【難関】技術士試験の合格率と難易度とは? 二次試験に受かる方法伝授!

技術士資格

一次・二次試験 全部門総合&部門別に解説

国家資格のなかでも、合格率が低いことから、「難易度が高い…」といわれる技術士試験。しかし、実際の合格率はどのようなものなのでしょうか。
この記事では、最新の合格情報をもとに、技術士試験の基本情報、一次試験・二次試験それぞれの合格率、さらに、難易度が高いと言われる「理由」とその「実態」について分かりやすく徹底解説します。
合格するためのポイントなどについても、解説しますので、ぜひ参考にしてください。

試験対策

技術士二次試験の難易度が高いといわれる理由

技術士二次試験は実際に難易度が高い試験ですが、技術士二次試験の難易度が高いといわれるには理由があります。技術士二次試験は、総合技術管理部門の必須科目の一部を除いて、全て記述形式の試験です。
ここに、技術士二次試験の難易度が高いといわれる理由があるのです。
技術士二次試験は、専門技術分野の知識確認をする試験ではありません。課題解決能力や応用能力などを使って、文章で解答する必要がある試験だからです。

試験問題には、科学技術が社会環境にどのような影響を与えるかを精緻に分析して解決する課題が設定されています。
その解決プロセスについて、受験者の経験と専門的知見を礎に、解答することが求められます。
ですから、対策問題集や過去問解答集を丸暗記しても、合格に近づくことはできません。
技術的課題解決の思考プロセスを、第三者に論理的にわかりやすく説明する思考力や文章力も必要になるところに、技術士試験が難関試験であるといわれる理由があるのです。

私はロックオン講座で10年教えていますが、初受験の人が最初に戸惑うところは、大体同じです。

つまり、「何から覚えれば良いのでしょうか」です。
しかし、残念ながら、暗記しなければならない事項はとても少ないのです。
ここで、受験勉強を勝ち抜き、偏差値の高い国公立大学の理工系出身者が多い、受講者さんは、面食らいます。
「暗記をしない、覚えることが少ないって、それじゃ何を勉強するのか?」
勉強とは、何かを覚えることと思って、小中高校、大学、大学院と学んで来た人はここで、技術士二次試験の勉強が分からなくなります。「暗記しない? 覚えることは少ない? それじゃ、何をするのか?」
というように、頭の中が「???」で満杯になるのです。

今は、コロナ流行でできなくなりましたが、会場を使ったセミナーをやっていた頃、お試しで解答を書かせると、皆さんが、同じように「まだ知識不足なので、スマートフォンで調べても良いですか?」と言います。
私は、もちろん、良しとしますが実は、どれだけ調べても解答は書けないのです。
ほとんどの場合、解答を書き上げられず終わってしまいます。

解答を書けないのは、普段から自分の考えを文章で書いていないからなのです。

技術士二次試験に合格するためには

技術士二次試験は、未踏峰を登るような試験ではありません。正しい努力によって突破できる試験なのです。
しつこいですが、技術士二次試験の筆記試験は、知識を重視する試験ではありません。業務経験と、その経験によって培われた応用能力を重視した試験だということです。
ですから、合格するために必要なものは知識だけではありません。知識の習得(インプット)が30%、自分の能力を表現する力(アウトプット)が70%と考えておいてください。
ただし、総合技術監理部門は40問の択一試験があるので、知識の習得が重要となります。上記の割合が反対になると考えておいてください。

技術士二次試験対策には添削が有効

技術士試験には受験資格要件(業務経験がないと受験できない)があり、かつ大学や大学院を出て実務を行っているレベルの高い人たちが受験する試験です。それにも関わらず、二次試験の合格率は10%程度となっていて、合格することが非常に難しくなっています。
これは、二次試験が記述論文であるということが大きく起因しています。しかし、裏を返せば、「合格できる記述論文を書ければ合格できる可能性がアップする」ということにもなります。
合格できる記述論文を書くためのスキルは、添削を繰り返すことでブラッシュアップされていきます。合格できる記述論文の書き方を把握し、添削を繰り返すことで、ポイントをつかめるようになり合格に限りなく近づくことができるのです。

そのため、ロックオン講座では、添削を重視します。
講師の労力を考えれば、集合型の授業形式はずっと楽です。
また、受講者さんも、1日先生の話を聴くと、勉強したような気分になります。しかし、それは間違いです。
解答の作文力は、先生や講師の話を何時間聴いても上達しません。
自分の頭で文章をひねり出して、悪いところを指摘してもらって、また考えて文章を修正、練り上げていく。
この繰り返しがどうしても必要です。
大抵の人にとって、人生で初めての学習方法です。とうぜん、難しいと感じてしまいます。
そこを理解して、以下合格率のデータを見て下さい。

技術士とは

「技術士」とは、科学技術に関する高度な知識と応用能力が国によって認められた、国家資格を持つ技術者のことです。
技術士法によれば、
(目的)第1条 この法律は、技術士等の資格を定め、その業務の適正を図り、もつて科学技術の向上と国民経済の発展に資することを目的とする。

