技術士二次試験「受験申込書」の書き方

Lock-On:二次試験講座の講師達

口頭試験で後悔しない業務経歴と業務の詳細

まず、何よりも「受験申し込み案内」をよく読むこと

令和5年度の受験申込書はこちらをクリックして下さい。ダウンロードできます。

よくある書き間違い

  1. 書き方のミスでは「○」印の未記入が一番多いと思います。2月3月は1日に2~3件の申込書を添削することがありますが、確率で言うと、5件に1件は未記入です。
  2. 従事期間を和暦で記入しています。これは、○印忘れよりも少ないですが、それでも割と見ます。と言うのは、以前和暦で記入だったからです。令和になって、元号が2つになり、計算が面倒になったのでしょう。西暦ならずっと連続ですから計算は簡単です。いずれにしろ、「西暦で記入のこと」と書いてあります。西暦で記入してください。また、期間の重複は不可です。
  3. 経歴の書き順が、逆になっていることがあります。古い業務が上です。新しい業務が下です。下に向かって新しくなるので、そこが分かり難いのでしょう。これもときどき見ます。
  4. 業務経歴と重複する大学院在学期間の記入も見ることがあります。これは、「業務経歴の期間と重複する大学院の研究内容は記載しないでください。」と書いてありますから、不可です。
  5. 海外の大学院の在学期間は記載しないこと。これも「海外の大学院に在学した期間は、業務経歴の期間から減じることができませんので、記載しないでください。」と書いてあります。書かないで下さい。
  6. 肝心、かつ重要なことですが、記載されている業務が技術士の業務になっていないことがあります。技術士の業務は「第二条 この法律において「技術士」とは、第三十二条第一項の登録を受け、技術士の名称を用いて、科学技術に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務を行う者をいう。つまり、計画、研究、設計、分析、試験、評価」です。ですから、経歴の業務は左の6つの中から選択して記載します。施工計画は計画ですから、そのまま施工計画で良いでしょう。ときどき、現場監理とか、現場監督、○○の調査、□□の開発、~~の解析と記載する人がいます。これは、上の言葉に書き換えて下さい。
  7. 総合技術監理を受験する場合は、「計画、研究、設計、分析、試験、評価」の管理です。個別の場合は管理、2つ以上の場合はは監理です。これは、間違えないで下さい。
  8. 業務の詳細に選択する業務が、「専門とする事項」と関連付いていない。これは、申し込み案内に令和4年から追加された要求です。「業務経歴の中から、受験申込書に記入した「専門とする事項」に関連するもので、「業務内容の詳細」に記入するものを1つ選び、「詳細」欄に○を付ける。」とあります、これも間違いが多いので注意してください。
  9. 最終行(一番下の新しい業務)の年月をその年の4月と書く人がいます。まあ、4月に出すから4月と書くのでしょう。しかし、これも申し込み案内に、「従事期間は、受験申込書の提出日現在で計算しますので、最終行の年月を「~202◇年4月」とした場合、当該月を1ヶ月分として計算できませんので、「~202◇年3月」と記入する。」とあります。注意してください。
  10. 専門とする事項に関して、技術士会の説明が分かり難いのですが、少し説明します。申し込み案内の28ページを見て下さい。そこに以下の説明があります。

    「専門とする事項は、専門として行っている業務の内容を選択科目表の中の“選択科目の内容”の事項又は同程度の事項を30字以内で簡潔に記入する

    “選択科目の内容”とありますから、そのまま書く人が多いのですが、半分間違いです。自分が何を専門とするかは、本人以外に分かるはずがありません。
    ですから、どう考えてもこれは自分の言葉で、「同程度の事項を30字以内で簡潔に記入する」のが正解です。ただ、あまりにも問い合わせが多いので、上記のような説明になっています。難しく考える必要はありません。
    自分が、得意とする分野を書けば良いのです。
    仮に「設計」書いてしまうと、ロケット、原子力発電設備、橋、自動車エンジン、家電品、までのあらゆる対象物の設計が得意分野ということになります。そんな人がいるはずありません。

