技術士二次試験突破のポイント
技術士というのは、科学技術の分野でのスペシャリストです。
この資格を取得しておくことで、「高度な技術と高い技術者倫理を兼ね備えていることを国に認められた技術者」という証になり、技術者にとって誰もが取得したいと思う国家資格です。
技術士と名乗れるのは技術士試験に合格し、技術士登録を行った人のみです。
今日は、そんな技術士試験に関すること、中でも論文の勉強法について詳しく解説します。
1:技術士試験の基本情報
技術士になるには、技術士試験に合格する必要があると述べました。
この技術士試験は、第一次試験と第二次試験に分かれており、前者の第一次試験には受験資格の制限はありません。
年齢や国籍、学歴などは一切問わず、実務経験なども要りません。
第二次試験に関しては、第一次試験に合格した後に下記のいずれかの条件を満たすことで受験できます。
- 技術士補として登録後、指導技術士の下で実務経験を4年(総合技術監理部門は7年)超
- ・職務上の監督者と認められた者の指導の下で実務経験を4年(総合技術監理部門は7年)超
- ・指導者や監督者の有無・要件を問わず、実務経験を7年(総合技術監理部門は10年)超
受験手数料は下記の通り、
・第一次試験:11,000円
・第二次試験:14,000円
技術士試験の難易度
国家資格である技術士試験は難しいです。
試験の中でもどの部門かによって具体的な合格率は異なりますが、令和3年度の第一次試験、全部門総合での合格率は31.3%です。令和2年度は43.7%、元年は48.6%、平成30年度は37.8%なので、大体30〜40後半というのが分かります。
先に述べた通り、これは全部門の数値なので水産部門や環境部門など部門によっては11%などかなり低いところもあります。
これが、第二次試験になると全体の合格率は11%ほどとかなり下がります。
そのため、総合的に見るとやはり難易度は高いといえるでしょう。
2:技術士試験の論文とは
技術士試験の第一次試験では、基礎科目・適正科目・専門科目の3つが出題され、マークシートによる択一方式です。
基礎科目と適正科目は全ての部門で共通していますが、専門科目に関しては部門別に出題されます。
そして、第二次試験では筆記試験と口頭試験が出題され、筆記試験は、丸一日の論文試験です。
600字詰めの解答用紙を1日で9枚書かなければなりません。
知識を問うような問題ではなく、技術士としての資質をダイレクトに求められる問題解決能力や応用力などが問われるので対策が難しく、合格率以上に難しく感じるかもしれません。
ただし、逆にいうと、質の高い論文を書けたら一気に合格できる可能性が上がるということです。
3:技術士試験の論文の勉強法
ここからは、具体的に技術士試験での論文の勉強法について見ていきましょう。
それぞれのポイントを順番に解説します。
まずは「論文」を知る
大学などでレポートや論文を書いた経験はあると思います。
中学や高校までのようないわゆる読書感想文ではなく、論理的に客観的に書くのが論文です。
研究テーマに関して、根拠のある情報をもとに「序論・本論・結論」の流れで構成します。
美文など見た目の重要性よりも、理論と実証のみを書かなければいけません。
論文の意味や目的をしっかり把握しておかないと、技術士試験の論文試験は当然ながら合格できません。
私自身は、もう10年も解答の添削を行っていますが、問題文の問いに答えていない解答はとても多いです。
また、解答自体が論理的に構成されていない。
1文目と2文目の繋がりが分からない解答が多いと思います。
例えば以下の文章を読んでください。
試験勉強では、技術的な知識量が最も重要です。知識ががあれば、A評価を取ることができます。
しかし、問題文の意図を読む力も必要です。問題の意図を読む力がないと、どう答えればいいか迷うからです。
つまり、問題文の意図を読む力と知識の量がないと、技術士試験を突破できません。
この文章を読んで、問題ないと感じるのであれば、すでに技術士二次試験はあなたにとって難しい試験です。
最初の文で「知識量があればA評価を狙える」といっているにも関わらず、次の文で「問題の意図を読む力も必要」と矛盾したことをいっています。
これでは、知識量と問題文の意図を読む力のどちらについて話をしたいのか分かりません。
文章の書き方をマスターする
論文では「ですます調」ではなく「だ・である調」で書きます。
「高齢化社会は〜です」ではなく「高齢化社会は〜である」というようにし、この方が説得力が強くなります。
また、ですます調では文字数を稼いでいると思われることがあるので注意が必要です。
加えて、語尾には断定した表現を使うのも重要で、「〜だと思う」ではなく「〜である」とします。
前者ではあくまでも主観的な印象を与えてしまいますので、断定します。
