コンピテンシーを筆記試験で表現する方法 -選択科目Ⅱ-1・Ⅱ-2-

年明け最初の記事は基本に立ち返りコンピテンシーに関しての説明です。

コンピテンシーについては皆さんご存知でしょう。

しかし、そのコンピテンシーを筆記試験解答の中でどう表現するのか? どうやってコンピテンシーが身についているかを表せば良いのか? 考えてみると意外と難しいものです。

そこで今日と明日の記事で、具体的な解答作成法について詳細に解説します。

先ずは、選択科目Ⅱ-1とⅡ-2に対する技術士会の公式説明です。

1. 選択科目Ⅱ-1、Ⅱ-2 の攻略(専門家としての基礎と実務能力)

ここでは、単なる知識問題ではなく、技術士としての「足腰」である基礎知識と、それを実務で使いこなす遂行能力について解説します。

1. 選択科目Ⅱ-1:専門知識(キーワード解説)

【評価されるコンピテンシー】

  • 専門的学識 
  • コミュニケーション 

この科目は「知っているかどうか」を問うものですが、技術士試験では「知識の羅列」では合格できません。評価項目にある通り、「専門的学識(理解と応用)」と「コミュニケーション(明確な伝達)」の両立が求められます。

 専門的学識の示し方

単語の意味を辞書的に書くだけでは不十分です。「技術士としての専門知識」とは、以下の3層構造で記述する必要があります。

  • 原理・定義: その用語が指す正確な定義やメカニズム。
  • 背景・必要性: なぜ今、その技術や手法が注目されているのか(社会的背景、法令改正、災害の激甚化など)。
  • 応用・留意点: 実務で適用する際のメリット・デメリット、適用範囲。

<解答作成の型>

  • 冒頭: そのキーワードを一言で定義する。
  • 概要・メカニズム: 図解が頭に浮かぶように、仕組みを論理的に記述する。
  • 特徴・効果: 従来技術との比較や、導入による具体的な効果(数値や事例)を示す。

留意点・課題: 適用できない条件や、導入時のコスト、維持管理上の注意点など、技術的な「限界」を知っていることを示す。

 コミュニケーションの示し方

ここでのコミュニケーション能力とは、「読み手(採点官)に対して、論理的かつ明確に知識を伝達する力」です。

見出しの活用: 文章をダラダラと書かず、「1. 〇〇の概要」「2. 〇〇の特徴」と明確に区切る。

「問い」に正対する: 「概要と留意点を述べよ」と聞かれたら、必ず「概要」「留意点」という見出しを作る。

専門用語の正確さ: 誤字脱字はもちろん、用語の誤用は致命的です。

2. 選択科目Ⅱ-2:応用能力(実務シミュレーション)

【評価されるコンピテンシー】

  • 専門的学識 
  • マネジメント 
  • リーダーシップ 
  • コミュニケーション 

Ⅱ-2は、与えられた条件下でプロジェクトを遂行する「プロジェクトマネージャーとしての能力」が問われます。ここで最も重要なのは、「マネジメント」と「リーダーシップ」が評価項目に入っているのは、筆記試験全体でこのⅡ-2だけという点です。つまり、ここでこの2つをアピールし損ねると不合格になります。

 マネジメントの示し方(資源配分)

コンピテンシー定義にある「要求事項(品質、コスト、納期等)を満たすために資源を配分すること」を具体化します。 設問でよくある「業務を進める際の手順と留意点」に対し、以下のように記述します。

  • QCDSの視点:
  • 品質(Quality): 要求性能を確保するための照査体制、基準の遵守。
  • 工程(Delivery): 手戻りを防ぐための事前調査、クリティカルパスの管理。
  • コスト(Cost): 経済的な工法の選定、ライフサイクルコストの縮減。
  • 安全(Safety): 施工時や運用時のリスク管理。

解答のポイント: 単に「工程を守る」と書くのではなく、「〇〇の調査に時間を要するため、早期に着手し工程遅延を防ぐ(資源としての時間の管理)」のように、「トレードオフをどう調整するか」を書くとマネジメント能力として高く評価されます。

 リーダーシップの示し方(利害調整)

コンピテンシー定義にある「多様な関係者の利害等を調整すること」を記述します。 設問の最後にある「関係者との調整方策」などで表現します。

関係者の具体化: 施主、施工者、地域住民、関係行政機関(警察、河川管理者など)など、誰が登場人物かを明確にする。

利害の対立(コンフリクト)の解消:

例:「住民は静穏な環境を望む(騒音苦情)」vs「施工者は効率的な作業を望む(夜間工事)」

調整策: 「住民説明会を開催して理解を得るとともに、低騒音型重機の採用や作業時間の制限を施工者に指示し、両者の納得解を導く」

解答のポイント: 自分が先頭に立って(主体的に)、対立する意見をまとめ上げたプロセスを書くことが重要です。

 応用能力としての構成案(Ⅱ-2の黄金パターン)

調査・検討事項(準備): 業務着手前に何を調べるか(現地盤、既存資料、法規制など)。これが「専門的学識」の裏付けとなります。

業務遂行手順(計画・実行): フローチャートを文章化するように、順序立てて書く。

業務上の留意点・工夫点(マネジメント): QCDSの観点から、品質確保やトラブル防止のために資源(人・モノ・金・時間)をどう配分するか。

関係者との調整(リーダーシップ): 誰と、何について調整し、どう合意形成を図るか。


技術士の試験は技術者として社会の実課題に対峙できる資質・能力(コンピテンシー)を問われる試験です。合格するためには身につけているコンピテンシーを表現する必要があります。

明日は選択科目Ⅲ、必須科目Ⅰ の攻略方法について解説をします。

この記事を書いた人

匠 習作

代表:匠 習作(たくみ しゅうさく・本名は菊地孝仁)
開講10年の歴史/総受講者数650名以上/web授業の先駆者

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