技術士口頭試験の概要と対策

技術士口頭試験

口頭試験で後悔しないために、行うこと!

まずは技術士会の口頭試験に対する説明です。
技術士第二次試験実施大綱      (令和3年12月10日)

(2)技術士口頭試験

① 口頭試験は、筆記試験の合格者に対してのみ行う。
② 口頭試験は、技術士としての適格性を判定することに主眼をおき、筆記試験における記述式問題の答案及び業務経歴を踏まえ実施するものとし、筆記試験の繰り返しにならないよう留意する。
③ 試問事項及び試問時間は、次のとおりとする。なお、試問時間を10分程度延長することを可能とするなど受験者の能力を十分確認できるよう留意する。

技術士口頭試験の内容

※選択科目に関する口頭試験は、総合技術監理部門以外の技術部門の口頭試験にて別途行うこととする。
また、選択科目が免除される者は必須科目のみの試問とする。

配点に関しては以下

② 口頭試験 (以下は総合技術監理部門を除く技術部門)
試問事項別の配点は次のとおりとする。

Ⅰ 技術士としての実務能力と

  1. コミュニケーション、リーダーシップ     30点満点
  2. 評価、マネジメント                   30点満点

Ⅱ 技術士としての適格性

  1. 技術者倫理                               20点満点
  2. 継続研さん                          20点満点

(以下は総合技術監理部門)
試問事項別の配点は次のとおりとする。

Ⅰ 総合技術監理部門の必須科目に関する技術士として必要な専門知識及び応用能力

  1. 経歴及び応用能力                     60点満点
  2. 体系的専門知識                       40点満点

Ⅱ 選択科目に関係する技術士としての実務能力

Ⅰ 技術士としての実務能力

  1. コミュニケーション、リーダーシップ      30点満点
  2. 評価、マネジメント                    30点満点

Ⅱ 技術士としての適格性

  • 技術者倫理                                20点満点
  • 継続研さん                           20点満点

試験内容に関しては、以上ですが、では、口頭試験に合格するにはどうすればよいのでしょうか? 
以下、順番にご説明します。

令和元年からの新制度の特徴

コンピテンシーを重視する口頭試験審査になり、質問される内容が大きく変わりました。従来は、経歴欄で「技術士にふさわしい業務」を確認する。業務内容の詳細欄で「高等の応用能力(創意工夫による課題対策)」確認する。この2つを重視した口頭試験でした。しかも、口頭試験不合格者の大半は、業務内容の詳細で応用能力が確認できないケースでした。令和元年からの口頭試験では、次の4つのコンピテンシーについて直接質問しています。
もうひとつ、業務経歴や業務の詳細に関する説明、すなわちプレゼンテーションですが、これは、おおよそ半分程度の受験者に求めています。逆に言うと練習しても、半分の受験者は無駄になるのです。
とは言え、確率50%だと、練習しない訳には行かないです。諦めて、練習してください。

  1. コミュニケーション、リーダーシップ
  2. 評価、マネジメント
  3. 技術者倫理
  4. 継続研鑽

試験では以下の通り、4つのケースの内容になっています。

令和元年からの口頭試験内容

ある意味、コンピテンシー審査に変わったと言えます。全部門、全科目でコンピテンシー審査が周知徹底されています。上記の4項目の試問事項にそって、順に質問しています(順番は多少変わることもあります)。
令和元年から、令和3年までに100名弱の模擬口頭試験を実施しましたが、ほとんどの方が概ね同じ内容で質問されています。
これは、あくまで推定ですが、質問の基準みたいな資料が全ての部門と科目の試験委員に配布されていると思います。そうでないと、同じ質問になるはずはありません。
平成30年までは、部門や科目により、質問が異なっていました。