(定義)第2条 この法律において「技術士」とは、第32条第1項の登録を受け、技術士の名称を用いて、科学技術(人文科学のみに係るものを除く。以下同じ。)に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務(他の法律においてその業務を行うことが制限されている業務を除く。)を行う者をいう。

とあります。上記が技術士の公式な定義です。とても重要なのでこれは覚えてください。

また、「技術士」は、科学技術の応用面に携わる技術者にとって最も権威のある国家資格制度のことでもあり、機械や情報工学といった専門性に応じた21の技術部門で構成されています。

【21の技術部門と主に扱う業務】

技術部門扱う業務
01.機械部門トンネルや上下水道、発電プラントなどの公共事業の設計、安全管理・施工 など
02.船舶・海洋部門船舶の設計や、油田・海洋資源の開発 など
03.航空・宇宙部門ロケット、人工衛星、航空機の設計・開発 など
04.電気電子部門回路設計や電気通信設備、情報通信ネットワーク など
05.化学部門セラミックス、合成樹脂、天然樹脂などの分析や開発 など
06.繊維部門衣料、産業用の加工糸などの開発、漂白、染色 など
07.金属部門溶接技術、金属材料の生産システム開発 など
08.資源工学部門金属鉱物、石炭、石油、天然ガスなどの探査や生産システム など
09.建設部門国土・都市計画、鋼構造、コンクリート構造の設計・計画・施工 など
10.上下水道部門上下水道計画、浄水、下水処理、水質管理 など
11.衛生工学部門水の改善、水質分析、測定、廃棄物・水質管理 など
12.農業部門農芸化学、農業土木、品種改良、農村地域計画 など
13.森林部門林業、森林土木、森林保全、環境保全 など
14.水産部門水産資源、水域環境、漁港計画、漁場計画などの水産土木 など
15.経営工学部門経営管理、生産計画・管理などの物流マネジメント など
16.情報工学部門コンピュータ科学、ソフトウェアの設計・開発、情報システムの設計・開発 など
17.応用理学部門物理、力学、光学、原子物理学、熱物理学などの探査 など
18.生物工学部門細胞遺伝子工学、ゲノム工学などの探査・診断 など
19.環境部門自然保護、自然教育などの計画・分析・解析 など
20.原子力・放射線部門原子力関連の設計・製造・建設・管理 など

さらに、21番目の部門として、「総合技術監理部門」があります。

総合技術監理部門は、総合的に監督できる人材を育成する部門であり、「経済性」「人的資源」「情報」「安全」「社会環境」の5つの管理で構成されています。

技術士試験の概要

技術士試験は、文部科学省令で定める技術部門(一般部門と総合技術監理部門)ごとに実施されます。加えて技術士試験は、「技術士第一次試験」「技術士第二次試験」に分けられています。まず一次試験に合格しその後、二次試験に合格して登録することで、技術士の資格が得られます。(業務経験年数は必要)
ただし、総合技術監理部門は、二次試験のみ実施となり、一次試験は当分の間実施されないとされています。

技術士一次試験の難易度とは?

参考までに、技術士一次試験の受験者数と合格率について、確認しておきましょう。
令和3年度の技術士一次試験は、全国12会場で2021年11月28日(日)に行われました。
全部門で16,977名が受験し5,313名が合格、合格率は31.3%となっています。全部門における「技術士第一次試験」の過去5年の合格状況の推移は、下記のようになっています。

【技術士第一次試験合格状況・過去5年間の推移】

年度受験者数合格者数合格率
2017(平成29)年17,7398,65848.8%
2018(平成30)年16,6766,30237.8%
2019(令和元)年9,3374,53748.6%
2020(令和2)年14,5946,38043.7%
2021(令和3)年16,9775,31331.3%

令和元年だけは受験者数が極端に減少していますが、年ごとの受験者数に関しての大きな変動は見られません。
一次試験の合格率は、年によってバラつきがあります。
約半数が合格する50%弱の年もあれば、30%程度の年もあります。
いずれにしても、簡単な試験であるとは言えないことが分かります。
私(匠)の個人的な感想ですが、危険物取扱者甲種の試験よりも少し大変だった(覚えることが多かった)と思います。

技術士二次試験の概要について

技術士二次試験の合格率について解説する前に、「技術士第二次試験」の概要について、確認していきたいと思います。
技術士二次試験は、一定の条件に当てはまる技術士補などか、技術士第一次試験合格者が受験することができます。
実務経験の期間も必要になるので、受験要項等で詳しく確認しておきましょう。
技術士二次試験は、「筆記試験」と「口頭試験」の2種類で構成されています。

最初に、全受験者を対象に「筆記試験」が実施されます。この筆記試験では、それぞれの必須科目と選択科目の点数が満点の60%以上であれば合格となりますが、1つでも60%未満の科目があれば不合格となります。(試験内容は6~7年に1回変更があります)

次に、筆記試験に合格した受験者だけを対象に、「口頭試験」が実施されます。口頭試験は、筆記試験実施の数カ月後に東京会場で実施され、満点の60%以上が合格基準となります。(コミュニケーション、リーダーシップ。マネジメント。技術者倫理等、全部で4項目の評価があります。)

