令和3年度口頭試験の試験内容:総監-1

技術士合格

令和3年度口頭試験の試験内容:総監-1

総合技術監理部門合格者さんの場合

日時:2021年(令和3年)12月17日(金)
場所:TKP市ヶ谷カンファレンスセンター
部門:総監部門(鋼構造及びコンクリート(コンクリート構造))
試験官:3名

※実際の質問の順序は下記とは異なりますが、自分なりにジャンル分けをして、復元しています。
※記憶によるものであるため、実際の問答と異なることがあります。また、復元の際、回答が実際よりも良くなっていることもあります。
※定刻で試験官からのお呼び出しがあり、受験番号と自分の名前を述べた後、以下のとおりです。

1.業務経歴・業務詳細

これまでの経歴と業務詳細を説明してください。
→1つ目の職場では、コンクリートダム堤体工事監理において、経済性管理として、ダム堤体の品質確保のため、ひび割れ防止を考慮したコンクリート打設計画の立案を行いました。
2つ目の職場では、河川構造物の設計積算において、経済性管理の成果品の早期提出と同じく経済性管理の成果品のミス防止とのトレードオフマネジメントを行いました。
3つ目の職場では、土石流流下施設の設計・施工監理において、経済性管理として施設による渓流の治水機能確保、社会環境管理では、対話による住民理解、自然環境との調和を行いました。
4つ目の職場では、県独自の新技術システム運営業務において、経済性管理として社会資本の品質確保、人的資源管理として新技術の検討をシステム化することによる職員育成、社会環境管理として廃棄物由来の資材を活用した新技術の社会影響評価を行いました。
5つ目の職場では、橋梁維持管理計画実行において、経済性管理として点検外部委託費用のコスト縮減、人的資源管理として維持管理スキルアップのための職員育成、安全管理として点検現場での労働災害防止を行いました。

次に業務詳細です

業務の概要ですが、
橋梁の効率的な維持管理計画の実行です。
私は道路管理部署のチームリーダーとして、総合技術監理の俯瞰的な視点で、予算不足の解決、職員の技術力不足の解決、点検時の事故防止を行いました。そして、解決策間で生じるトレードオフのマネジメントを行うことで、業務の全体最適化を図りました。

次に、課題です

限られた予算・人員で的確な橋梁の維持管理を行うことで、橋梁長寿命化を果たすことです。

次に解決策です

私は5つの管理のうち、経済性管理と人的資源管理と安全管理とが特に重要と考えて、解決を図りました。
経済性管理では、外部委託費用のコスト縮減のため、既存の人員と能力で対応できる範囲である全橋梁の20%で、直営による点検を行うこととしました。
人的資源管理では、職員による維持管理能力を高めるために、OJTとして、専門業者と一緒に業務を行わせました。
安全管理では、執務室でスライドを見せるなどして知識を習得させ、点検現場では実体験をすることでスキルを習得させることで、労働災害防止を図りました。
しかしながら、解決策を実施したものの職員の大多数が、実務経験が乏しく、また労働安全意識が十分ではなかったことから、職員教育にさらなる時間と費用を費やす状況でした。
しかし、そうすると経済性管理において、点検工程が進まなかったり、年度予算が不足したりすることになりかねません。
このため、人的資源管理と安全管理の1セットと経済性管理とがトレードオフとなりました。
これは、桁下高が低く脚立でも点検ができるような橋梁では、事故リスクが低いと判断して直営点検とし、それ以外では点検専門業者へ外部委託するとすることで対応しました。

次に成果です

経済性管理では、点検費用が10%削減できました。
人的資源管理では、職員が点検専門業者の成果をチェックできるようになりました。
安全管理では、事故0が現在も継続しています。
これらにより、橋梁長寿命化ができ、組織の社会的責任を果たせました。

Q:専門的な話になりますが、点検で気を付ける点を教えてください。
A:橋梁の継手部や排水部は、下部工や桁に水がかかり、錆やアルカリシリカ反応に気を付ける必要があります。

Q:橋梁点検は人手がかかると思いますが、今後どのようにしたいですか?
A:目視点検をする必要がありますが、ドローンやロボット、AIを活用できればと思います。
Q:その辺は進んでいますか?
A:ドローンに取り掛かっている所ですが、本格的になるのには時間がかかると思っています。

Q:福岡県のドローンに対する取り組みを教えてください。
A:人的資源管理において、ドローンの研修をしています。
災害が発生し、現場に行こうにも遮断された場合、ドローンにて現場状況を把握できます。

Q:詳細業務において、スキルアップを実施していますが、県庁の場合人事異動がありますので、その効果は薄れませんか?
A:移動した職員については、職員調書に業務実績が記載されますので、人事部局は把握できます。また、職員が移動すれば、一時的に組織としてパフォーマンスが下がりますが、転入した職員に対しては、研修を実施しています。