上記がよく見る間違いです。口頭試験に進んだときに、「ごめんなさい」で済むものもありますが、やはり恥ずかしいですから、注意してください。間違いの無いように記載しましょう。

業務の詳細の書き方

これは、本当に千差万別、様々な書き方があります。また、多くの人が受験申込み案内に書かれていることを無視しています。
どうして、これほど多くの人が、技術士会が配布している公式の「申し込み案内」を無視するのか私には理解できません。
およそ、半分の人は技術士会の要求に応えていません。正直、その理由を知りたいくらいです。

令和4年度の技術士二次試験申し込み案内

業務内容の詳細 (必ず記入すること。)

  • 業務経歴の「詳細」欄に○を付したものについて、業務内容の詳細(「目的」、「立場と役割」、「技術的内容及び課題」、「技術的成果」など)を、受験申込書に記入した「専門とする事項」を踏まえ、720字以内(図表は不可。半角文字も1字とする。)で、簡潔にわかりやすく整理して枠内に記入する。
  • 業務経歴の「詳細」欄に○を付した業務経歴の期間中に業務内容が複数にわたる場合は、その中から1つの業務を選んで記入する。
  • 総合技術監理部門を申し込む場合は、総合技術監理の視点(経済性管理、人的資源管理、情報管理、安全管理、社会環境管理)から記入する。

総合技術監理の説明が少し分かり難いですね。これは理由があります。総監を受験する人は、ほとんどの場合、すでに技術士です。技術士会からすれば「そんなこと、分かるだろう」という訳です。

いずれにしても、考え方は同じです。ただ、解決策は専門技術で解決するのではなく上記5つの管理で解決します。5つの管理を全て使う必要はありません。でも3つくらいは使って下さい。

書くべき項目

まず、経歴は専門とする事項と整合させて下さい。
単純にいうと、専門とする事項が設計なのに、業務の詳細が、メンテナンス管理では整合していないことになります。
また、技術士の業務になっていますか? 技術士法の2条を思い出して下さい。
「計画、研究、設計、分析、試験、評価」です。総合技術監理の場合は、その管理です。
これで、経歴までは完成です。

次に詳細です。
業務経歴の「詳細」欄に○を付したものについて、業務内容の詳細(「目的」、「立場と役割」、「技術的内容及び課題」、「技術的成果」など)を、受験申込書に記入した「専門とする事項」を踏まえ、720字以内(図表は不可。半角文字も1字とする。)で、簡潔にわかりやすく整理して枠内に記入する。

上記の通り書いてあります。
詳細の項目は案内にある通りに修正しましょう。

【目的】
【立場と役割】
【技術的内容と課題】
【解決策】
【成果】

また、纏めるときは
目的⇒課題⇒その理由
また、課題とは、目的達成を阻む障害物が課題です。あるいは、目的達成のために成すべき事が課題です。
これは、筆記試験の解答と全く同じ考え方です。

上記の関係を良く考えて下さい。
私は全体の流れを以下のように記入することをお薦めします。

【業務の目的】これがゴールつまり成果になります。
【立場と役割】これはそのままどんな立場でどんな役割なのか?
【技術的内容と課題】障害物、解決すべき事項です、これを明確にしないと解決策が伝わりません。
【解決策】課題をどんな考えで解決したのかを書いて下さい。文章量はここが一番長くなります。
【成果】業務の目的が達成されたことを書いて下さい。

まず、業務の目的を明示しましょう。
成果と合わせて考えてください。また、目的はブレイクダウンして、課題が抽出できる目的に落とし込んでください。
そして、目的達成が成果です。
それと、目的達成を阻む障害物を課題にしてください。
目的⇒その障害物(課題)⇒解決策⇒目的達成(成果)です。

概要は書いても良いのですが、無くても可です。
ただし、目的を明確にして下さい。
工事を行うことが技術士の目的ではないので、注意してください。
技術的な目的です。
目的があるから、課題があります。
筆記試験の場合は、問題文の題意が「目的」です。

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