『考える技術・書く技術ワークブック下』をご紹介

考える技術・書く技術

基本を抑えた上での実戦『考える技術・書く技術ワークブック下』

技術士試験の解答では、解答の論理的整合性が重視されます。

論理的な解答を書くためには、どうすれば良いのか?
しかも、時間制限のある、試験会場では何度も構成を練り直すことはできません。
バーバラ・ミントの『考える技術・書く技術ワークブック上下』では、それがマスターできるように説明されています。
とは言え、実際に技術士試験の会場でその力を発揮するためには、日頃のトレーニングが必要です。

『考える技術・書く技術ワークブック上』で学んだピラミッド型の論理形成術。
『考える技術・書く技術ワークブック下』ではそこで学んだ論理形成術を使って、
より具体的に考え方を構成し文章に落としていく方法を学んでいきます。
要は、実践編です。
この実践編をすべてやり終えて、全てに理解が及んだその時には、
間違いなくあなたは論文の達人……とまでは行かなくても、少なくとも不得意ではない人間となっていることでしょう。
もちろん、ちゃんと上巻で学んだことを理解習得していなければ、意味はありません。
学んだだけでは、技術士試験を乗り切ることはできないのです。
学んだ知識は、理解して、消化することが重要です。
そのためには、練習あるのみです。

上巻が設計図の書き方なら、下巻は実際の建設方法

まず、この下巻は実戦であることを強く頭に入れてください。
つまり上巻で設計図のシステムや、設計するときのルール、
設計する際に気をつけるポイントなどをしっかり叩き込んだ上で、
さぁでは実際に設計図を書いて家を立ててみましょうというのが下巻なのです。
もちろん、上巻の内容を忘れている人用のちょっとした追加説明はあります。
とはいえ、上巻を読んでいない人間が読んで、意味がある内容にはなっていません。
ですので、こういうハウトゥ本にありがちな、下巻だけ、
つまり応用編だけを読んでいればなんとなく意味は通じるし、
それだけでも価値があるというたぐいのものではありません。
しっかりと上巻を読む、これが重要になってきます。

少し長いですが、下巻の10ページから引用します。

ステップ1:確実と思える情報をもとに、考えの出発点をつくります
ピラミッドの頂上となる箱を描きます
これから論じようとする文書のテーマを書きます
テーマに関し、あなたが答えようとしている読み手の疑間を書きます
(もしわかっているならば)答えを書きます。あるいは、この疑間はあなたが答えることので
きる疑問かどうかをチェックします

ステップ2:導入部全体を考えることにより、上記の考えが正しい軌道に乗つているかどうかを読み手の視点でチェックします
テーマに関し“状況(S:Situation)”を記述します。その記述は、読み手が「そのとおり」と
確実に合意する内容でなくてはなりません
読み手との間でQ&Aをイメージします。うまくいつていれば、あなたの状況記述に対し、読
み手は「そのとおり。それは承知のことだ。それで?」と質問するはずです
この読み手の反応に導かれる形で、“複雑化(Ci ComplicaJon)・の記述に入ります
この“複雑化
“が“疑問(Q:QUest on)”の引き金を引くはずです
そして、この“疑間
“が“答え(A:Answe「)“ を要求します

ステップ3:キーラインを見つける
頂上ポイント(“答え”)に
対して発生するさらなる読み手の疑間を記述します
この疑間に対し、帰納的に答えるか、演繹的に答えるかを決めます(望ましいのは、帰納的な
理由づけです)
帰納的理由づけであれば、グループ化に用いる考えの種類(複数形の名詞)を決めます
キーラインポイントを完成させます

ステップ4:ステップ3と同じことを繰り返しながら、下部の支持ポイントをピラミッド型につくり込んでいきます。ピラミッド・ルールに従つていることを確認してください
考えは、どのレベルであれ、その下位グループ群の考えを要約しなければならない
各グループ内の考えは、つねに同じ種類のものでなければならない
・各グループ内の考えは、つねに論理的な順序に配置されなければならない