技術士二次試験の合格実績とは 全部門編

全部門における技術士第二次試験の過去5年の合格状況の推移は、下記のようになっています。

【技術士第二次試験合格状況・過去5年間の推移】全部門

年度受験者数合格者数合格率
2017(平成29)年26,2533,50113.3%
2018(平成30)年25,9142,3559.1%
2019(令和元)年24,3262,81911.6%
2020(令和2)年20,3652,42311.9%
2021(令和3)年22,9032,65911.6%


2017年は13.3%となっていますが、翌年の2018年は9.1%と、10%を割り込んでいます。2019年以降も11%代で推移していて、難易度の高さが分かります。
もう一つ、技術士二次試験を受ける人は、高難易度の大学理工学部を出て、半数近くが修士を取得しています。
そんな人が受験して上記の合格率です。

技術士二次試験の合格実績とは 部門別編

さらに、令和3年度の各部門における「技術士第二次試験」の合格状況は、下記のようになっています。

【令和3年度・技術士第二次試験合格状況】部門別

技術部門受験者数合格者数合格率
01.機械部門87112113.9%
02.船舶・海洋部門12325.0%
03.航空・宇宙部門35514.3%
04.電気電子部門1,07710810.0%
05.化学部門1342417.9%
06.繊維部門391025.6%
07.金属部門721926.4%
08.資源工学部門24312.5%
09.建設部門13,3111,38410.4%
10.上下水道部門1,39918513.2%
11.衛生工学部門4995110.2%
12.農業部門7028011.4%
13.森林部門2595922.8%
14.水産部門1071110.3%
15.経営工学部門210167.6%
16.情報工学部門373297.8%
17.応用理学部門5449216.9%
18.生物工学部門27518.5%
19.環境部門4114811.7%
20.原子力・放射線部門55814.5%
総合技術監理部門2,74239814.5%
全部門の合格率22,9032,65911.6%

令和3年度における第二次試験の全部門の合格率は、11.6%となっています。
金属部門の合格率は26.4%となっていますが、最も低い合格率は経営工学部門の7.6%です。情報工学部門も7.8%という低い合格率になっていて、10%にも満たない低い合格率となっています。

ただし、あまりに受験者数が少ない部門は、合格率の変化が大きすぎて参考にならないことを覚えておいてください。
基本的に100名以上の受験者さんがいないと、参考にならないでしょう。


一次試験の合格者に対しての試験であるにも関わらず、このような低い合格率であるということが、技術士二次試験がいかに難易度の高い試験であるかを証明していると言えます。

技術士二次試験の合格率の推移とは 部門別

「技術士第二次試験」の過去5年の、部門別の合格状況の推移は下記のようになっています。

【技術士第二次試験の合格率の推移】部門別

技術部門2021(令和3)年2020(令和2)年2019(令和元)年2018(平成30)年2017(平成29)年
01.機械部門13.9%18.5%19.4%21.2%20.6%
02.船舶・海洋部門25.0%50.0%30.0%37.5%40.0%
03.航空・宇宙部門14.3%17.9%14.0%18.6%21.3%
04.電気電子部門10.0%13.0%12.2%12.9%14.4%
05.化学部門17.9%24.4%21.5%18.2%27.8%
06.繊維部門25.6%22.5%20.5%26.1%29.8%
07.金属部門26.4%35.8%32.9%46.5%43.5%
08.資源工学部門12.5%21.4%23.8%35.3%22.2%
09.建設部門10.4%10.3%9.4%6.3%12.8%
10.上下水道部門13.2%14.6%12.0%11.7%11.9%
11.衛生工学部門10.2%7.6%8.1%10.8%6.6%
12.農業部門11.4%10.6%10.8%13.8%14.0%
13.森林部門22.8%25.8%21.4%21.0%21.8%
14.水産部門10.3%14.4%15.1%21.1%13.7%
15.経営工学部門7.6%11.8%14.0%20.5%29.2%
16.情報工学部門7.8%7.6%7.4%6.5%7.2%
17.応用理学部門16.9%16.6%14.2%11.9%11.0%
18.生物工学部門18.5%27.3%26.3%41.0%39.6%
19.環境部門11.7%13.6%15.8%12.7%22.6%
20.原子力・放射線部門14.5%13.6%19.3%21.4%22.7%
総合技術監理部門14.5%12.6%15.4%6.4%9.8%
全部門の合格率11.6%11.9%11.6%9.1%13.3%
技術士を目指す

まとめ

技術士二次試験の概要や合格率について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
技術士二次試験は難関資格ですが、正しい対策を行えれば、合格することは決して難しくありません。
第二次試験に合格するためには、答案記述や口頭試験の対策が必須になります。
独学での合格は不可能ではありませんが、効率よく合格を勝ち取るには、添削も行える通信講座がおすすめになります。
「Lock-On:二次試験講座」の二次試験対策には、記述論文の添削はもちろん、口頭試験対策も含まれています。「Lock-On:二次試験講座」の受講で、必ず合格を勝ち取りましょう。

技術士合格

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