また、これらを論文の中で統一することも必須で、ある箇所は「ですます調」、ある箇所は「である調」ではそれだけで、不合格です。
もう一つ、就職疑問形「~~ではないだろうか」は、絶対に不可です。
課題の解答でときどき、みますが必ず指摘して解答には書かないようにと注意します。
評論文を読む
評論文というのは、筆者の意見を主張するために書かれたもので、論文で書くべき文章の最終形ともいえます。
つまり、これを読む習慣をつけ「これは主張か根拠なのか」を意識して読解しておくことで、論文に必要な読解力や分析力が身につきます。
また、語彙力の向上にも役立ちます。
1日1文を目安に習慣的に読んでください。
私は、自分の試験勉強期間中に文藝春秋から出版されている「日本の論点」などを通読しました。
端的にまとめる訓練をする
論文の勉強を行う際は、できるだけシンプルにまとめられるように意識します。
なぜこれが大切かというと、採点者は何人もの論文を見ており、チェックしているのは論文として正しい書き回しか、要点は入っているか、構成はどうかなど基本的なことを見ているためです。
基本的には、短文を積み重ねて、パラグラフを構成して下さい。
文章は一文一意、50文字で黄色信号、70文字で赤信号と覚えて下さい。
それと、主語と述語は極力近づけて下さい。
技術士試験の文章は名文である必要はありません。
事実と意見を一文一意で淡々と積み重ねて解答して下さい。
特に一文一意は重要です。
これを守るだけで読みやすく伝わり易い文章になります。
変に凝って書いても、相手はおそらく見ていないので、端的に書けるように訓練する必要があります。
そのためには、まずは内容全体を把握して、文章を段落ごとに分けポイントを見つけます。
そこからキーワードを見つけて、組み合わせ、文章にします。
最初はたくさんの情報を書き出すこともあるでしょうが、主張か根拠かを見分けられたら自然とポイントを絞ってまとめられるようになるので日々意識します。
必要なことは、暗記する
論文を書くのに暗記は不要と思うかもしれません。
しかし、専門用語などを頭に入れておくのは重要であり、専門的なテーマが出た時にも対応できます。
何となく意味はわかるけれど…、書けない…ということが結構ありますので、基本的な用語や意味は理解しておきます。
そのためには、日頃からしっかりニュースを観て内容を理解し、自分で説明できるようにしておきます。
過去問題分析
大学受験でも過去問題を解いて対策をしたはずです。
過去問題にはその試験の特長が隠れており、ここを分析することで相手を丸裸にできます。
技術士試験でも「日本技術士会」のページにて第二次試験の過去問題が部門別に掲載されていますので、目指すところの過去問題をぜひ活用してください。
https://www.engineer.or.jp/c_categories/index02022.html
大体4年度分ほど載っていますので、そこからどのような問題・テーマが出るのか、その特長を分析します。
ロックオン講座では、10年分の過去問題を保存しています。
古い、問題文は今の問題文と異なりますが、どのように変化してきたのかを知ることも、勉強の1つです。
参考書を使う
書店やインターネットなどで論文対策のための参考書が販売されています。
社会科学系、自然科学系などテーマによっても分かれており、論文の基本的な書き方、コツ、テーマ別の対策などが分かります。
分かりやすく書かれており、テーマ別にピンポイントで対策ができるのでおすすめです。
一度、書店に行って使いやすそうなものを選んでみるのがいいでしょう。
ただし、インプット重視にならないように注意してください。
ひたすら書いてみる(アウトプット)
勉強法を把握するだけでは上達しません。
いわゆる、アウトプットが重要で基本的なポイントを把握したらとにかく書いてみましょう。
文章は書けば書くほど上達するもので、きれいな字も書けるようになるでしょう。
目標としては1日1通の答案を書いてみて、それを1ヶ月ほど継続してみてください。
それだけでかなり書くことに慣れ、論文力が向上しているはずです。
第三者に添削してもらう
ただ、いくら論文を書いてもそれが正しいのかは自分では判断できません。
周りに論文に詳しい人がいれば、その人に添削をしてもらい課題のフィードバックをもらうことで論文力が向上します。
ただし、添削のできる人はそういないと思いますので、その場合は弊社が提供する対策講座を利用するのがおすすめです。
(手前味噌で申し訳ありません)
その道のプロが添削してくれ、課題発見、解決など全てのプロセスを提供してくれるので効果的な勉強ができます。
まとめ
今日は、技術士試験の論文の勉強法について解説しました。
レベルの高い国家資格であり、論文試験に手を焼く人は多いです。
その正しい勉強法を把握して、ぜひとも合格を手に入れてください!