Q:点検費用が10%削減できたとは、どういうことですか?
A:すべての橋梁を外部委託した場合との比較です。

Q:直営点検をすると、10%の削減の効果は分かりますが、他の業務の時間を削られることとなると思います。そうまでしても直営点検をする価値はありますか?
A:点検の実体験をすることで、職員のスキルが上がり、専門業者からの成果のチェックができるメリットがあります。また、そうなると組織としての仕事の質が上がります。福岡県の長寿命化の目標は130年ですが、それを果たすことができますし、更新費用の平準化が図れます。県財政のひっ迫を避けることができますので、する価値はあると考えています。

Q:新技術システム運営をされていますが、国の新技術システムのネティスとは何が違うのですか?
A:登録対象の新技術を福岡県で確実に活用できるものに限定しています。また、開発者を県内に本店や支店があるところとしています。ネティスの福岡県版です。

Q:新技術システムのメリットがあれば教えてください。
A:基準適合情報というグレードが高い技術がありますが、その技術に登録されますと設計の際に、検討することとなりますので、その技術の開発者にとってメリットとなります。
また、工事請負者が新技術を活用しますと、工事成績の加点があります。

2.筆記論文

Q:筆記論文は良く記述していると思います。テーマはデータの利活用でしたが、難しかったですか?また、どのような事を意識して記述しましたか?
A:相変わらず難しさは感じましたが、過去3回の経験があることと、通信講座でトレーニングをしたことから、比較的よく書けたと思います。
意識したことは、5つの管理とトレードオフです。

3.その他

Q:県庁には何人の技術士がいますか?また、総監技術士は何人いますか?
A:75名程度の技術士がいます。また、総監技術士は15名程度です。

Q:建設部門を取得されていますが、何年前ですか?また、総監の受験は何回目ですか?
A:建設部門の取得は7年前です。総監の受験は4回目です。

Q:動機は何ですか?
A:リーダー的立場となり、組織のプロジェクトや業務の経験を積み重ねていくにあたり、総合技術監理の俯瞰的な視点や5つの管理の活用、トレードオフマネジメントの必要性を感じていまして、それらがあることの証明となる資格を取ることで、組織内外から信用を得て、社会貢献としたいと考えるからです。

Q:失敗例を教えてください。また、総監を勉強していたらどのように防ぐかを教えてください。
A:災害復旧事業を行う部署にいた時に、大規模な災害が発生しました。私はリーダー的立場でしたので、地元からの苦情対応や災害復旧工事発注などを抱え込んでしまいました。それで、疲労が蓄積して、帰宅電車の中で寝過ごしてしまい、帰りが深夜になることがありました。そのことで、子育て中の家内に負担や迷惑をかけることとなり、ワークライフバランスが保てない時期がありました。
もし、私が総監の勉強をしていれば、情報管理としてチーム内の各職員の業務状況を把握し、職員の習熟度を考慮して、経済性管理の業務分担をしていたと思います。また、人的資源管理として、簡易な業務は若手に任せていたと思います。

Q:業務において、総監が役立っていれば、教えてください。
A:人的資源管理のSL理論やサーバントリーダシップが役に立っています。
職員の習熟度により、指示的行動や協労的行動を使い分けています。
また、組織を下から支えることで、職員がやりやすいように心がけています。

Q:今、人的資源管理が役に立ったとのことですが、情報管理で役に立ったことを教えてください。
A:ナレッジマネジメントが役に立ちました。
工事現場で事故が発生した場合、その原因とその対策を知見として系統的に集積して、データベース化しました。そして、それから工事チェックリストを作成し、工事現場で不具合の有無を確認することで、工事発注者および請負者の安全確保を図りました。

Q:部下は何人いますか?そして、コミュニケーションや組織のマネジメントはどのようにしていますか?
A:部下は5人います。
寄り添う形でコミュニケーションを取り、情報管理として、困っていることや悩みを共有しています。そして、私も含めた周りの職員の知見や経験を使って、解決を図っています。また、経済性管理において、職員の習熟度を踏まえて、業務分担をしています。

Q:最後に、回答が難しいかもしれませんが、あなたが福岡県知事とした場合、大規模災害があった場合、何をしますか?
A:情報管理として、県民の安否確認をします。そして、担当部署の出動を図ります。

Q:それは、情報管理ですか?
A:情報管理と安全管理の複合管理です。

Q:私は安全管理として、知事であればどうするかを答えてほしかったです。
A:安全管理として、県民の安否確認をして、担当部署の出動を図ります。

4.感想

緊張なく落ち着いて受験したつもりですが、復元して、振り返りますと、質問に的確に回答できたかどうかは微妙です。試験官が意図した回答とは、異なっていたかもしれません。また、もう少し5つの管理を意識した回答をすればよかったと思います。例えば、橋梁の直営点検を実施する価値や新技術システムのメリットなどがそうでした。最後の知事の立場としての回答のやりとりには不安が特に残りました。
しかしながら、自分なりに頑張ったので、良かったと思います。また、今回の口頭試験も建設部門取得時と同様に楽しめました。おかげさまで、いい経験ができました。貴塾、家族を含めた周りの方々、試験官に感謝します。大変ありがとうございます。