技術士筆記試験・結果発表にあたって

7月の筆記試験を終え、あの長い夏を越え、そしていま、結果発表まであとわずか。胸の奥がざわつき、何をしていても落ち着かない――そんな心境の方も多いと思います。技術士試験の受験者であれば、誰もが通るこの緊張の時期。ですが、この数日こそ、静かにこれまでの努力を振り返り、自分の歩みを見つめ直す大切な時間です。
筆記試験は、まさに「技術士の登竜門」と呼ばれる最難関です。合格率10数%という数字が示す通り、多くの人がここで立ち止まります。しかし、それは「才能がなかった」からではありません。むしろ、挑戦した時点であなたはすでに“技術士の道”の真ん中に立っています。挑戦することそのものが、技術者としての成長を意味しています。
そして迎える結果発表。
合格している人も、そうでない人も、どちらの可能性もあります。結果はもう、あなたの手を離れています。ここから先は、焦っても、願っても、変えることはできません。だからこそ、いまは「受け入れる準備」をしてください。どちらの結果であっても、それはあなたの人生にとって必要な意味を持っています。
もし合格していたなら、次は口頭試験です。
これは単なる“面接”ではありません。筆記で示したあなたの専門性と、技術士としての資質を問われる「総仕上げ」の試験です。ここを甘く見てはいけません。合格率は80〜85%と高いとはいえ、逆に言えば15〜20%の人が落ちるという現実もあります。せっかく筆記試験という険しい山を越えたのに、最後の口頭で油断すれば、一瞬で振り出しに戻ります。技術士試験には「科目合格」はありません。つまり、たとえ筆記に合格しても、口頭で不合格になれば、翌年はまたゼロからやり直しです。
口頭試験で問われるのは、「知識」ではなく「人間力」です。
あなたがどんな信念で仕事に向き合っているか、社会や組織にどう貢献しようとしているか、倫理観を持って技術を扱えるか――まさに技術士法第四十五条の二にある「公共の安全、環境の保全、国民福祉の増進」に資する姿勢が問われます。口頭試験は、あなたの“技術者としての在り方”を言葉にして示す場なのです。これを軽視せず、徹底的に準備することが、真の意味で「技術士」への扉を開く唯一の道です。
では、もし今回の筆記試験で結果が出なかったら――。
そのときは、どうか自分を責めないでください。試験というのは、努力のすべてを測れるものではありません。問題との相性や時間配分、あるいは採点者の判断の方向など、自分ではどうにもできない要素も多くあります。しかし、努力が報われなかったからといって、その努力の価値まで消えることは決してありません。むしろ、「本気で挑んだ経験」は、確実にあなたの中に残っています。
ここで思い出してほしいのが、兼好法師の言葉です。




「未だ堅固かたほなるより、上手の中に交りて、毀り笑はるゝにも恥ぢず、つれなく過ぎて嗜む人、天性、その骨なけれども、道になづまず、濫りにせずして、年を送れば、終に上手の位に至る。」(徒然草:第150段 能をつかんとする人)

現代語でいえば、「不器用でも、途中でやめずに真剣に続けた人が、最後には達人になる」ということです。はじめから完璧な人などいません。何度も恥をかき、何度も失敗しながら、それでも歩みを止めなかった人こそ、最終的に道を極めるのです。技術士試験もまったく同じです。