新しい口頭試験で合格するために、以下のことを理解してください

まず、経歴と業務の詳細に関して、コンピテンシーから説明できるように準備する

  1. コミュニケーション
  2. マネジメント
  3. リーダーシップ
  4. 評価
  5. 技術者倫理

上記の5項目に対し、順番にご説明します。

コミュニケーション

技術士会が令和元年に発表した、技術士試験の概要の中に、コンピテンシーの説明があります。
その中でコミュニケーションは、以下のように説明されています。

・業務履行上、口頭や文書等の方法を通じて、雇用者、上司や同僚、クライアントやユーザー等多様な関係者との間で、明確かつ効果的な意思疎通を行うこと。
・海外における業務に携わる際は、一定の語学力による業務上必要な意思疎通に加え、現地の社会的文化的多様性を理解し関係者との間で可能な限り協調すること。

マネジメント

・業務の計画・実行・検証・是正(変更)等の過程において,品質,コスト,納期及び生産性とリスク対応に関する要求事項,又は成果物(製品,システム,施設,プロジェクト,サービス等)に係る要求事項の特性(必要性,機能性,技術的実現性,安全性,経済性等)を満たすことを目的として,人員・設備・金銭・情報等の資源を配分すること。

リーダーシップ

・業務遂行にあたり,明確なデザインと現場感覚を持ち,多様な関係者の利害等を調整し取りまとめることに努めること。
・海外における業務に携わる際は,多様な価値観や能力を有する現地関係者とともに,プロジェクト等の事業や業務の遂行に努めること。

評価

・業務遂行上の各段階における結果,最終的に得られる成果やその波及効果を評価し,次段階や別の業務の改善に資すること。

技術者倫理

・業務遂行にあたり,公衆の安全,健康及び福利を最優先に考慮した上で,社会,文化及び環境に対する影響を予見し,地球環境の保全等,次世代にわたる社会の持続性の確保に努め,技術士としての使命,社会的地位及び職責を自覚し,倫理的に行動すること。
・業務履行上,関係法令等の制度が求めている事項を遵守すること。
・業務履行上行う決定に際して,自らの業務及び責任の範囲を明確にし,これらの責任を負うこと。

上記が技術士会の説明です、なんとなく分かりますか? ただ、上記の中でコミュニケーションに関しては、質問がありません。
何しろ、口頭試験そのものが、コミュニケーション能力を必要とする試験です、受験者の態度、話し方、答えを返すまでの時間などから、判断、評価していると思います。
ここで、上記技術士会の説明を単純化してシンプルにまとめてみましょう。それぞれのコンピテンシーで何を注意すべきかが分かると思います。

マネジメント=リソースの配分


マネジメント=解決策に必要なリソースの配分です。
マネジメントに関しては、ネット上でも様々な定義や考え方を見付けることができます。
例えば、日本人が大好きなピーター・ドラッカーは、マネジメントを次のように説明しています。
「組織をして成果を上げさせるための道具、機能、機関」(引用:明日を支配するもの)。
あるいは、別のところで、「マネジメントとは人のことである」とも書いています。
これ、正直よく分からないです。
ファンの方には申し訳ありませんが、私はドラッカーをあまり評価していません。そもそも、日本以外の経営学者は、ドラッカーを相手にしていないのではないですかね? 
まあ、話を戻します。例え、経営工学の口頭試験でも、ドラッカーのことを質問されることは無いはずです。
技術士会の定義はシンプルです、「解決策に必要なリソースの配分」それが、マネジメントです。
ですから、経歴に書いた業務を「マネジメントの視点で説明して下さい」と問われたら、リソースの配分をどうしたのか? そこを上手く解答しましょう。

