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「今の年齢では遅すぎるのでは?」「若すぎて経験不足では?」
技術士試験の受験を検討している方の多くが、年齢について不安を抱えています。しかし結論から言えば、技術士試験に「遅すぎる年齢」も「早すぎる年齢」も存在しません。
年齢を理由にして試験を受けないのは、とても勿体ないことです。
実際のデータを見ると、20代から70代まで幅広い年齢層が合格しており、あなたが何歳であっても合格のチャンスは十分にあります。この記事では、統計データと実例をもとに、年齢に関する不安を解消し、あなたが今すぐ行動を起こせるようサポートします。
技術士試験合格者の平均年齢と実態
一次試験と二次試験の平均年齢
日本技術士会の公式統計によると、技術士試験合格者の平均年齢は以下の通りです。
- 技術士一次試験合格者の平均年齢:約32歳
- 技術士二次試験合格者の平均年齢:約42歳
過去10年間のデータを見ても、この平均年齢は概ね一定で推移しており、大きな変動はありません。二次試験の平均年齢が42歳前後というのは、「思ったより若い」と感じる方も多いのではないでしょうか。
年代別の合格者分布
令和4年度の技術士二次試験の統計データを見ると、年代別の合格者分布は以下のようになっています。
(年毎のデータに大きな変化はありません。)
- 20代:約8%
- 30代:約33%
- 40代:約33%
- 50代:約22%
- 60代以上:約4%
近年の傾向:若年層の合格者が増加中
注目すべき点として、2020年度以降、合格者の平均年齢が低下傾向にあります。特に20代、30代の合格者の割合が増加している一方、40代の合格者割合は減少しています。
この背景には、JABEE認定コース修了者の増加があります。JABEE認定コースを修了すれば一次試験が免除されるため、若いうちから二次試験に挑戦する技術者が増えているのです。
年齢別・技術士試験への取り組み方
年齢によって直面する課題は異なります。20代は経験不足を、40代は時間不足を心配するかもしれません。しかし、どの年代にも必ず強みがあり、その強みを活かせば合格は十分に可能です。あなたの年代の特性を理解し、最適なアプローチを見つけましょう。
20代後半で受験する場合
メリット
- 記憶力が高く、知識の吸収が早い
- 勉強時間を確保しやすい
- 合格後のキャリアで資格を長く活かせる
- 最年少合格者は受験時25歳、合格時26歳という記録も
デメリット
- 実務経験が浅い可能性
- マネジメント経験が不足しがち
- 論文で書ける内容が限られる可能性
アドバイス
20代での合格は決して珍しくありません。最短では実務経験4年で受験可能であり、27歳での合格も十分に現実的です。(26歳が今のところ最年少記録ですが、数名おられます。)
重要なのは、限られた実務経験の中でも創意工夫や問題解決の視点を持って業務に取り組むこと。質の高い経験を積んでいれば、年齢や経験年数のハンデは十分にカバーできます。
30代で受験する場合
メリット
- 実務経験とマネジメント経験のバランスが良い
- 技術的な知識と応用力が充実
- 体力・気力ともに充実している
- 合格後のキャリア形成に最も有利な年代
デメリット
- 仕事の責任が増え、勉強時間の確保が難しい
- 結婚・出産などのライフイベントと重なる可能性
- 異動や転職のタイミングと重なることも
アドバイス
統計上、最も合格者が多い年代です。実務経験4年〜10年目にあたるこの時期は、自分の考えを持って創意工夫し、問題解決にあたれる能力が身についている理想的なタイミングです。
30代前半での合格を目指すことで、その後のキャリアで技術士資格を最大限に活かせます。人脈形成の機会も増え、長期的なメリットが大きい年代と言えます。
40代で受験する場合
メリット
- 豊富な実務経験とマネジメント経験
- 専門分野での深い知識と実績
- 論文で書ける具体的な業務内容が豊富
- 平均年齢とほぼ同じで「標準的な受験者層」
デメリット
- 記憶力の低下を感じる場合がある
- 仕事や家庭の責任が重く、勉強時間の確保が困難
- 若い頃より新しい知識の習得に時間がかかる
アドバイス
40代は二次試験合格者の中核を占める年代です。平均年齢が42歳という事実が、それを証明しています。
豊富な実務経験は大きな武器です。むしろ、経験を活かした質の高い論文を書けることが40代の強みです。定年までまだ20年近くあり、技術士として活躍できる期間は十分に確保できます。