毎年、多くの受験者が一度、二度と落ちていきます。しかし、そこでやめた人は合格できません。逆に、もう一度立ち上がった人だけが、次の年に花を咲かせます。どんなに才能があっても、続ける意思のない人には届かない資格です。あなたが本気で技術士を目指すのなら、合否に関わらず、挑戦を続けてください。その姿勢こそが、すでに“技術士の資質”なのです。
今は、来年のことを考える余裕がないかもしれません。でも、結果がどうであれ、11月4日のあとに待っているのは、「次の一歩」です。合格者は口頭試験への準備、不合格者は来年度への再挑戦。いずれも同じ「未来へ進む」行動です。
試験は終わっても、学びは終わりません。むしろ、ここからが本番です。筆記での知識を現場で使えるレベルに昇華させ、次に備えてください。過去の自分を責めるより、「次はこうする」と明確に決めた瞬間から、あなたは前に進み始めます。
そして何より、この数ヶ月間、あなたが努力してきた事実を誇ってください。
技術士試験を受けること自体が、すでに専門技術者としての誇りの証です。たとえ結果がどうであっても、その挑戦があなたの人生を確実に成長させています。
筆記に合格した人へ。あなたはようやくスタートラインに立ちました。油断せず、口頭試験の準備を徹底してください。技術士としての「考え方」「責任」「倫理」を、自分の言葉で語れるようにしておきましょう。
惜しくも届かなかった人へ。悔しさは、次への原動力に変えられます。焦らず、立ち止まらず、もう一度挑んでください。兼好法師の言うように、「道を正しく重んじ、放埒せざれば」、必ず到達できます。
あと数日で結果が出ます。どんな結果であれ、それは「終わり」ではなく「通過点」です。結果は一つの節目にすぎません。ここからどう生きるかが、本当の勝負です。
11月4日、その瞬間に涙する人も、笑う人もいるでしょう。でも、皆さんはすでに、あの難関に挑んだ勇気ある仲間です。結果に一喜一憂せず、胸を張ってください。どちらの道であっても、未来は続いています。
この試験は、人生のゴールではなく、人生の「途中」にある挑戦です。
だからこそ、結果がどうであれ、自分の歩みを誇ってほしいと思います。
次の一歩を、笑顔で踏み出せる11月を迎えましょう。

この記事を書いた人

匠 習作

代表:匠 習作(たくみ しゅうさく・本名は菊地孝仁)
開講10年の歴史/総受講者数650名以上/web授業の先駆者

皆さん、こんにちは!「ロックオン講座」主宰の匠習作です。
HPをご覧いただきありがとうございます。
技術士二次試験は“論理的な思考能力”を鍛えて挑む必要がありますので
無事一次試験を突破された方でも、難しいなと感じる方が多くいらっしゃると思います。

とはいえ、働きながら十分な勉強時間を確保することは非常に大変なことです。
私自身、新卒から23年間医療機器メーカー勤務の会社員をしながら、懸命に勉強をしていた一人です。
この実体験を活かして、技術士試験の合格を目指す方々をサポートし、合格へと導きたい。少しでも役立つヒントや情報を提供したい。そう考えたことが本講座の始まりです。

■当講座のポイント
・質問回数無制限
zoomまたはchatwork(メールも可)にて、いつでも何度でも受け付けます。
・スピード添削
提出後概ね1日以内、ご本人が書いたことを忘れないうちにお返しすることができます。
論述の上達には添削が不可欠です。ここをしっかりこなせるかが合格への肝になります。
・開校当初からのweb授業とオリジナルテキスト
70を超える動画や200を超えるPDF資料、過去問12年分の解説集等々を提供します。
検索しやすいように整理され、自由にダウンロードして参照することができます。
・イチから教える“論作文”
私は自分が受験したとき大手講座で「技術士の解答ではない」と一言いわれ、どう改善すればよいか分からず困った経験があります。最初に書いた解答でした。
当講座では、主語と述語の関係から論理の展開まで、丁寧に細かく解説しますのでご安心ください。また、良いところは良いと褒めるようにしています。

■こんな方におすすめ
・仕事があるので対面授業には通えない、web授業でマイペースに勉強がしたい方
・とはいえ、続けられるかが不安、定期的にオンライン授業も受けたい方
・モチベーションを保つため、資格後のキャリアについても考えていきたい方
・論作文に苦手意識のある方
・他社の講座が合わずドロップアウトした方

Web授業×zoomライブ講座×24h質問対応にて、あなたをサポートします。

2013年に技術士講座を開講し、今年で10年目になりました。
総受講者数は600名を超え、多くの方が技術士試験に合格し、各分野で活躍されています。
各分野のテクノロジー産業のスペシャリストであり、産業分野において最高峰の資格といえる「技術士資格」は皆さんのキャリアにおいて大きな力となり、令和を生きるための強い武器となるでしょう。
長い歴史と実績のある、当社「ロックオン講座」を受講してみませんか?
初回zoom相談はいつでも無料です。是非お声掛けください。

匠習作のYouTubeチャンネルは、以下です。
https://www.youtube.com/channel/UCrbmFXXZvrb1a-nbQm-MOig

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