します。

現在2月末。7月19日・20日の試験本番まで、残された時間は限られています。しかし、今この瞬間から「運」や「モチベーション」に頼る学習を捨て、「準備」と「段取り」に注力すれば、合格の可能性は飛躍的に高まります。

・過去問を分析し、出題傾向と自分の現在地を把握する。

・生活リズムに合わせた、無理のない逆算型のスケジュールを立てる。

・教材を絞り込み、PDCAを回しながら学習環境を最適化する。

・本番のシミュレーションを通じて、当日の不安要素をすべて潰しておく。

これらを一つひとつ着実に積み重ねていくこと。それが、エンジニアとしての真骨頂であり、技術士試験における最も確実な戦い方です。試験が終わった後、「たまたま運良く受かった」ではなく、「やるべき準備をすべてやり尽くしたから、当然の結果として合格できた」と胸を張って言えるよう、今日からの「段取り」を進めてください。あなたの努力と緻密な準備が、技術士合格という最高の成果に結びつくことを心より応援しています。

この記事を書いた人

匠 習作

代表:匠 習作(たくみ しゅうさく・本名は菊地孝仁)
開講10年の歴史/総受講者数650名以上/web授業の先駆者

皆さん、こんにちは!「ロックオン講座」主宰の匠習作です。
HPをご覧いただきありがとうございます。
技術士二次試験は“論理的な思考能力”を鍛えて挑む必要がありますので
無事一次試験を突破された方でも、難しいなと感じる方が多くいらっしゃると思います。

とはいえ、働きながら十分な勉強時間を確保することは非常に大変なことです。
私自身、新卒から23年間医療機器メーカー勤務の会社員をしながら、懸命に勉強をしていた一人です。
この実体験を活かして、技術士試験の合格を目指す方々をサポートし、合格へと導きたい。少しでも役立つヒントや情報を提供したい。そう考えたことが本講座の始まりです。

■当講座のポイント
・質問回数無制限
zoomまたはchatwork(メールも可)にて、いつでも何度でも受け付けます。
・スピード添削
提出後概ね1日以内、ご本人が書いたことを忘れないうちにお返しすることができます。
論述の上達には添削が不可欠です。ここをしっかりこなせるかが合格への肝になります。
・開校当初からのweb授業とオリジナルテキスト
70を超える動画や200を超えるPDF資料、過去問12年分の解説集等々を提供します。
検索しやすいように整理され、自由にダウンロードして参照することができます。
・イチから教える“論作文”
私は自分が受験したとき大手講座で「技術士の解答ではない」と一言いわれ、どう改善すればよいか分からず困った経験があります。最初に書いた解答でした。
当講座では、主語と述語の関係から論理の展開まで、丁寧に細かく解説しますのでご安心ください。また、良いところは良いと褒めるようにしています。

■こんな方におすすめ
・仕事があるので対面授業には通えない、web授業でマイペースに勉強がしたい方
・とはいえ、続けられるかが不安、定期的にオンライン授業も受けたい方
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・論作文に苦手意識のある方
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Web授業×zoomライブ講座×24h質問対応にて、あなたをサポートします。

2013年に技術士講座を開講し、今年で10年目になりました。
総受講者数は600名を超え、多くの方が技術士試験に合格し、各分野で活躍されています。
各分野のテクノロジー産業のスペシャリストであり、産業分野において最高峰の資格といえる「技術士資格」は皆さんのキャリアにおいて大きな力となり、令和を生きるための強い武器となるでしょう。
長い歴史と実績のある、当社「ロックオン講座」を受講してみませんか?
初回zoom相談はいつでも無料です。是非お声掛けください。

匠習作のYouTubeチャンネルは、以下です。
https://www.youtube.com/channel/UCrbmFXXZvrb1a-nbQm-MOig

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