リーダーシップ=業務遂行にあたり、メンバーの意見をまとめること

リーダーシップ=業務遂行にあたり、多様な関係者の利害等を調整し全員を目標に向けること
単純に意見の調整役ではありません。
組織あるいは、グループで目的達成を目指す場合、全員の方向がバラバラでは、力は伝わりません。まして、人手不足の昨今、少ない人数で、社会を支える大きな力となるには、全員で同じ方向をむく必要があります。大切なことは、全員で話し合い、全員で向かうべき方向を決めること。昔風に言えば「一致団結」です。
こととき、一致団結の旗を振る人、それがリーダーと言って良いと思います。組織上の立場を超えて、その力を発揮できる人がリーダーシップを持っているのです。
また、顧客の要求事項を満たし、プロジェクトを成功に導くためには、ステークホルダーとの合意形成も必要です。
顧客満足度を上げるためには、合意形成した内容からブレイクダウンして、そこに向けた「一致団結」が必要だからです。
ですから、これも経歴に書いた業務を行う上で、顧客あるいは、ステークホルダーと合意した内容をどのようにブレイクダウンして、メンバーの意思統一をどのように行ったのか? 
それを中心に説明できるように答えを考えて下さい。

評価=自分の仕事の振り返り

評価=工程毎に自分の業務を振り返り、目標に向かって進んでいることを確認する。
これは、自己評価ですが、ある程度客観性を持った自己評価です。
どんな業務でも、期限や予算があり、その枠の中で目標を達成することが求められます。
全て終わってから、振り返るのではなく、途中のマイルストーン毎に成果物の品質、進捗や予算、他への影響などを確認し、問題があれば改善、見直しを行います。
例えば、口頭試験では「この業務を振り返って、現在のあなたなら、どう評価しますか?」などと質問されることがあります。
上記の考えを元に、答えを用意して下さい。

技術者倫理=安全と公益を最優先すること

技術者倫理=安全と公益の確保です。
こkは、あまり難しく考える必要はありません。製品やサービスの安全性を考えない技術者はいないでしょう。
技術者倫理に関しては、根源的なことを考え出すと、1時間話し合っても話は尽きないと思います。
例えば「技術者倫理とは何ですか?」等と言う質問はありません。
ただ、ときどき、倫理違反に関する、時事的なニュースから質問が出るときがあります。
世間を騒がすようなニュースにはアンテナを張っておくことをお勧めします。
もし、私が試験委員なら、技術者倫理に関しては以下のように質問すると思います。
「家族を大事にしていますか?」
「今回の受験で、ご家族に負担を強いることはありませんでしたか?」
まあ、技術士会はOKを出さないでしょう。でも、私はこう考えます。
身近な人間を大事にしない人が、見知らぬ公衆の安全や利益を大事にしますか?

私は信仰心など持っていませんし、ましてクリスチャンではありませんが、以下の言葉は重く受け止めます。
新聞記者「平和に向けて私達は何をするべきですか?」
マザー・テレサ「家に帰りなさい。そして家族を大切にすることです」
多分、技術者倫理も根幹は同じです。

継続研鑽や技術士の制度に関して

これは、ハッキリ言って、知識で答えられる質問です。
毎年、模擬口頭試験を行っていますが、技術士会のホームページを確認していない方が大勢います。
自分が技術士になろうとしているのに、技術士会のホームページすら見てないのです。
これは不合格になりますよ。私が試験委員なら間違いなく落とします。
CPD制度に関しては昨年(2021年)変更がありました。
「CPDガイドライン Ver1.1」を確認して下さい。
CPDの目的や概要などこれを読むだけで分かります。また、最低限以下のことは頭に入れて下さい。

いかがでしょうか?
口頭試験の概要と何を対策すれば良いのか? 概ね説明できたと思います。
ただ、実際の試験は対面で直接のやり取りです。最大の敵は「緊張感」と言えるでしょう。
技術士試験には科目合格がありません。言い換えると、口頭試験で不合格だった場合、来年は筆記試験から受け直すことになります。双六ではありませんが、「振り出しに戻る」です。一度、筆記試験に受かったから、今度も大丈夫などと思わない方が良いと思います。
ですから、筆記試験を突破して口頭試験に進むことができた場合、絶対に落ちないようにして下さい。
口頭試験は、落とすための試験ではありません。
場合によっては、試験委員が助け船を出してくれることさえあります。
9月を過ぎたら、口頭試験の準備に入って下さい。
ロックオン講座では、口頭試験の対策講座も準備しています。
技術士になりたいという、あなたの目標に対し、応援します。