昨日の続きです。
今日はⅢと必須に関するコンピテンシーです。
選択科目Ⅲ、必須科目Ⅰ の攻略(問題解決と技術者倫理)
後半は、より視座の高い「コンサルタント」「技術責任者」としての能力が問われます。ここでは、正解のない複雑な問題に対して、論理的な解決策を導き出す力が求められます。
3. 選択科目Ⅲ:問題解決能力及び課題遂行能力
【評価されるコンピテンシー】
- 専門的学識
- 問題解決
- 評価
- コミュニケーション
選択科目Ⅲは、その専門分野における「複合的な問題」を解決する能力を問います。Ⅱ-2が「手順」を問うのに対し、Ⅲは「提案(ソリューション)」を問います。
① 問題解決の示し方(分析と提案)
コンピテンシー定義の「複合的な問題に対して、背景要因を分析し、相反する要求事項を考慮して解決策を提案する」を実践します。
多面的な課題抽出:
設問にあるテーマ(例:防災、インフラ老朽化)に対し、1つの視点だけでなく「ハード対策」「ソフト対策」「維持管理」「人材育成」など、異なる切り口から3つの課題を挙げます。
重要: 「〇〇ができていない」は現象であり課題ではありません。「〇〇を実現するために、××を整備することが課題である」と、ポジティブな目標形式で書くと論理的です。
最も重要な課題の選定:
なぜその課題を選んだのか、論理的な理由(緊急性、波及効果の大きさ、根本原因であること)を明記します。
複数の解決策:
技術士としての引き出しの多さを見せるため、ハード・ソフト両面など、異なるアプローチの解決策を提示します。
② 評価の示し方(リスクと波及効果)
ここが合否を分ける最大のポイントです。Ⅲの設問(3)で問われる「解決策に共通するリスク」「波及効果」は、コンピテンシーの「評価」そのものです。
定義の適用: 「最終的に得られる成果やその波及効果を評価し、次段階の改善に資すること」
解答のポイント: 提案した解決策を実施した結果、「新たに生まれてしまうかもしれない問題(副作用)」を予測します。
悪い例: 「予算が足りなくなる懸念」(それは実施前の制約条件)
良い例: 「A工法の採用により強度は増すが、地下水流動を阻害し周辺環境へ悪影響を与える懸念」(実施後の波及効果)
このリスクに対して、さらにどう対処するか(モニタリング、代替措置)まで書くことで、「評価」→「改善」のサイクルを証明できます。
4. 必須科目Ⅰ:全般にわたる専門知識等
【評価されるコンピテンシー】
・専門的学識
・問題解決
・評価
・技術者倫理
・コミュニケーション
必須Ⅰは、Ⅲと似ていますが、「視座の高さ」と「技術者倫理」が含まれる点が異なります。対象は特定の専門分野ではなく、「建設部門全体」「機械部門全体」といった広い視野です。
① 問題解決(多面的な観点)
必須科目では「観点」を明記することが求められます(例:技術的観点、制度的観点、人材的観点、環境的観点など)。
広範な知識の応用: 自分の専門外(例えば、河川の専門家であっても道路や都市計画の視点)も含めた、部門全体を俯瞰する課題設定が必要です。
社会的なトピック(カーボンニュートラル、DX、働き方改革、SDGs)と技術を結びつけて論じます。
② 技術者倫理の示し方
必須科目の設問(4)で必ず問われるのがこれです。コンピテンシー定義の「公衆の安全、健康及び福利を最優先」「社会の持続性の確保」を具体的な行動として記述します。
公衆の福利(安全最優先): 「コスト削減や工期短縮の圧力があっても、安全性や品質を犠牲にしない」という姿勢。
社会の持続可能性: 「現在の世代のニーズを満たしつつ、将来世代のニーズを損なわない(環境保全、インフラの長寿命化)」という視点。
誠実性・コンプライアンス: 「データ偽装を行わない」「法令遵守」「説明責任を果たす」こと。
<解答例のフレーズ>
「業務遂行にあたっては、公衆の安全、健康、福利を最優先とし、経済性のみを追求して安全性を看過することのないよう、高い倫理観を持って判断を行う。」 「地球環境保全の観点から、次世代に負の遺産を残さぬよう、ライフサイクル全体での環境負荷低減に努める。」

まとめ:各設問で意識すべき「役割」
最後に、各設問に取り組む際のあなたの「役割(ペルソナ)」を整理します。
Ⅱ-1 (専門知識): 「分かりやすく教える専門家」
知識の正確さと、素人にも伝わる説明能力を見せる。
Ⅱ-2 (応用能力): 「現場を指揮するプロジェクトマネージャー」
手順(段取り)を組み、人・モノ・金を配分し(マネジメント)、関係者を調整する(リーダーシップ)実務能力を見せる。
Ⅲ (問題解決): 「課題を解決する技術コンサルタント」
複雑な状況を分析し、最適な解決策を提案し、その副作用(リスク)まで予見する(評価)能力を見せる。
Ⅰ (必須科目): 「国や社会を支える技術部門の代表者」
部門全体を俯瞰し、社会課題を解決へ導くとともに、倫理観を持って社会の持続性に貢献する姿勢を見せる。
この役割を意識して、それぞれのコンピテンシーキーワードを答案の中に「散りばめる」ことが、A評価獲得への最短ルートです。