書く技術を実践的に学んでいく

上巻が書くための論理形成の仕方であるならば、後半はでは書き始めようという感じだと思って間違いありません。
ただ、書き始めようと言っても、いきなり紙に文章を書いていくというのではなく、
ピラミッド型の論理形成をし始めるというところからの説明になってきます。
つまりはじめにすることは、ピラミッドのどこから手を付けて、どういう手順で作っていくか、という話です。
これに関して、この本の素晴らしいところは、かなり細かく、
本来であれば説明を飛ばしてもいいような基本的なことからしっかり説明してくれるところ。
なにせ、エクササイズ5から始まる下巻の最初、エクササイズ5Aのステップ1にはこう書いてあるんですから。
・ピラミッドの頂点となる箱を書きます。
ここまで丁寧な説明はそうそうありません。

上巻を手元に置きながら読むべき

下巻は、より具体的で即戦力となる実践です。
しかし、そのほとんどの基礎は上巻で書かれている内容であり、そこに対する理解が追いついていない場合は『?』が浮かぶ場面が多くなるはずです。
もちろん上巻の内容を完全に暗記している、もしくは完璧に身に着けているのなら問題はありません。
しかし、そうでないなら、片手に上巻を持つくらいのことはしたほうが良いでしょう。

論文試験の問題集として活用できる

技術士の論文試験を解く上で、重要な論理形成とそれを書く力。
この本で書かれている内容はまさにそこに直結する内容だと言っても過言ではありません。
しかも、これは読んでもらえればすぐに分かることですが、この本、
特に下巻に関して言えば、その殆どは練習問題、つまりこれはテキストではなく問題集、ドリルです。
それも、かなり網羅的に充実したドリルです。
様々なシチュエーション様々な用途、穴埋めのように問題を解くものから、
実際書いて見る問題までいろいろな側面からしっかりと技術の向上を狙って問題が存在します。
これ一冊で、とまでは生きませんが、かなり論文におけるウイークポイントを慶していく上で効果がある一冊です。

論文に必要な要素をカバーしてある

論文試験に必要な要素はたくさんありますが、この本ではその重要点をほとんどカバーできています。
また、論文におけるロンの進め方も様々あるのですが、その点に関しても、
つまり論理がどういう形で進展していっても良いように全方向的にカバーもされています。
それはつまり、問題によらない論文能力を身につけることができるということです。
論文試験においては、その出題内容に応じて、
論の組み立てをその問題に適した形で組んでいく必要が出てくる場合が少なからずあります。
そうなると、単一の組み立て方しか覚えていない人にとってはかなり鬼門です。
なぜなら、いくら一つの方法での論の組み立て方が達者でも、
その論の組み立て方では不十分な問題がでた場合に対処ができません。
しかし、この本で提供される方法は、かなり融通がききます。
基本的には、これまでずっと書いてきたピラミッド型の論理形成を軸にしているのですが、
このピラミッド型の論理形成が元々非常に幅の広い設計しそうなんですね。
そのうえで、様々なシチュエーションを想定した説明と問題が掲載されている。
試験を受ける上での対応力という点でも、かなり有用な一冊になるでしょう。

欠点を上げるとすれば文章への落とし込みについて少し不親切

まずはじめに断っておきますが、重箱をつくような欠点です。
この本では、ピラミッド型の論理形成を軸に、このピラミッドをルール通りわかりやすく作り上げることが何よりも大切であるとし、
その問題を繰り返し解かせるという基本線でできています。
かなり、しっかりとした量と質がそこには担保されているのです。
しかし、それを文章に落とし込む方法に関しては、そこまで懇切丁寧にやってはくれません。
もちろん、きちんと内容を把握し理解すれば、難なくできることはできます。
それをもって欠点というのはいささか厳しいとは思いますが、
他の部分が丁寧すぎるほどに丁寧なだけに、そこだけ少し目立ってしまう感は否めません。

技術士試験の後もきっと役に立つ

試験論文の実力向上に役に立つことは言うまでもないこの本。
しかし、この本で書かれている文章作成能力は、いわゆる論文だけではなく、
社内でのプレゼンや通達、他様々な文章を作成する上で非常に役に立つ技術です。
ある意味、技術者としての基本スキル向上に役に立つという言い方でも良いかもしれません。
もちろん、技術士の試験を目の前にしているとき、最優先事項はその試験です。
しかし、その先にも人生は続きます。
さらに、文章を書くだけではなく、このピラミッド式の論理形成術をくもなく使えるようになっていれば、
技術者としての問題解決能力も向上することでしょう。
技術士試験を乗り切るための価値ある書として、読んでおくことをおすすめします。