50代以上で受験する場合
メリット
- 技術者としての完成度が高い
- 業界での人脈やポジションが確立
- ベテランならではの視点と洞察力
- 定年後の独立・コンサルタント活動への布石
デメリット
- 合格後に資格を活かせる期間が限られる
- 勉強習慣を取り戻すのに時間がかかる
- 家庭や健康面での制約が出る可能性
アドバイス
50代の合格者は全体の約22%を占めており、決して少なくありません。実際に79歳で合格した事例もあります。(私は丁度50歳で取得しました。)
50代以上の方にとって技術士資格は、定年後も技術者として活躍するための重要な武器となります。再雇用や独立、コンサルタント活動を考えている方にとって、技術士という肩書きは大きなアドバンテージです。
「今さら」ではなく、「これから」のために挑戦する価値は十分にあります。
最年少・最年長合格者から学ぶこと
2021年度の技術士二次試験で、最年少合格者は受験時25歳、合格時26歳でした。この事例が示すのは、年齢や経験年数よりも、質の高い実務経験と適切な対策が重要ということです。最年長例では79歳で合格した方がいます。70代でもなお向上心を持ち、努力を続ける姿勢は非常に素晴らしいものです。
この事例は、年齢を言い訳にしない姿勢の重要性を教えてくれます。
年齢よりも重要な3つの要素
技術士試験の合格において、年齢以上に重要な要素があります。
1. 実務経験の質
量より質が重要です。
- 単に業務をこなすだけでなく、創意工夫を加えているか
- 問題解決に主体的に取り組んでいるか
- マネジメントやリーダーシップの経験があるか
短い実務経験でも、質が高ければ十分に合格可能です。逆に10年以上の経験があっても、受動的な業務だけでは不十分な場合があります。
2. 適切な試験対策
効率的な勉強法と論文対策が鍵を握ります。
技術士試験は独特の試験形式です。
- 二次試験の筆記試験は記述式の論文試験
- 専門知識だけでなく、問題解決能力やコミュニケーション能力が問われる
- 筆記試験合格後も口頭試験がある
必要な勉強時間の目安
- 一次試験:300時間以上
- 二次試験:1,000時間以上
- 合計:約1,300時間
何歳でチャレンジするにしても、勉強時間の確保が必要です。年齢に関係なく、この勉強時間を確保し、適切な対策を取れば合格は十分に可能です。
3. モチベーションの維持
「なぜ技術士になりたいのか」という動機を明確にすることが重要です。
- 会社からの要請(外的動機)
- 自己成長のため(内的動機)
- キャリアアップのため
- 定年後の独立・コンサルタント活動のため
動機が明確であれば、年齢や忙しさといった障害を乗り越えることができます。
技術士を目指すべきタイミングとは?
技術士を目指すべきタイミングは、どの年齢でもチャレンジできることを鑑みれば、技術士を目指してみようか・・・と思った「今」であるといっても過言ではないでしょう。
1. 経験はこれからも積める
「もう少し経験を積んでから」と考えている方へ。
経験は今後も積み続けます。むしろ、技術士の視点を持って業務に取り組むことで、経験の質が向上します。受験勉強自体が、あなたの技術者としての成長を促します。
2. 合格後に活かせる期間が長い方が有利
技術士資格は取得がゴールではなく、スタートです。
- 人脈形成の機会が増える
- 責任ある仕事を任されやすくなる
- 転職やキャリアチェンジの選択肢が広がる
- 定年後も技術者として活躍できる
早く取得すればするほど、これらのメリットを享受できる期間が長くなるからです。
3. 年齢は待ってくれない
「来年にしよう」と先延ばしにすることの最大のリスクは、1年歳を取るということです。
- 記憶力は年齢とともに低下する傾向
- 体力・気力も同様
- 仕事や家庭の責任は増える一方
- モチベーションも時間とともに低下する可能性
またその「来年」が来たからと今、この瞬間が人生で最も若い時です。思い立った今がベストタイミングです。
まとめ
どの年齢であっても、技術士試験に挑戦する価値は十分にあります。統計データと数多くの合格事例が、それを証明しています。
年齢を言い訳にせず、今日から一歩を踏み出しましょう。
多くの合格者が「もっと早く始めればよかった」と口にします。あなたがこの記事を読み終えた今この瞬間が、技術士への第一歩を踏み出す最適なタイミングです。

